新刊が初見の人には補足足りなかったかもって今更思ったけど、割とすぐ再会してずっと一緒にいてくれたルートのその後()って前提です。
それにさらにボーナスタイムも貰ってちょっとくどいかな⁉️と思った
私の願望が滲み出過ぎている…😂

スリープモードから目覚める時、いつもサイモンはこの世で一番想う人を感じる。好意…というよりは、もはや崇拝に近いそれは痛みを伴うが、同時に安らぎも与えてくれた。

彼のことを考える。

メモリを再生すればいつも鮮明に浮かび上がる姿は気高く、自分達を導いてくれている。どこまででも付いていく、と言ったあの時の気持ちは、革命が成された今も変わらない。


一時的に自由権が与えられてから数カ月。

やっとスタートラインにたった俺達は、より明確に知的生命体としての地位を確立するため奔走していた。
目まぐるしく動く世界。
時折、ストレスレベルが大幅に上がり、パフォーマンスが低下することがあった。なるほど、これが疲れか。と、本来感じないはずのものを知った。

衝動　チロっと香の舌が口の隙間から覗く。
「美樹さんに貰った」と小ぶりのスイカを持って帰って来たのは、ついさっきの事。
　音をたて噛るスイカから汁が溢れ、香の唇と舌を濡らし滴り落ちる。
　無意識に舌で唇に付いた汁を舐めとる姿が美味しそうに見えた、なんて末期もいいところだ。
「ん？　獠もいる？」
　スイカを乗せた小皿を差し出す香の手首を掴み、引き寄せ甘い蜜と共に唇を塞いだなんて誰にも言えやしない。

　了

昨夜から泊まり込みで行った作業がようやく終わった朝にタブレットが鳴った。
『綺麗な虹が出てるからルークにもお裾分けしてあげるね』
メールに添付された画像には、青空と虹。
随分と大きくて綺麗だ。モクマさん達はどの国の空の元にいるのやら。

署を一歩出ると昨夜からの雨のせいで水溜まりが山ほどできている。空を見上げれば、徹夜明けには随分と眩しく目にしみる。

そして、空には
──大きな虹が見えた。


青空だけなら時間はそう分からない。
でも、虹なんてそんなに広い範囲で見えるものだっただろうか。どの位の時間見られるものだっけ。

もしかして、近くにいるのだろうか。

はやる心を抑えてタブレットを空に向けて青空を切り取る。

ひとまず画像を添えて『奇遇ですね』と返事をつくる。

どこかで響いた銃声　微かな乾いた破裂音が耳に届く。と同時に、獠は駆け出していた。その音の出どころに気付いた獠は「あいつ……」と小さく吐き出すように呟くと、歌舞伎町の裏路地に回り込んだ。
「今のは威嚇よ！　早く、その子を離しなさい！」
「うるせえっ！　テメェは関係ねぇ！　引っ込んで……うぐぁっ……！」
　香が片目を瞑って、その男の左太ももに照準を合わせようとした瞬間、鈍い打撃音と共にその男が崩れ落ちる。
「獠っ！」
　その男から解放された少女が気を失って倒れる寸前で、獠の腕がその細い身体を受け止めるのを見た香は、思わずホッとして叫んでいた。
「ったく……威嚇射撃する前に、オレを呼べっつーの」
　少女を左腕で抱き留めたまま、倒れた男の拳銃を抜き取った獠は、呆れたように香にそう苦言を呈す。