青山と由井「ここにいたのか」
背中にかかる馴染みの声。振り返った先のピンク色は、青空と繋がるこの空間においてはそれだけが不自然に浮いているようだった。
珍しいなと俺が返す暇もなく、孝太郎は当たり前のように隣に座りまるでいつもそうしているように右脚を組んで落ち着きを示す。
「気にしてるのか昨日のこと」
「気にしない方がおかしいだろ……」
問われる内容は大方予想がついていたし、やっぱりその通りだった。関さんと泉が入籍をしたと聞いたのはつい昨日のことだったが、なんと、俺以外全員が気付いていたのだ。報告があるという関さんの意図を全くと言っていいほど理解せず「何か事件ですか?」と聞いてしまったのはいい笑い話だ。一生夏目にいじられる。
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