繋ぐ雷鳴煩いくらいの雨音と頻繁に轟くようになってきた雷鳴が心をざわめかせる。もう小さな子どもではないのだから屋内にいれば安全だと分かっているのだが、どうにも気持ちが落ち着かない。
「やっぱり少し怖いなあ……」
エマは月渡りのギルドホームに設けてもらった自室でギルド連盟に提出する書類を確認した後、小さくため息をついた。気付けばあたりはとっくに静まり返っている時間だ。寝る支度を整えてから仕事を再開していたのでそのまま寝てしまってもよいのだが、思ったよりも外が蒸して暑いからか妙に喉が渇く。
──何か飲んだらすぐに寝てしまおう。
エマは徐々に近付いてくる雷雲の気配を感じながら、月渡りの皆を起こさないように足音を殺してキッチンへ向かうことにした。
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