冴が来た(1) 一度書き換えた夢を貫くには大きな代償を背負わなければならない。が、MFというポジションは冴と相性が良かった。
その分、ストライカーに対して厳しくなっていた。自分よりも得点力の低いストライカーは決して認めなかったし、パスをくれてやる権利も無い。その傲岸不遜さはチームメイトの心象を悪化させたが、他人の評判なんて歯牙にもかけなかったし、プレーを見せつけて認めさせた。
冴は一年ぶりに日本に戻った。パスポートの期限が近づいてきており、スペインでプレーを続けるつもりでいたので、更新のため一旦帰国する必要があった。そのついでに日本での仕事がいくつか冴の元に舞い降りており、一週間は東京で仕事をこなし、残りの一週間は実家に戻るというスケジュールになっている。
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