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    miya_ko_329

    @miya_ko_329
    完成できなかったネタはおもむろに増えてたりします。

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    miya_ko_329

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    タイムカード切ってから遊び始めた上司と翌朝の部下

    種/シンとキラ 真面目だとは思う。報告書の類は提出期限内に(例えギリギリだとしても)間に合わせてくるし、およそ声を荒げていることなど見たことは無い。少なくとも勤務中は。
    「……そういう意味じゃ理想的な上司かも知れないけどな」
     仕事上の態度と私生活のそれは必ずしも一致しない。いや、双方をあえて異にすることでバランスを取っているとも言える。
     でもそれにしたって。
     正直、少し、いやかなり、意外だった。
     個室の仮眠室の扉を開けてシンが目にした光景は、そう思わせるに十分なものだった。
     散乱しているのは空になった飲料ボトル(わずかにコーヒーの匂いを漂わせている)とかインスタント食品の残骸とか個包装の菓子の包み紙だったりした。一応ゴミ袋らしきものも見られるが、途中からそこへ入れることさえ面倒になったようで、あまり中身はない。
     何だってこんなジャンキーな食生活しているんだこのひと。ていうか糖分取りすぎだろ。
     作戦行動中でもないのに、レーションと五十歩百歩の食事をしているとかどういう生活してるんだ、とはなはだ疑問だ。もしかすると昨日から帰宅してないんじゃなかろうか。
     微かな寝息は本来来客のために設えられたソファの上から聞こえた。目をやれば、我らが隊長殿がご就寝あそばしている。サイドボードには電源を落としていない端末。白の制服のジャケットは辛うじてハンガーに掛かっているが、どうみてもカンヅメになっていたとしか思えない光景だ。
    「たいちょー、おはよーございまーす」
     どうせ起きはしないと、上官に対するあいさつとはとても思えない口調で、シンはベッドに横になっているキラに声をかける。寝相は良いのか首から下はブランケットの中にしっかり納まっていた。
    「隊長―! ヤマト隊長!」
     再三声を掛けたところで彼が目覚める様子もなく、すやすやと安眠を貪っている。
    「えーと、キラさん、朝ですよー」
     私的な呼び方に切り替えたところで、ようやく目蓋が重そうに開かれる。
    「……ああ、うん、あれ、今日って非番」
    「それは明日です」
     容赦なく即答するシンの言葉に、のそのそと上半身を起こし
    「……今何時?」
     あちこちに跳ねた髪をぐしゃぐしゃとかき回し、あくび混じりにそう訊く彼を、誰が将官と思うだろうか。生態はその辺の学生と大差がない。
    「〇八〇二ですけど。シャワー浴びて身支度してギリセーフってとこです」
    「ありがとう。君は本当に優秀だよねえ」
     そこまで計算してギリギリまで眠らせてくれたでしょ、と


    「いやいや全然。僕ほっとくと普通に寝食疎かにしてるよ。アスランとか面倒を見てくれる人のおかげでどうにかなってるようなもんだし」
    「10分だけシャワー行って来ていい?」
    「どーぞお好きに」
    「帰宅もせずに」
    「昨日はどうせ家に帰っても一人だし、じゃちょっとだけ遊んでいこうかなと思ったら、思いの外ハマっちゃって」
     ラクス・クラインはこの数日外遊予定である。二人で住むにも広すぎる邸宅だが、

     端末のディスプレイには何かのプログラムが走らせてあるが、複雑なそれを瞬時に読み取る能力はシンにはなかった。
    「ヴォワチュール・リュミエールの発展型。の試作みたいなものだよ」
    「それウェルズとヴェルヌの設計局が共同開発中のですよね」
    「そ。今のフリーダムにも搭載されてるけど、まだ全然普及はしてない」
    「仕方ないですよ。あれ、コストの割に使いにくいし」
     キラの乗機であるストライクフリーダムに装備されている推進システムは、そのデリケートな操作性とコスト面から量産型MSにはあまり普及していなかった。
    「でも、うまくしたら稼働時間も増えるし、悪くない話だと思うけど」
    「現行機は僕もちょっといじらせてもらったから」
     パイロット以前に、プログラマーとしての技術力は相当なものだった。世が世ならマイウス・インダストリーでもモルゲンレーテでも引く手数多の技術者となっていただろう。
     寝食を犠牲にしてまで開発を急がなければいけないものだったのだろうか。
    「人の生き死にに関係ないことで、自分ができることがしたかったのかも」
     稀代のモビルスーツパイロットと謳われる彼の本質は、どこまでも厭戦的だ。だがそれはひどい矛盾であると、他でもなく彼自身がとうの昔に理解している。
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    miya_ko_329

    CAN’T MAKE2ED後。いろんなひとのはなしを経て約束の場所にたどり着く2主が書きたかった。
    幻水/2主人公 僕らはいつも背中合わせの関係だった。
     小さい頃からずっとそばにいたから見るもの聞くものは同じものだった。けれど彼は僕みたいに前ばかり見ていないで、後ろのことも時々振り返って見ているような子だったので、「ヤマト、ほら落としてたよ」とポケットか何かに入れておいた僕の大事なものを拾い上げてくれるのなんてしょっちゅうだった。ナナミも「あー! またヤマト落し物して!」なんて言っていたけれど、自分だって彼に落し物を拾ってもらったことは一度や二度ではないはずだ。
     ともかく、僕と一緒に歩いていたはずの幼馴染は、前しか見えていない僕が見落としていたものもきっと多く知っていたはずなのだ。


     ハイランド皇都ルルノイエ陥落から数日が過ぎ、デュナン城の人の出入りは一層激しくなる。傭兵としての契約を終え出立する者、戦争終結に伴う事務処理のため招聘された文官、物資を搬出入する業者……コボルトやウイングボートも含むありとあらゆる人間がこの古城を旅立ち、あるいはたどり着く。とにかく人の往来が激しいので、そのどさくさに紛れてしまえば出るのはそれほど難しいことではなかった。城内の中枢はさすがに警備が厳しいが、商店が軒を連ねるエリアはほぼ誰でも出入りが可能だ。
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    miya_ko_329

    CAN’T MAKE書きたいところだけ(ガエリオとヤマジンの辺り)。CPメインじゃないはなしだったが、結局ガエジュリになったった。
    鉄血/ガエリオとジュリエッタ 永遠ではなく、けれど不変の。

     寒さは嫌いではない。互いの身を寄せ合うための格好の口実になるから。
     別に訳もなく引っ付いても許されるだろうけれど。

     温かさを保証する柔らかな寝具に包まれながら窓の外を見遣る。ほとんど白に近いような薄い青の空と、鈍い色の常緑樹や裸木の木立に目を遣る。温暖な海域を漂うことが多いヴィーンゴールヴにある自宅から見える景色と、色も空気も何もかもが違う。すべての景色の彩度は低く、太陽光は薄い雲の向こうから射していてどこか遠く感じる。慣れ親しんだ潮の匂いを多く含んだ大気はここにはなく、湿った土や木々を感じさせるものが取り巻いている。馴染みのないはずのそれらは、けれど決して不快ではなかった。たとえ自立が叶わない身ではあっても、大地に足を下ろしているのだと実感するからだろうか。宇宙空間とは明らかに違う圧倒的な安定感。それでいて絶えず変化する景色。薄い雲が流れて太陽がさっきよりもやや強い光を地上に落とす。一瞬たりとも同じ風景は無い。移ろう時間を感じられるのは大地の上で生きているからこそだ。あれほどに長く星の海に身を置いていても、結局自分が帰る場所はこの惑星の大地だった。
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