26歳宇×18歳尾「ねぇ、まだ思い出せないの?早く思い出せよ」
ねぇ、と宇佐美時重と名乗る男は噛み付くように唇を重ねてくる。殴られて切れた口腔内の傷を丁寧に舐る度にチクチクと痛みが走った。
「ッ、いッ……んぅ」
角度が変わる度に深くなる口付けに、傷口から滲む血液を彼と共有している現実に薄暗い感情を覚え、ぞくりとした感覚が背筋を這い上がる。彼の口付けから快感を拾い始めた時、宇佐美は唇を離してにこりと微笑んだ。
「───まぁいいや。ゆっくり思い出していこうね、百之助」
またその名前で呼ぶ。何度も呼ばれているからか自分の名前は違うのに不思議と馴染みのある気がした。
「……うん」
尾形は殴られた頬を擦りながら立ち上がる。
「───さん」
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