ユキモモ 探偵×大学生助手パロ〈『折笠探偵事務所シリーズ① 探偵と助手と銀の夜空』より一部抜粋〉
それは都内某所、オフィス街に建ち並ぶ雑居ビルの三階。小さな看板のかけられた扉の前で、女性は立ちすくんでいた。
この扉を叩くか、叩くまいか。
扉の周りの壁には、同じ文言が手書きされたポスターが何枚も貼られている。
『初回相談無料』『失せ物探し・浮気調査・ストーカー相談 なんでもどうぞ』『利用者からの声 多数! "ここで人生が変わりました"』——やっぱり、あやしい。
帰ろう。そう決めて女性が踵を返すと、ちょうど、階段の下の踊り場に人が立っていた。蛍光灯の弱々しい灯りの下、暗がりの中で、桃色の瞳が瞬きをする。
「っ、依頼者さんですか?!」
声を弾ませた青年は、階段を二段飛ばしで駆け上がるとあっという間に女性の隣に立った。
「あ、えっと、今帰ろうとしたところで……」
「待ってください、すぐにご案内しますから!」
苦笑いで応えた女性の声をまるで聞かず、青年は彼女が躊躇っていた扉をあっさりと開ける。
どうぞ! と笑顔で示されてしまえば、もう従うしかない。何より、嬉しげな口元から覗いた八重歯がなんだか可愛らしくて、これは仕方ないと思うしかなかったのだ。
「そこのソファーに座って待っててください! これでも掃除は毎日してるんで、外観のわりに中はキレイでしょ? コーヒーでいいですか? お砂糖とミルクは? あ、暑くないです? ちょっと窓開けますね!」
てきぱきと動く青年は、十九か二十歳そこそこに見える。毛先だけ白くメッシュの入ったネイビーブルーの頭髪に、手首には防水性の腕時計と革物のブレスレット。服装はゆったりしたパーカーとスキニーパンツ、スポーツ用にも使えるスニーカー。思い出したかのように、背負っていた黒のリュックをソファーの空いたところへ投げ置く。その姿に、女性は遠慮がちに声をかけた。
「あの……貴方がここの所長さん……?」
「え? ああ、違う違う! オレはただの手伝いの大学生です! 心配しなくても、所長はちゃあんといますよ」
ぱちん! とアイドルのようなウインクを返され、若々しすぎる見た目に不安と疑い抱いていたとバレたことが恥ずかしくなる。女性は「そ、そうですか……」と誤魔化すように目の前のコーヒーへ手を付けたが、青年はそんなことすら全く気にしておらず、部屋の奥に位置する扉を勢い良く開けた。
「ユキさん! お客さんですよ!」
ガタガタと元気の良い音を立て、青年が駆け回る。扉の隙間からは乱雑に積まれた本の山しか見えない。
「起きてください! ああもう、寝癖! 昼寝するならせめてベッドで寝てください! ゲッ、またテレビ点けっぱ……」
女性がソワソワしながら待っていると、青年がそっと顔を覗かせた。へら、と見せた笑みは先程までの余裕がやや削がれている。
「ちょ…っと待ってくださいね、マジで。あと驚かないでください」
驚く、とは。正直、この状況がすでに人生初の体験であり、安らぎはどこにもないのだけれど。
「お構い無く……ヒッ」
ひとまず愛想笑いを浮かべた女性だったが、奥の部屋から現れた人影に思わず喉の奥から声が出た。
ぬぅ、と姿を見せたのは、背の高い長髪の男性だった。腰近くまである銀色の長髪はボサボサに乱れて顔がよく見えない。長い脚を気だるげに引きずって、女性の座るソファーへと近寄ってくる。
「ご依頼は……」
「ひぇっ」
喋った! という驚きは意味のない悲鳴に変わる。今にも涙が出そうになったところを、後ろから飛んできた青年が引っ張り戻す。
「待て待て待て! あんた一回鏡見ろ! そんで顔洗って髪整えてから来い! そのまま話そうとすんな!」
「あ、あ、私もう帰……」
「帰んないで! 五分! 五分だけください! お願い! 二週間ぶりのお客さんなんです!」
洗面所であろう場所へ謎の人物を押し込みながら、懇願する青年。その姿を見ながら女性は入り口のポスターを思い出していた。
そりゃあそうだ、いくら初回無料でもあんな化物みたいな人が住み着いてるところに人が来るはずない。青年の笑顔だって、こちらを騙すための罠のようなもの。
五分経ったら何が起こるのだろう。何が起きても、とにかく逃げよう。
傍らに置いていたバッグをぎゅっと抱きしめ、繰り返し逃げることだけを考える。もし、またあの眩しい笑顔と八重歯を見せられても信じちゃいけない。逃げる。ただ逃げる。とにかく逃げる。
執念のようなオーラーを纏う女性に、青年も半ば諦めながら、ぽそりと言った。
「あの……もっかい言うんですけど」
「な、なんですか」
「……驚かないでくださいね」
先程と同じ言葉を、青年が繰り返す。
「こ、これ以上何が——……」
起きるんですか、と言いかけたところで女性は息を呑んだ。今度こそ、声も出ないほど驚嘆する。
「お待たせしました」
ボサボサだった髪は綺麗に梳かれ、極上の銀の糸のようにその人の肩口で揺れる。外国の血でも混じっているのか鼻筋はスッと高く、肌は陶器のように白く滑らかな輪郭を描き、さらに髪色と同じ銀色の睫毛が切れ長の瞳を美しく囲う。右頭頂部の一房だけが銀色よりもさらに色が抜けて白くなっており、色気を醸し出す左眼下の泣きぼくろとのバランスが見事に取れていた。
この人を創るとき、神様はきっと楽しかったに違いないわ。
ぼうっと見惚れる女性の向かいに腰掛け、長い脚を優雅に組むと、彼はほんの少しだけ口角を上げた。
「改めて、折笠探偵事務所へようこそ。僕が所長の折笠千斗。彼は探偵助手の春原百瀬です」
折笠千斗と春原百瀬。告げられた名前を口の中で唱える。
どことなく春の陽気を感じさせるような二人の名前に、呼応するように窓の隙間から春風が吹き込んだ。
〈中略〉
「つまり犯人は、依頼主の職場に関係する人……ということですか」
「流石、天くん。察しがいいね」
「ミステリ小説、好きなので」
ふふ、と微笑む天はおかわりのコーヒを注ぐとカウンターテーブルへ置いた。続けて、モモがオーダーした二杯目のカフェオレを準備する。
「モモさん、気ぃつけないと助手の座奪われますよ」
「それはだめ! 天、なるなら助手二号にしよ?」
「興味はあるんですけどね、店のバイトで手一杯なので」
いかにも残念がって見せる天の声が聞こえたかのように、厨房からがしゃーん! と盛大な音が響く。続けて飛び出した「失礼しましたぁー!」という涙声に四人は一瞬顔を見合わせると、同時に吹き出した。
「ほら、ね」
「龍! 大丈夫かー?」
アハハ! と笑い声を上げた楽は厨房を一瞬覗くと「また調理器具ひっくり返してる」とどこか嬉しそうに報告を残して奥へ進んだ。
「龍ちゃんのあの声聞くと、喫茶TRIGGERにいるなぁって思いますね」
「思う。あ、でも天くんがうちの助手になれば、この美味しいコーヒーが事務所でも飲めるのか……」
「! コーヒーならオレが……! もっと美味しいの淹れてみせます!」
「そう?」
悪戯っ子のように微笑みかけるユキが、他の助手など一切取る気がないことを天は知っている。
天は今年で十八歳の高校生で、中学生の頃からこの喫茶店に通っている。向かいのビルで探偵事務所を構えるユキとはもう四年ほどの付き合いになるが、半年前に助手だと言ってモモを連れてきたときは驚いたものだった。
それまで彼は、依頼主と調査関係者以外をあの探偵事務所へ入れたことは無かったのだから。
〈中略〉
日が暮れ、すっかりと空が暗くなっても捜索は続いていた。それぞれ手にしたペンライトで地面を照らし続ける。
「本当にあるんですかね……犯人の手掛かりになるもの……」
「僕の推理と大和くんからの情報を照らし合わせれば、犯人が被害者と接触したのはこの路地裏で間違いないんだけど」
かれこれ三時間は二人で捜索を続けている。互いに発する声も弱々しい。
「だめだな、目がショボショボしてきたよ……」
「そんなおじいちゃんみたいな」
「あーあ、大和くんにも手伝ってもらえばよかったや」
「あの情報屋、ガチで情報しかくれないですよね。しかも高い」
「強かな子だよ」
ひと休み、と言ってユキは野ざらしに置かれたビールケースに腰掛けた。これが探偵の正装だと言って、依頼の有無に関わらず毎日形の良いスーツを着ているくせに、汚れることは一切気にしていない。探偵・折笠千斗はそういう人物である。
ユキさんってやっぱりわかんないな。二十七だって言うけど、ときどきオレよりも子供みたいに駄々をこねるし、かと思えばおじいちゃんみたいな言動のときもあるし。
ぱきぽきと身体中の骨を鳴らしながらストレッチをするユキを盗み見る。手にしていたライトの光がその足元を掠めると、流れ星のように一瞬だけ何かが光った。
「! ユキさん、動かないで!」
「えっ、何?」
自然とホールドアップの姿勢を取ったユキに慎重に近づき、改めて足元を照らす。
何処だ、何処にある。
モモの手によって磨き上げられた、ユキの革靴。そのすぐ隣で、応えるように光が瞬く。雑草の間を掻き分けると、小さな石が三つ連なった特徴的なシルバーのピアスが姿を見せた。
「——モモくん、それ……」
拾い上げて見せ、こくりと頷く。
事件の日の写真は、複数人のSNSに投稿されている。そのどれもで、依頼主の両耳には同じピアスが光っていた。
「っ、さすがだ、モモ!」
「うぎゃっ」
ビールケースから勢い良く立ち上がったユキに飛びつくように抱きしめられ、モモの体も跳ねる。
無邪気に喜ぶユキは犬を褒めるかのごとくモモの頭を撫で回すので、柔らかな毛がぼさぼさと乱れた。「偶々ですよぉ」と満更でもなさそうにしていたモモは、ユキが捜査用の手袋のまま——つまり土まみれの手で自身の頭を撫でていることに気が付くと「だからそういうところですって!」と叫んだ。
〈中略〉
「本当に、お世話になりました」
「オレは何も! ユキさんの言うこと聞いてただけですよ」
へへ、と笑うモモの口元からは、あの特徴的な八重歯が覗く。
「最初にこの探偵事務所に来てから、モモさんには何度も驚かないでくださいって言われましたけど、私、ずっと驚いてばかりでした」
本当に初見だった第一印象から、がらりと変貌して現れた淡麗な容姿、鮮やかな身のこなしと、鋭い観察眼。そして、何よりもあの推理力。
「不思議です。あんなに優秀な方が、こんな雑居ビルで探偵事務所をされてるなんて……ああいや、ここも今となってはとても素敵なところなんですけど!」
「ははは……まあ、あの人あんな感じなんで。生活力とか皆無なんですよ。仕事も、依頼があるからやってるってだけで」
言われてみれば、と思い返せば、調査で顔を合わせてきた短い間でも、ユキは自分の容姿にあまり興味がない様子だった。かと思えば、存分にその容姿を利用して聞き込みを行ってもいたので、世間からどう見られているかの理解はしているのだろう。
そして当の本人はといえば、依頼が完了したなら自分の役目は終わりだからと例の自室からは出てきていない。みすぼらしい姿を見せるのも悪いのでと、モモも初回のように無理やり引きずり出すことはしなかった。
変な人。依頼を解決してもらった後でも、彼のことを言い表そうとするとその一言で纏まってしまう。
「でもめちゃめちゃ美人……」
ふぅ、とため息をつく面食いの依頼主の隣で、「そう、それ」と若き探偵助手もウンウンと首を立てに振る。
「正せさえ人が滅多に来るところじゃないのに、あの顔を見てやっぱり詐欺だ! って逃げちゃう人も多くて……」
「それは入り口のポスターのせいもあるんじゃ……?」
いくらなんでも「人生が変わりました」までいくと胡散臭いだろうと笑う彼女に、モモも同調してケラケラと笑ったあと、その瞳に穏やかな色を浮かべた。
「でも、あれは剥がせないんです」
「え?」
「変えられちゃってるんで、実際」
スライドショーのように浮かぶ数ヶ月前の記憶。
——君のせいじゃないよ。僕が保証する。
雨音に紛れて優しい声色が囁く。高そうなジャケットを、やっぱり汚れることを気にせずに濡れた肩へかけてくれた。
瞬きをする間だけその記憶に浸ると、モモはすぐに大きな瞳をにっこりと細めて「また何かあれば、遠慮なくご依頼してくださいね!」と微笑んだ。
「ユキさん、オレもそろそろ帰りますねー」
扉越しに声をかけると、数秒の間を置いて生気のない「りょうかい……」が返ってくる。扉の隙間から陽気なゲーム音楽も漏れているので、これは仕事終わりのご褒美と称して新作ゲームに熱中しているのだろう。
「ごはん、二日分くらいは作っておいたので、ちゃんと食べてくださいね!」
今度はいくら待っても返事がない。無言でドアを四、五回叩くと慌てた様子で「食べるから!」と聞こえた。
あの様子では、しばらく部屋からも出てこないだろう。明日は大学の講義も詰まっているので、それはそれで有り難いけれど。
モモは探偵ではないが、ユキの行動についてだけはいくらかの推測ができるようになってきた。
大した量ではないが放置もできないゴミをまとめて、片手に持つ。明かりと火の元が落ちていることを確認。合鍵を使って、事務所の出入り口にしっかりと鍵をかける。
「探偵助手っていうか、オレってただの雑用?」
口に出すと自分でも虚しい。
外に出ると、午後八時を回って喫茶TRIGGERも夜間のバー営業に切り替わっていた。この時間帯では、高校生の天はもう帰宅しているだろう。
探偵をしていることもあり、ユキは意外と顔が広い。警察関係者にも顔見知りがいるし、お抱えの情報屋もいる。
モモが知る中では、ユキと最も付き合いが長いのは天だ。その天が、一度だけ聞かせてくれたユキの昔の話。
——ボクが初めて会ったとき、ユキさんはまだ探偵じゃなくて。ご友人と一緒にこの喫茶店に来てたんです。でも、二回目に見かけたときは一人で……当時のマスターに「あいつを見てないか」って、そう詰め寄っていましま。
それからすぐですよ、あの探偵事務所ができたのは。
仕事に不真面目で、積極的に依頼を受けているわけでもないユキが、何故、探偵をしているのか。
その理由を、モモはまだ知らされていない。踏み込んではいけないラインなのだと、理解している。
わかってるよ。探偵助手だって、オレから頼み込んでやらせてもらってることだし。それでも、それでもね。
「それでも、オレは……」
「モモ!」
頭上から降ってきた声に反射的に顔を上げると、ちょうど真上、三階の窓からユキが頭を出していた。
「ユキさん?」
ぼんやりと明かりの灯った部屋と小さく星が煌めく夜空を背景に、夜風に揺れる銀色の髪を抑えながら、ユキが手を上げる。
「今日の特別手当ね」
「え? わ、わわわ、」
ぽい、と投げ落とされた何か。キャッチしようとその場で下手くそなステップを踏めば、広げた両手の中にすぽっと収まったのはピーチ味の飴だった。
見上げれば、窓はすでに閉まっている。
「なんだよ、もう」
久しぶりの大仕事を終え、探偵はゲームに明け暮れ、助手は本業の勉学に勤しむ。
雑居ビル三階の事務所周りには怪しげなポスターが貼られたまま、近寄りがたい雰囲気を漂わせ、次に依頼が舞い込むのがいつになるかは探偵の頭脳を持ってしても読むことはできない。
それでも、助手は今日も事務所へ通う。
折笠探偵事務所は、貴方様からのご依頼をいつでもお待ちしております。
〈了〉
〈人物紹介〉
折笠千斗…通称、ユキ。二十七歳。折笠探偵事務所の所長。容姿端麗、頭脳明晰であるが生活力はない。持ち物は高級なものが多く、本人曰く、実家が太い。
物への執着は薄く、ゲーマーだがクリアしたゲームは興味をすぐに失う。
探偵業を営んでいるのは何か特別な理由があるようだが……?
春原百瀬…通称、モモ。折笠探偵事務所の探偵助手。二十ニ歳の大学三年生(一浪)。とある事件に巻き込まれた際、ユキに助けられたお礼として助手に名乗り出た。専ら、生活力の無いユキの身の回りの世話をしている。
実家住まいのため金には困っていないが、あまり収入にならない怪しげなバイトをしているとして姉に詰め寄られることもしばしば。
運動神経が良く体力もあり、野性的直感によって事件解決の鍵を見つけることも多く、近頃はユキからも頼られるようになった。
九条天…ユキとモモの行きつけ、喫茶TRIGGERのアルバイト。高校三年生。病気がちな双子の弟がいる。
店の近くに弟のかかりつけの病院があり、中学時代から通っている。お客時代からユキとは面識があり、多少ながらもユキの過去を知る人物。
コーヒーを淹れる腕が良く、アルバイトながらその味に惚れ込む客も多い。
八乙女楽…喫茶TRIGGERの若きマスター。二十一歳。前マスターの引退時、テナントオーナーの父親から引き継ぎを指名された。
本人は自分の蕎麦屋を持つことを夢に掲げているが、経営の勉強と捉えて今は耐えている。
午後八時以降はバー営業に切り替わるため、夜間はバーテンダーとして働く。
十龍之介…喫茶TRIGGERの厨房係。二十五歳。料理に関してはプロだが、ドジっ子&天然気質なところがあるため、しょっちゅう調理器具をひっくり返している。
昼間は殆ど厨房にいるが、夜間はバーテンダーとして表に立つ。
ガタイの良さを買われ、ユキたちの用心棒を任されることもある。
二階堂大和…ユキお抱えの情報屋。自称、二十一歳。依頼された情報はきっちりと抑えてくるが、情報に関してしか動かない男。
ユキの過去についても知っているが、自身の素性もユキに握られているため、互いに口外しないことを強いている。
口が上手く、自分のことは語らないが他人には根掘り葉掘り聞くタイプ。別人への成り済ましが得意で、情報収集のために変装することも多い。
モモの大学に同級生として潜り込んだこともある。
大神万理…ユキの友人。ユキが探偵業を営む理由の人物。
ユキが心から信頼できる相手であったが、三年前、忽然と姿を消す。
生活力のないユキの面倒を見ていた人物だが、生活力のないユキを生み出してしまった人物でもある。
〈『折笠探偵事務所シリーズ④ unfinished』にて初登場〉
岡崎兄弟…折笠探偵事務所のある雑居ビルのオーナー兄弟。正確には兄の凛太郎がオーナー。弟の凛人は家賃督促に訪れることが主(依頼料だけでは赤字の探偵事務所のため、家賃滞納を頻繁にしている)。
凛太郎はユキの事情を知っており、五年間はどんなトラブルが起きても追い出さないことを約束している。五年後には雑居ビルを潰してマンションを建てる予定。