Happy Rainy Day─ 雨宿り ─
ザアアァ。
だんだんとひどくなる雨粒。
「屋根の下にいてよかったですね」
「あぁ。」
光ノとリアスは、公園の屋根付きベンチに腰掛けていた。
二人で散歩をしていたところ、雨が降るよ、とスマホのお天気アプリがお知らせしてくれた。
まだ家まではしばらく距離があったため、雨に降られる前に屋根のあるところまで避難したのだった。
最初はポツポツと降り始めた雨も、いつの間にか本降りになっていた。
会話も雨で若干聞き取りづらく、自然と距離が近くなる。
「あ、少し弱くなってきましたね」
「・・・また降ってきたんじゃね」
「空も明るいですから、あと少しで止みますよ」
んー、と腰掛けながら伸びをする光ノ。
それをジッと横で見つめるリアス。
「・・・なんですか、じっと見て。」
「いや、べつに。あ、止んだんじゃね?」
「そうですね、そろそろ行きますか。」
リアスが先にベンチから立ち上がる。
続いて立ち上がろうとすると、彼がくるりと振り返る。
そのまま重なる唇。
「へへ、驚いてやんの。」
悪戯に笑う顔は、雲が晴れた太陽の光で輝いていた。
─ Rainy Wedding ─
「綺麗なチューリップ!」
「たくさん咲いてるね。」
シュウとルカは二人でチューリップ園に来ていた。
二人の周りには、色とりどりのチューリップが綺麗に花を咲かせていた。
平日なのもあり、客は周りには見当たらず。
それをいい事に手を繋いで身を寄せる二人。
「へへ、ルカとデートうれしいな」
「POG!俺も嬉しい!シュウかわいい!」
「ふふ、ありがと、ルカもかっこいいよ」
ニコリと微笑み合う。
広い敷地を歩いていると、ポツリと顔に水がかかる。
「あれ?雨?」
「ん?空は明るいけど・・・あ、ホントだ。」
唐突な天気雨。
きっとすぐ止むだろうが、雨粒は大きく強い。
周りには雨宿りができるような建物はなかった。
「屋根もないし、止むまで濡れちゃうけど仕方ないよね、ルカ・・・」
シュウがふとルカを振り向くと、さっと頭に何かがかけられる。
シュウの顔周りの雨が止む。
「風邪引いたら困るでしょ。これ被って」
それはルカが羽織っていた白いジャケット。
それを脱いだことによって薄いTシャツ一枚になった彼の筋肉質な上半身が晒される。
君のほうが風邪ひきそうだしその格好は自分の目に悪い、と思ったが、彼の優しさをありがたくもらっておいた。
「ありがとう、ルカ。」
目の前の愛おしい彼に視線を合わせると、何故か頬を染めるルカ。
「どうしたの?」
「・・・なんか、結婚式みたい。」
「え?」
「白いヴェールに包まれた、お嫁さん!」
その言葉に、シュウの顔もボッと赤くなる。
「─シュウ、結婚しよ?」
真剣なルカの眼差し。
雨が滴る顔もセクシーで、シュウの心拍数は上がるばかり。
シュウの顔には雨がかかってないはずだが、頬に流れる水を感じる。
「・・・はい。」
静かに口づけを交わす二人の空には、大きな虹が架かっていた。