しないと帰れない部屋 この冬は積雪が多く、今夜も通勤で利用している鉄道が運転見合せとなり、駅構内で今後の運行について貼り出された紙の前に立ち尽くして溜め息をついている杉元をまた、家に連れて帰ってくることが出来た。不規則不揃いに落ちてくる雪片を見上げ、感謝する。
だからぁ、俺は恋人としかしないんだって。
部屋の中で半ば管を巻くような調子でそう云われても納得がいかず、首を傾げる。
説明になっていない。
だから恋人じゃないだろ。
自分と俺の顔を人差し指で交互に差して、恋人という単語だけ小声で杉元が訴える。それを聞きながら炬燵天板の端にあったペンと付箋を掴む。
言質取る気か?
そうじゃないが。
見えないように左手で囲いを作って書き込みながら、それで? と促す。
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