サニーが忘れ物に気づき自分の教室へと戻ったのは大方の生徒が帰路に就いているか、部活を熱心にやっている頃だった。2階の1番奥の教室、夕方とはいえ蒸し暑い今教室までの道のりはサニーにとても遠く感じさせた。
汗を垂らしながらサニーは扉を開ける。少しずつ扉を開ける音にサニーの口から零れた声が続く。誰もいないと思っていた教室には1人背を丸めてノートを広げている浮奇がいた。浮奇ヴィオレタ、圧倒的なビジュアルで密かに校内で人気を博している。端正な顔立ちはどこか儚げだが友人の前ではよく笑っているそう。というのもサニーは浮奇と会話をしたこともなければ目を合わせたことも無い。同じクラスとはいえど未だ交流は無い。サニーはそんな浮奇が1人残っている事実に驚き、更に浮奇が鼻をすするっている事実に声を出したのだった。
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