おやすみ先生また明日プロローグ
わたしは誰?
霧の大地を抜けて、私は逃れる。
ここはどこ?
追っ手が近づいてくる。
見覚えのある柱を右に折れて、わたしは大きなドアを押し開ける。
痺れる足を持ち上げて、もういくつも階段を登ったはずなのに、いくつもの屋上へ続くはずの扉を開いたはずなのに、一向に地上にたどり着けない。
わたしはここでなにをしているの?
ウィラの町の眼鏡橋が見えたらすぐに左の路地へ、二つ目の扉を開けたら通りを南へ進み、階段を一気に駆け登る。
アラタス教徒が祈りを捧げる尖塔を目指して、声を張り上げて商品の宣伝をする者たちで溢れるデッカード広場を突っ切ると、腰くらいの高さのある鉄柵を飛び越えて、その先にある鉄扉に体当たりするようにして外に転がり出るも、やはり空は見えない。
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