Recent Search

    miya_ko_329

    @miya_ko_329
    完成できなかったネタはおもむろに増えてたりします。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 31

    miya_ko_329

    CAN’T MAKE2ED後。いろんなひとのはなしを経て約束の場所にたどり着く2主が書きたかった。
    幻水/2主人公 僕らはいつも背中合わせの関係だった。
     小さい頃からずっとそばにいたから見るもの聞くものは同じものだった。けれど彼は僕みたいに前ばかり見ていないで、後ろのことも時々振り返って見ているような子だったので、「ヤマト、ほら落としてたよ」とポケットか何かに入れておいた僕の大事なものを拾い上げてくれるのなんてしょっちゅうだった。ナナミも「あー! またヤマト落し物して!」なんて言っていたけれど、自分だって彼に落し物を拾ってもらったことは一度や二度ではないはずだ。
     ともかく、僕と一緒に歩いていたはずの幼馴染は、前しか見えていない僕が見落としていたものもきっと多く知っていたはずなのだ。


     ハイランド皇都ルルノイエ陥落から数日が過ぎ、デュナン城の人の出入りは一層激しくなる。傭兵としての契約を終え出立する者、戦争終結に伴う事務処理のため招聘された文官、物資を搬出入する業者……コボルトやウイングボートも含むありとあらゆる人間がこの古城を旅立ち、あるいはたどり着く。とにかく人の往来が激しいので、そのどさくさに紛れてしまえば出るのはそれほど難しいことではなかった。城内の中枢はさすがに警備が厳しいが、商店が軒を連ねるエリアはほぼ誰でも出入りが可能だ。
    1449

    miya_ko_329

    CAN’T MAKE書きたいところだけ(ガエリオとヤマジンの辺り)。CPメインじゃないはなしだったが、結局ガエジュリになったった。
    鉄血/ガエリオとジュリエッタ 永遠ではなく、けれど不変の。

     寒さは嫌いではない。互いの身を寄せ合うための格好の口実になるから。
     別に訳もなく引っ付いても許されるだろうけれど。

     温かさを保証する柔らかな寝具に包まれながら窓の外を見遣る。ほとんど白に近いような薄い青の空と、鈍い色の常緑樹や裸木の木立に目を遣る。温暖な海域を漂うことが多いヴィーンゴールヴにある自宅から見える景色と、色も空気も何もかもが違う。すべての景色の彩度は低く、太陽光は薄い雲の向こうから射していてどこか遠く感じる。慣れ親しんだ潮の匂いを多く含んだ大気はここにはなく、湿った土や木々を感じさせるものが取り巻いている。馴染みのないはずのそれらは、けれど決して不快ではなかった。たとえ自立が叶わない身ではあっても、大地に足を下ろしているのだと実感するからだろうか。宇宙空間とは明らかに違う圧倒的な安定感。それでいて絶えず変化する景色。薄い雲が流れて太陽がさっきよりもやや強い光を地上に落とす。一瞬たりとも同じ風景は無い。移ろう時間を感じられるのは大地の上で生きているからこそだ。あれほどに長く星の海に身を置いていても、結局自分が帰る場所はこの惑星の大地だった。
    5000

    miya_ko_329

    DONEST前後のどこか。モブ猫視点からの彼ら。おとうさんは息子と遊びたい。第二連王はそろそろ休暇取りたい。
    GG/猫とシンとレオと、ときどきカイ 吾輩は猫である。名前はまだ無い。
     という一節から始まる小説が、今となっては亡国となった彼の国にあった、らしい。もっとも私もまた猫であるがゆえ、その内容までは知らないが。
     私の名前は無いこともないが、ここの人間は好き勝手に呼ぶので決まった名前など無いし、そのすべてが自分の名前と言えよう。つまり、クロだのかぎしっぽだのくつしただのギザミミだの、それらはすべて私を呼ぶときに人間たちが口にする名前だったので。
     縄張りにしている領域――人間たちはここをイリュリア城と呼んでいる。その昔、母が子猫だったとき、ここはおよそ人の住まう場所ではなかったのだという。大昔から大変な繁栄を謳歌していたこの都市は、しかし完膚なきまでに破壊された。その頃は何だかよくわからないいきもの(ギアというらしい)と人間は血で血を洗うような戦いを繰り返していたらしいので。そして、人々再び街を整備し、いつの間にかこんなに大きな城まで建てられた。私が生まれたのは、この城が建ち、『王』と呼ばれる人間がここにやって来てしばらく経ってからだった。そう語りながら、ずいぶん平和になったものね、と老境の域に入った母は笑った。
    5203

    miya_ko_329

    DONE作中から50年後くらい。歳を取ったアスランとキラとカガリとラクス。アスカガっぽいかもしれない。
    種/アスラン誕生日2021「まさかこの歳まで生きるとは思わなかった」
     苦笑めいた表情を浮かべ、老年の男はテーブルに置かれたカップを手に取る。その横の小振りの平皿には生クリームとフルーツが贅沢に使われたケーキが載せられているが、彼が満足に食べられるのは本当にごくわずかな分量だけだった。
    「さすがにもう甘いものも、そんなにたくさんは食べられないかな」
    「僕はまだもう少し大丈夫だけれど。――アスランは元々甘いものそれほど好きでないでしょ」
     幼馴染にそう言われて、アスランは「そうだったかな」と考えをめぐらす。長く生きていると色々なことが変わっていくし、結局のところ変わらないものもある。それを思い出せないくらいには時を重ねてきたらしい。何の縁もゆかりも無かったこの国が、もはや故郷より長く過ごした場所になっていた。初めて訪れたときに感じた、まとわりつくような潮のにおいは、いつの間にか空気と同化してしまって、意識してようやくそれを知覚できる。プラントには無かった大洋に囲まれたこの国が、終の地になろうことは、あの頃の自分はきっと想像もできなかっただろうけど。
    3441

    miya_ko_329

    DONEED後。朝っぱらからいちゃついてるだけのアルフェンとシオン。
    TOAR/アルシオ 意識が浮上すると共に開けた視界は淡い緋に満たされていた。紗のようなその隙間から光がきらきらと踊っている。朝焼けにも似た色彩は、どこか現実離れしたうつくしさで、さてこれは夢の続きだろうかとうっかり瞼を閉じそうになったところで気付いた。
    この色は、シオンの――
    「……おはよ」
     寝起きの、乾いた喉から発せられた朝の挨拶は明瞭な発音とは言い難かった。柔らかな枕に横向きの頭を半ば沈ませながら、アルフェンは視線だけを向ける。水底の青はすぐに見つかった。
    「おはよう、アルフェン。起きてしまったのね」
     どことなく残念そうなシオンの顔が頭上にあった。その指先がアルフェンの額から頬へ、髪の生え際をなぞるように滑り落ちていく。長い髪がまるで帳のようにアルフェンの視界の端で流れ落ちている。夢ではなく、紛うことなき現実の、触れられるもの。触れたいと意識するより先に反射的に手が伸びた。指に絡ませて、癖の無い柔らかな髪の感触を楽しむ。彼女がその美しい髪を傷めないように気を遣っていることは知っていたので、しばしの手遊びの後、わずかな名残惜しさを覚えつつ解放した。
    2541

    miya_ko_329

    DONEXrd~STのどこか。第一連王捜索隊の第二連王と、つかの間の逢瀬のカイデズ。
    GG/レオとカイデズ 第一連王が見当たらない、と城内職員がそろそろ心配し始めた。およそ彼を害することのできる人類は非常に限られている。平時の城内においては皆無と言っていい。まず心配の必要はないと思いつつレオは彼らを宥め、少し席を外すことを告げて見当を付けている場所に進む。行政エリアを抜け、王のプライベートエリアへ。人の私的な時間にまで足を突っ込むことは本意ではないが、そう言っていられる状況でもない。足を進め、見えてきた扉には複数の門衛が立ち侵入者を拒む。だがそれを第二連王だと認めると張りつめていた空気を少しだけ緩めた。
    「あいつはここか?」
    「三十分ほど前にお入りになりました」
     若い門衛は遠慮がちに答え、レオは軽く息を吐き足を踏み出す。わずかに残されたカイの自由を、これ以上許すことのできない時間の無さと状況を恨むしかない。少々の罪悪感が過るが、これも給料の内と割り切ることにした。築年数の割に古めかしいデザインの扉は重い音を立てて開かれた。見た目は単なる扉だが、その実厳重なセキュリティが敷かれている。組み込まれているであろう複雑怪奇な術式はレオの理解の範疇外だった。これを突破できる人類こそ存在しないのではないだろうか(しかしこの数ヶ月で人類の枠の外のような人類に散々出くわしてしまったので、油断は禁物だ)。それほど堅牢に守られた扉の向こう。果たしてその先は緑萌ゆる園であった。空調の行き届いた屋内とは違う自然そのものの空気。幸いなことに今日は暖かな日だった。やわらかな陽射しが程良い熱を持ってレオを迎え入れる。色彩豊かな花々が咲き誇り、小鳥が遊ぶ。間違いなく現実でありながら、世界から隔絶された楽園を思わせるのは、ここがあまりにも完成された空間だからだろう。それぞれが完全な調和を以てこの場を作り上げている。
    4047

    miya_ko_329

    DONE復活ED後。実質プロポーズのルルーシュとC.C.。終わらない日々のはじまりに。
    コードギアス/ルルC 特に五感を刺激するようなものもなく、足元から伝わる音と振動は情景の一部でしかなかった。旧ブリタニアの租界を走るような最新鋭の静音車両にはないそれは、奇妙な眠気を誘う。
     こんなに何も考えない時間など、果たしていつ以来だろうか。
     脳を遊ばせている状態というのは、少なくとも自分の体感としてはおよそ数年振りだ。謀に明け暮れ、頭脳を酷使した十代後半、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとしての晩年。今はまるで反動のように、頭の中は真っ白だった。もう計略に思考を巡らす必要もなく、ただぼんやりと景色を眺めている。
     乗車した駅はアジアの内陸部で、岩山の他は青い空しか見えないという清清しい景色に、これはこれで良いな、と思いながら乗車したが、いつの間にか車窓の向こうにはヨーロッパの平野部の緑の平原が広がっていた。同じような景色が何時間も続くが、注意深く見ていれば時折地名のヒントが現れる。類推される名前に、この一帯がユーロピア有数の穀倉地帯であることを思い出す。広大な牧草地にぽつぽつと点のように見えるのは馬の親子だった。サラブレッドであるならば、今の季節が親子で共にいられる最後の時期のはずだ。秋になれば子どもは親から離されて、走り抜く強さを求められる競走馬としての運命に踏み出す。けれど今はまだ何も知らず、ただ母親の庇護の下で遊び、安らぐ。
    4273