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    Shsyamo🐟

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    大喧嘩する夢をみた話

    お題主<お揚げ丸様>

    夢がさめたら「もうリアスなんて知りません。」
    「こっちも願い下げだよ!このビッチが!」
    そう口にすると、そのまま光ノは踵を返して部屋を出ていった。

    きっかけはささいなことなんだと思う。
    なんでこうなってるのかはわからない。
    でも、目の前にいた光ノに腹が煮えくり返る程苛ついてたまらない。

    リアスと光ノは、お互いのプライドの高さからよく喧嘩をしていた。
    数年付き合ってやっと、少しだけ、丸くなったのかなと思っているが、それでも喧嘩がなくなるわけではなく。

    ふと気づけばまたこうして言い合いをしている。
    ただひとつ不思議なのは、どうしてこうなったか、である。

    いつの間にかリビングで光ノと言い合いになっており、理由もわからずに、ひたすらに彼に腹が立っている。
    売り言葉に買い言葉のように、光ノがこちらに冷たい言葉を溢すものだから、こっちもむしゃくしゃして暴言を吐いた。

    光ノが部屋を出ていって、どれくらい経っただろう。
    どうせまたしょんぼりして部屋に戻ってくるんだろう。
    それか自分の部屋に籠もっているのだろう。

    しかし、一向に彼が帰ってる気配もなけりゃ物音一つさえしない。

    ドクドクと鼓動がはやくなる気がした。
    不安が自分を取り巻く。

    そっとリビングから出て見る。
    玄関に向かうと光ノの靴がない。
    バタバタと足がもつれながら階段を登って光ノの自室を開ける。
    そこはもぬけの殻で。
    昨日まであったんだ、彼の荷物も、ベッドも、何もかも。
    それなのに、新居のように空っぽの部屋。

    はっ、はっ、と呼吸が浅くなる。
    視界が揺らぐ。

    光ノをはやく探しに行かなければ。
    動きたいのに、足が動かない。
    身体が重い。

    それなのに、無性に眠気が自分を襲う。
    こんなところで寝ている場合ではないのだ。
    ─逆らうことのできない眠気に、瞼が、落ちる。



    「─・・・ァス、リアスッ!」
    「っは、ぁ!」

    かひゅ、と過呼吸気味になっていたところを、身体が揺さぶられて意識を取り戻す。

    ガバッと起き上がるとそこは寝室で、目の前には顔を真っ青にする光ノ。

    自分が目覚めたことに、すこしホッとしたようにため息をついた。

    「大丈夫で・・・っ」
    彼がこちらを心配して声をかけきる前に腕をひっつかむ。
    「痛っ、リアス、いたい・・・です」
    力いっぱいぎゅっと抱きしめる。


    急に身体をひっぱるものだから光ノは無理な体勢のまま苦しいほどリアスに抱きしめられて驚きと体の痛みを訴える。
    しかしその声が彼に届くことはなく、リアスの身体はカタカタと震えている。
    肩に当たる彼の顔から、涙であろう、じわりと水滴が流れるのを感じた。

    一人で昼寝をしていたリアスが夕方まで眠っているのでそろそろ起こそうと部屋に向かうと、苦しそうに過呼吸を発症しているのでギョッとして無理やり起こした結果がこれである。

    きっと恐ろしい夢でも見たのだろう。
    光ノは無理な体勢を我慢しながらよしよしとリアスの頭を撫でる。

    リアスがぼそぼそ何かを呟いているので耳を澄ます。
    「・・・ごめん、ごめんシュウ、ごめん」
    小さく何度も自分に向かって謝っているようだった。
    自分のことをシュウと呼ぶ時はよっぽどのことである。

    「大丈夫ですよ、リアス。私はここにいますよ。」
    優しく、ゆっくりと彼に言葉をかける。

    しばらくするとゆっくり顔をあげるリアス。
    瞳を腫らして、顔は真っ赤にして、涙と鼻水でグシャグシャだ。
    あまりにも酷い顔なので、ふふ、と困ったように笑うとまた泣きそうになるので、ちゅ、とキスをしてやった。

    「ゆめ、じゃない?シュウ、ここにいる?」
    またしても自分の存在を確認するようにペタペタと身体を触ってくる。
    「はい、ここにいますよ。夢じゃないです。」
    リアスのほっぺを優しくつねってやる。
    「・・・いたい」
    またポロポロと涙を溢す彼を、思う存分甘やかした。


    彼が落ち着いた後事情を聞いたところ、自分と喧嘩して居なくなってしまう夢を見た、と聞いた光ノのは口元が緩むのが我慢できなかった。
    それであんなにも彼は取り乱してしまうのかと。

    それから些細な喧嘩の数は少なくなり、リアスが小さな言い合いの後には光ノの好物を必ず用意するようになった。


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