In The Dark「痛そうだね」
と、ドラキーが言う。
ヒュンケルは無言で両腕の包帯を巻き取っていく。
「怪我をしているわけではないんだ」
ぽつりとつぶやく。全て外してしまうと、道具袋をまさぐって新品を取り出した。
「だったら、なんでそんなの着けているの?」
と、好奇心旺盛なドラキー。
通りすがりのくせに、しかもモンスターのくせに、ヒュンケルに対して警戒心が乏しい。出自は魔物だと自認する少年の、特有の匂いのせいかもしれないが。
「ねえ、なんで巻いているの?」
ぱたぱた飛び回るドラキーを、首をすくめて避ける。
「お前に関係ないだろ」とヒュンケルが言う。
「うん、関係ないよ。でも、それって関係ある?」とドラキー。
もっともだ。
2717