COVID-19が落ち着いたというのもあって、念願のオフコラボをすることになった。それもLUXIEMみんなで。場所はヴォックスの家。集まり易さを考えてのことだ。初めてのオフコラボにも関わらず、2泊とも泊まっていいと言ってくれたヴォックスには感謝しかない。ホテル代って意外と大きいよね。
当日、ヴォックスはミスタを駅まで迎えに行ったその足でシュウ、ルカ、僕を空港まで迎えに来てくれた。ヴォックスの家へ着いたのは昼過ぎ。配信は明日だから、荷物を置いたあとは観光も兼ねて少し散歩した。小腹が空いたから近場のベーグル店に入って、各々好きなように注文してテイクアウトする。公園のベンチに座り、他愛のない話をしながら食べていると、
「シュウのやつも食べたい」とルカが言った。
はいっとシュウが差し出すとルカがそれにかぶりつく。意図せずあーんの形になっているのを見てヴォックスが
「アイク、それを一口くれないか?」なんて調子に乗るから、僕は口を開けて待つ彼の手に自分のベーグルを渡した。
「ルカ一口でか!」と笑うミスタの言う通りシュウのベーグルは半分ほど無くなっていた。
「わ、シュウごめん。でも甘くて美味しかった!」
「気にしてないよ。口にあって良かったね。」
申し訳無さそうな顔のルカに、んははと笑いながら応えるシュウはほんとに優しいと思う。
「俺のも食べて良いから」とルカが自身のベーグルをシュウの口元に持っていくので、じゃあお言葉に甘えて、とシュウも一口食べる。パクンという可愛い音がしそうなほど、男性にしては小さな一口。小さな口いっぱいにベーグルを頬張るシュウは、普段のキリッとした姿からは想像つかないくらいに可愛らしい。僕だけかと思って周りを見ると、ミスタもヴォックスも一緒みたいでお互いに顔を見合わせる。まじで、えっ?今の見た?って感じ。
「ん!美味しい。いつも同じ味しか食べないから、違うの食べれて良かった。今度これ頼もうかな。ありがとうルカ」
「POG」なんてやり取りを聞きながら、こっちは初めて見るシュウの食べる姿とか小さい口とかに思考が止まってる。
「いや、は?か、かわいくない?男の一口ってもっと豪快じゃないの?一瞬シュウにきゅんとしたんだけど」
「僕も…」
「ああ俺もだ。齧るときに目を閉じてしまうのは反則だろう」などと3人でコソコソ話した。
ヴォックスの家は空いてるベッドルームが二つだから、くじ引きで同室者を決めた。シュウと僕、ミスタとルカだ。荷解きした後は自由時間だから各々必要な物を買いに行ったり、ゆっくり寛いだりした。シュウが見せてくれたファンアートのデビルマンMADがとても面白くて二人でずっと笑ってたし、好きなボカロについても語り合った。ヴォックスが晩ごはんだと呼びに来てくれてもうそんな時間かと驚いた。やっぱり好きなことだと時間はあっという間に過ぎるよね。
ダイニングに行くとミスタとルカは既に席についてた。
「もー二人とも遅いって」
「ヴォックスの作ってくれた料理めっちゃいい匂いしてるし早く食おうぜ」
テーブルにはレストランかと見紛うような料理の数々。見た途端、脳は思い出したかのように空腹を訴える。僕達が席につくとヴォックスがプレートを持ってきてくれた。メインは牛のロースト肉。ローストポテトと茹で野菜、ヨークシャープディングが添えられているし、サラダもレタスをちぎっただけじゃなくてクスクスやルバーブが入ってるから見た目もお洒落だし、流石ヴォックス。
「ん!レモンドレッシング美味しい。サラダと合うね。初めて知った」
「わかる。苦くないし食べやすいよな。ヴォックスこれどこで売ってんの?」
「生憎だが、これは俺の手作りだから買うことはできないな。シュウとミスタの口に合ったようで何よりだ。アイクとルカも少しくらい食べてくれると嬉しいんだがな」ちょっと待ってこっちに振るの?
「あはは。それより、グレイビーソースに赤ワイン効いてるし肉も柔らかくて美味しいよ。ありがとうヴォックス」
「POG!この肉最高だよ。めっちゃ美味い!」
皆で話しながらの食事はとても楽しい。料理が美味しいから尚更ね。