隠れた愛『遅くなりそうだから、闇ノの家に泊まれ』
そうメッセージが届いたので、光ノは迷惑でないか連絡をいれる。
「すみません闇ノ、今リアスから連絡があって・・・」
「あ、僕もミスタから聞いたよ。ひとりは寂しいからうちにおいで、待ってるよ」
そう言われて闇ノとミスタの家にお邪魔する光ノ。
「いらっしゃい、光ノ。」
「おじゃまします。」
少し生活感のある闇ノの家。
リビングのダイニングテーブルにはミスタのものであろうパソコンと書類が小さな山を作っていた。
「んへへ、汚くてごめんね。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「夕ご飯は食べた?」
「あ、まだです。」
「僕もまだなんだけど、ミスタがいらないなら丁度二人分あるから一緒に食べよう?」
「はい!ぜひ、食べたいです。」
二人で向かい合って夕飯を食べた。
「なんかこうやって二人で過ごすの久しぶりだね」
お互いパートナーができる前は、二人で一緒に暮らしていたのだ。
たまにお互いの家に遊びに行くことはあっても、ミスタとリアスも一緒だったので、二人きりで過ごすのは久々であった。
「・・・はい、闇ノと過ごせて楽しいです。」
「んふふ、でも光ノ、リアスとうまく行ってるみたいでよかった。」
シュウがニコニコと光ノを見つめる。
「・・・・・・。」
対照的にだんだんと表情が曇る光ノ。
「え、もしかして、なんかあった?」
「実は・・・」
光ノが悩んでいること。
それは、リアスがあまりにも過保護すぎること。
一緒に住み始めてから特に細かく連絡が増えた。
さらに、出かける時は基本的には一緒。
もしくは一緒に行けない時にはどこに行くか連絡すること。
位置情報はオンにしておくこと。
「今日だって、一人でお留守番くらい出来ますよ・・・!」
厶、と頬を膨らませる光ノに対して目をぱちくりさせるシュウ。
「闇ノも酷いと思いませんか・・・?」
「えっと・・・」
はは、と苦笑いするシュウ。
「もしかしてミスタもそうなんですか・・・?」
「え、いや、うちは全然自由だしミスタなんて連絡なしに帰ってこないこともあるよ?」
「闇ノはそれで平気なんです?!」
ガタンと椅子を鳴らして立ち上がる光ノ。
─いやいやその言い方矛盾してない?
そんな言葉は飲み込んで。
「まぁまぁ、少し落ち着きなよ光ノ。」
はい、と食後のコーヒーを差し出す。
「君はそうやってリアスに縛られるのは嫌なの?」
「嫌というか・・・信頼されてない気がして。」
光ノは視線をコーヒーに落とす。
「そういう光ノは、リアスの行き先は知ってるの?」
「聞かなくても嫌というほど連絡が来ます。ほら、そんなこと言ってたら。」
ヴヴヴと震える光ノのスマホ。
リアスからメッセージ。
『夜ご飯食ったか?風呂でのぼせないようにするんだぞ。俺はまだミスタと事務所。早く帰りたい。』
「・・・愛されてるなぁ。」
シュウはまたしても笑うことしかできなかった。