カラー①オレと一松は付き合っている。
3か月記念日となった先日、ついに初めてのセ…も無事最後まで致すことができた。お互い興奮しすぎてスムーズにとはいかなかったが、愛を確かめ合うことができたので大成功と言えるだろう。
そんなこんなでお付き合いはなかなか順調にいっている、と思う。しかし、
「おい、こっち」
廊下の先、マイスイートラヴァーが手招きしている。今日もいつものアレだろうか。
「いちま、っンむ」
曲がり角の先に引き込まれ、ちゅう、と唇を奪われる。最初は軽く食むだけだった口づけはべろりと上面を撫で、すぐ深いものに変わる。口の中を熱い舌が動き回り、オレも負けじと弟の口の中を貪る。唇の感覚が痺れてきた頃、っぽんと音を立てて一松が離れた。
お互いのよだれで濡れた口元を見て、頭がくらくらする。俺の下で鳴いていた一松。思い出して身体がカッと熱くなる。
足りない。もっと深くまで触りたい。ぶっちゃけまたセックスがしたい。とんでもなく気持ちよかったし、一松はめちゃめちゃに可愛かった。
なるべく下心が顔に出ないよう、チャッとサングラスをかける。下心がバレないようなるべくスマートに肩に手を回し一松に声をかけた。
「な、なぁ一松。ちょっと2人で出かけないか?」
「おれ、今から十四松と野球してくるから。それじゃ」
2つ下の弟はそう言うと、どこから取り出したのか麻縄を手にスタスタと歩いて行ってしまった。ジーザス。
そう、一松は最近ずっとこんな感じだ。
キスはするのに2人きりを避けている。初めては上手くいったと思ったんだが、何故だろうか。
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努力すれば報われるなんてうそっぱちだ。
世の中には頑張ってどうにかなるものとならないものがある。愛なんて形のないものは特にそうだと言えるだろう。信じるなんてとても出来ない。
でも、一度愛の味を知ってしまうと手離すことも出来なくなってしまった。本当はそれがほしくてほしくて、とても乾いていたんだと気づいてしまったから。
手元に繋ぎ止めることはできない、でも手離すこともできない。そこでおれは考えた。
少しでも長く手元に置いておくためにどうしたらいいか。
ずばり、出し惜しみをしよう。
美味しいご飯もたくさん食べたら飽きがくる。でもコース料理のように小出しにしたら長く欲しがってもらえるかもしれない。名案である。
案の定カラ松は焦れているようだった。もちろん自分も我慢しないとなので、とてもしんどい。毎度身を焦がす思いではあったが、予想通り上手くいっていた。
そんなある日、