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    notyokkk

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    notyokkk

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    難しかったです

    ルイディナ・ハスラー
    満田冷慈
    ブラッド・ベロニカ
    ニヒツ・G・リーベルノ

    A-G-E-N-T
    煉覇極炎
    空虚氷柱

    リノ・マッケーシ

    他四人

    光と狂 目の前に圧倒的脅威が立っている。成長盛りの彼ら、将来を担う戦闘狂たちは今にも食ってかかろうとしたというのに、何故だろうか。普段なら効くものが何一つ通じない。目の前にいる悪党は、息一つ乱すことなく、自分達の眼前に立ち塞がり、無情にも銀狼の腕をへし折る。絶叫が聞こえる。自分達の司令塔の絶叫が。
    「あぁああああああ“!!!!!!!!!!」
     それを合図にブラッド・ベロニカとニヒツ・G・リーベルノはその場から瞬時に距離を取った。これがおそらく現状一番冷静に頭を回す自分達に偉そうに指示を飛ばすことが出来る満田冷慈を殺さない為の手段である。
    「へぇ、物分かりのいいガキだ。嫌いじゃないな、お前のお友達は随分賢い猿らしい」
    「ゔぁ、あぁ、あああ”!!!」
     鮮血が飛び散った。
    「兄貴!!!!!!」
    「クソ……!!しっかりしろ!」
     到底女性のものとは思えぬ力で吹き飛ばされたソイツを咄嗟に拾うように出たブラッドを巻き込んで二人まとめて壁に打ち付けられる。どこぞの学生の悪ガキ組織よりも、ニヒツの所属する正義厨組織よりも、どこぞのモンスターよりも圧倒的な差がある。
     三人は悟っていた。勝てる相手ではない。
    だからこそ、これほどに腹の立つこともない。おそらくは第三勢力を使役したとて、眼前の悪魔は互角、もしくはあちらに若干の利がある。これが今までに味わったことのない種類の、どうにもならない実力不足ということだと嫌でも理解ができてしまうからだ。
    「っ、……、しぬまで、やってやろうじゃねぇの……」
    「!兄貴……!!あぁ、同感だぜ、あんな化け物サッサと始末するに限るよな」
    「全くだ。……貴様、まだその頭は健在だろうな。癪だが、飛ばせ指示を。人間には適材適所輝く場所がある。そこまで負傷してるんだ前戦に来られちゃ邪魔だ」
    「……あぁ、まかせろ。」
    (右腕が逝ったな……治りゃいいけどな、まぁ、生きてるだけ上等だろ)
    血反吐しどうにか立ち上がった彼らはすっかり子供ではなく一人の戦士の顔立ちだった。
     文字通り、史上最悪の死闘を繰り広げるだろう。
    「俺の能力は、五感の強奪とストックだ。……お前らはさぞ、強情な痛覚を持っていそうだからな。あぁそれとも……愛しのハニーの顔も声も見れぬ聞こえぬような身体にしてやろうかBadboy」
     そう言って標的を変えたのかブラッド・ベロニカの眼を捉えた。
    (しまった……!)
    悪魔が能力を解除する寸前に、一発の銃弾が迷うことなくその彼女の瞳目掛けて飛んできた。
    「おっと……!」
     寸でのところで交わしたがそれはルイディナの頬を掠め、白い肌に一つの朱線が走る。
    「ユメコ!!援護と説明してやれ!!ここは引き受けた!!」
    「アイハーイ!!」
     その一瞬で頭上から弾丸の如く飛び降りてきたのは金髪の大男で、手には狙撃銃が持たれているが彼はあろうことかソイツを全力で振り翳しついでに悪魔の女に無遠慮に一発の蹴りをお見舞いして吹き飛ばす。
    「ルイディナァァァアアアアアッ!!」
     憎悪と嫌悪を織り交ぜた慟哭を上げながら、更に突っ込んでいく男の動きは、プロだった。
    軍人らしい無駄のない、それでいて臨機応変のその戦闘スタイルは彼らが目指す高みの姿にも見えたかもしれない。
    「……すげぇ」
    「すげぇところ申し訳ー!まだ終わってないよ!」
     突然の救世主に呆気に取られた三人を現実に引き戻したのはレトファクトリー在住の破天荒さで名前だけは聞いたことのある女、ユメコ・シラザワだ。
    彼女と一緒にやってきたということはあの男は、おそらくレトファクトリーの教師だろうということはいくら戦闘狂の主人公三人にも把握ができた。どうりであの無駄のない動きで自分達が手も足も出せそうになかった悪魔と対等に渡り合えるのだ。
    「今から三人にはあの女?男?のイケ女様の暴挙を止めてもらうんだけどさー!あの人ここいら一体に大量の電磁波爆弾を仕掛けててね、それが発動すると当然街中…うーん惑星ごとのコンピューターが一時的にダウンするぐらいでっかいやつらしいんだよね!」
    「「「はぁ!?」」」
    ケラっと発された規模のデカさに思わず声を揃えて仕舞えばユメコは「うるさ!」と耳を塞いだあとで間髪開けずに対処法を告げる。
    「案内役と一緒にその爆弾止めるためのスイッチを壊してきてよ!三ヶ所あるのね!そこの白い美人のお姉様はアタシにお任せ!後の二人はそこの子ね!じゃあね!絶対しくじらないでよね!行こ!美人な人!」
    「え!?あ、お、おい!!」
     ニヒツの手をグッと引きユメコは走り出した。向かう先は遠いのか、近いのか、説明が足りないだろうと思いながら腕を引かれるがまま近くの螺旋階段をひたすらに登り出す。
     一方で残された冷慈とブラッドも誰かに腕を引かれほぼ同時に反対方向に走り出していた。
    「!?レナ……!?」
    「和泉!?」
     自分達の手を引いていたのは、先ほどルイディナにダシに使われた自分達の恋人である。

    「和泉先輩と遊んでたら、ユメコさんがきて、この場所に行かなきゃ大変なことになるって聞いたの……!私…、戦うなんて出来ないけど…!ブラッドを連れて走るぐらいなら、私にだってできるはずだから…!」
    「レナ……、だからってこんな危ねぇところに来るんじゃねぇよ!!下手したら巻き込まれ…っ」
    「私だって怖いの!だけど!ブラッドと一緒ならどんなことだってきっとできるって、ブラッドはきっと私を守ってくれるでしょ…っ!?」
     全力で走りながら、彼女の精一杯の訴えは先程まで悪党と似た性質を持っていたブラッドの心を突き動かす。いつでもそうだ。彼女がいるから自分は、何処まで堕ちても光を見出すことができるのだ。
    「レナ!わかったから道案内はしっかり頼むぜ!!」
    「へ?!キャァッ!」
    そう告げる否やブラッドはレナを抱えて、全速力で駆け出した。おそらくは別方へ伸びている鉄製の細路地を目指していたはずだ。
    「あ、あっち!あの路地を通り抜けて!突き当たりまで行ったところに停止装置があるって!あの先生が!!」
    「ハッ、余裕だっつの、任せろよ。落ちんなよレナ!」
    「うん!」
     こんなところでアドレナリンを全開にするとは思わなかった。走り出す二人は何処か楽しげだった。
    だがその細路地に入って気づく、異様な鉄のにおいがしてブラッドが目を凝らせば先の出口がご丁寧にも鉄で固められており、これを突破する手立てがないのではないかとふと思ったのだが。そんなわけもなく。
    すぐさま彼は冷静に呼びつけた。
    「煉覇極炎」
    『……。』
     途端自分と並走する様に出てきた骸骨がチラと主人を見、すぐに灼熱の火炎放射を繰り出せば目の前の重厚な鉄が紅く、赤く焼け落ちていく。その隙間を縫うように彼は大事な者を抱えて駆け抜けていく。灼熱の温度に心地よささえ覚えながら。



    「いってぇな!和泉!コラ!腕折れてんだぞこっちはよ!!!!!説明しろってオイ!!」
     一方で冷慈も冷慈で満身創痍のところで無理に引き摺られながら移動をしていた。
    「さっきユメちゃんが言ってたでしょ!!何回も言わすな殺す!」
    「アァ!?」
    「とにかく!ヤバくなる前に早く止めにいかなきゃいけないの!道は聞いてきたから着いてきて!」
    「このクソアマ〜!!」
     仕方がないと言わんばかりに走り出すその先にはまさに今激戦を繰り広げるルイディナとリノがおり、和泉の足が止まりかける。
    「だーーー!くそ!あの向こう側に行くんか!?」
    「そう!どうしよう!」
    「くそ、一発ぐらい持てよ俺……!和泉来い!ぜってぇ離すな!」
     雑に和泉のことを折れた方の力が入りすぎない手で握り、反対の手で自身の解除鍵を押し込んだ。
    「解除!!!!!!!吹っ飛べ!!!!」
    「え!?嘘でしょ、いやぁああああああああああ“!!!!!!!!!!!!」
     一瞬だけの能力の解錠。グッと自分の脚に能力を集中させ弾丸の如く激戦の上を飛んでいく。
    「いやァアアアアアーーーー!!」
    「うっせぇ!A-G-E-N-T!!来い!!」
     そうして彼はまた叫ぶ。自身のとっておきの秘策を。
    『待ってましたァ!』
    「着地は任せたァ!!!」
     まるで何かのゲームさながらの台詞を聞き届けたその能力の化身はいとも簡単に降ってくるその恋人二人を抱きとめ、ウィンクを飛ばす。
    『オーケー、この先も必要になったら呼んでくれよな!』
    「わかった!いくぞ和泉!」
    「えぁ、あぁぁーーー!!いくから待ってぇーーー!!!!」
     最早道案内とは。そう彼の第三勢力は眺めながら口笛を呑気に吹いてみせる。
    『ご武運を、マイロード。ってねぇ〜♪』

     そうしてまたところ変わって、絶賛螺旋階段を登っている蛮族女子生徒コンビは息切れ一つさえしていないが、立ち往生をしていた。
    「もーーーッ!最悪!!」
    それは何故か。先の戦闘でだろうかはたまたはルイディナの嫌がらせか。階段の一部がごっそりと落とされているたのだ。既に別の道を探しに引き返せるような位置ではなく、かと言って助走をつけたところで飛び移れそうな距離でもない。こんなサプライズは要らなかったと思いながらこの空間の攻略を思案する。
    「何か、何かできれば…!あー!ハシゴとか作れる能力欲しかったよぉ!!」
    「ハシゴ……ん?……待て私にできるかもしれない」
    「本当!?セロス生つよ!!!まさか氷でも出せるの!?セロスだけに!?」
     ユメコのなんてことない戯言に、ニヒツはこれでもかというほどの笑みを浮かべ告げる。
    「あぁそのまさかだ。手を貸してくれないか!空虚氷柱!」
     彼女が何かを呼ぶ。その途端あたり一面に冷気が恐ろしいほどに充満し、パキパキと音を立てていく。
    目の前の落ちた階段のあった場所に氷がまるで道のように生えていくのだ。
    「さむっ……わぁ!」
    「ありがとう!」
    『ワタシ、アナタのオテツダイ、スルヨ』
    「おわっ!!??第三勢力!?」
    『ヒャッ……!?は、はやく、ワタっテ…』
    「あぁ、助かった。ありがとう」
     何処からか声がする、とユメコが振り返ればそこには真っ白な幼女が一人。本来であれば冷慈が使役しているらしい二体目の第三勢力、空虚氷柱は自由であり、恩人でもあるブラッドやニヒツのいうことも素直に聞く氷能力の第三勢力だ。どうやら今回はニヒツの手伝いという名目で呼び出しに応じてくれたらしい。
    「すごいね!ニヒツさん!」
    「そうだろう?だが私より兄さんたちの方がすごいんだが。とにかく先を急ごう」
    『「うん!」』

     そうして三方向に各校の優秀らしい生徒たちが散らばって行ったのを気配で察知した激戦区在住救世主ことリノ・マッケーシは得意得物の狙撃銃を殴り捨て、近接用にあしらえた剣を構え直す。
    にじりよるルイディナの殺気を、打ち消すように笑みを浮かべてお得意の話術で煽れば彼女は、今までに見たことのないような冷徹な表情で彼を見下ろす。
    「ハハッ!ルイディナ!どうだよ、能力が通じないってのはよ」
     これは非常に分の悪い賭けだった。だがこうでもしなければこの女を相手にして勝てる算段が見当たらなかったのだ。
    それは案外単純でそれでいて恐ろしい、研究途中の秘策。絶縁体質の人間の血液を自身に投与することだ。
    下手を打てば、自身のAPごと打ち消され二度と能力が使えなくなるという危険性を孕んでいるのを承知でリノはそれに手を伸ばした。結果として彼は一時的に絶縁体質になっており、彼女の能力を無効化している。
     既に視力の片方をルイディナによって持って行かれているのだ。これ以上取られては戦闘に支障が出る。
    「小賢しい真似をしてくれたな、リノ。そういう小細工が好きなお前が昔から嫌いさ」
    「同じ穴の狢だろうが、お前と俺はよ」
     先に動いたのはルイディナで、表情のないままリノの首を狙って愚直に突っ込んでいく。ガキンガキンと金属音が響き、摩擦から火花が生まれては二人の間で消えて行く。
     実力はほぼ互角。それでも明確な差があるのはルイディナは躊躇なく殺人ができるという点だった。それに対してリノは殺人という行為が出来ずに軍人を降りた死に損ない。

     そうだ、今から始まるのは一方的な殺戮だ。

    「ふふっ……すぐに楽にしてやるとも。心配いらない。惑星ごと混乱に陥れもしてやるとも。…もうあと10秒もないからな」

     それは魔のカウントダウンだった。

    10、9、8、7

    それぞれの視界の端にスイッチが映る。

    6、5、4、3

    止まることも諦めることも許されない。

    2、

    バンっ


    1

    「「「間に合った!!!!!!!!!!!!」」」


    三ヶ所別方向
    ほぼ同時だった。

    滑り込んで音を立ててそのスイッチをそれぞれが押せば一気に出てきた大量のホログラムが赤から緑へ変わる。

    ーシステムオールグリーン:施錠完了ー


    「はっ、見たかアバズレ……!」
    「チッ……、今日のところは退いてやる。感謝するといい、リノ」
    「おい待て!俺の視力返せよ…って逃げ足だけは速いな、クソ野郎が!」
     疲れたな。とポケットから一本のタバコを取り出して火をつけ肺に煙を流し込む。復讐にもよく似た支援が終わることを知らない。いつか自分の視力を取り戻すまでは。自分の先輩をこちらに引き戻すまでは。

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