krn受け まだ夢を見ているのか、と黒名蘭世が思ったのは、何も視界が暗かったからだけではない。目が覚めた、と思った時、開けた瞼の先は暗闇が広がり、動かそうとした腕はなぜか両腕が一緒に動く。一種の金縛りか、とも疑ったがそれにしては随分と自由に動けた。
「っ、え?」
何度か瞬きをして、睫毛が擦れる感触に、目元を何かで覆われているのだろうと、黒名は一人納得した。
つい先程の記憶では、練習が終わり、シャワールームで眠気と戦っていた。肌にかかる髪が少し湿っているので、完全に髪を乾かすには至らなかったものの、無事に汗を流す事はできたらしい。背中からのかんしょくでは、おそらくベッドに寝かされているので、部屋には戻って来れたのだろう。幸いにもイヤホンは両耳ともについているようだ。失くしていたら後が怖い。
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