分かりにくいアプローチ『ショートケーキ、とっても美味しかったです〜!あら、猫ちゃんだ可愛い〜!この子の種類はなんですか?』
『雑種なんですよ〜、元々野良猫だったんですけど、2年前くらいに保護したんですー。お客さんの皆さん可愛がってくれて、立派な看板猫になりました!』
テレビでアナウンサーがケーキを紹介した後に画面に出てきた黒っぽい紺色の毛に覆われた猫。
毛が長めなそのビジュアルは、後輩の彼を彷彿とさせた。
(…恵に似てるなぁ。)
少しだけつり上がった目に、物静かそうな表情…まるで恵が猫になったらこんな感じだろうな、と安易に予想ができる容姿だった。
(場所も行けない場所じゃない…今度行ってみようかな…。)
そうして休みの日、1人での都内の喫茶店に赴いた。店のドアを潜ると、レジスターの横でお昼寝をしていてびっくりする。
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