凛と一緒(16) 潔は解っていたつもりだった。女子である自分と、男子である凛が、一緒にプレーできる時間は限られていることを。今年が最後の一年間で、高校を卒業してしまったら、選ばれなかった自分はサッカーから離れることになる。だから、せめて冬まで。最後の最後まで、凛とプレーできればと願っていた。
潔の願いと裏切って、残された時間は少なかった。慢心していた。こんなにも早くその時が来るとは思わなかったのだ。
凛の口から告げられた時――――潔の心の中は、不思議と凪いでいた。
「そっか…………すげえじゃん。すごいや」
その言葉を無意味に何度も口で繰り返し。繰り返して。最適な言葉を発する。
「凛ならできるよ。凛なら、世界一になれる。私はそう信じてるよ」
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