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    hbnho210

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    ルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題をお借りしました。モクマさんもチェズレイもでてきます。退行催眠でアーロンがルクバンちゃんになっています。※過去の拙著での設定がちょいちょいでてきます

    #ルクアロ
    rquaro.

    お題:「ネクタイ」「あいつが悪い」3/5 アーロンとチェズレイが大喧嘩をした。お互い反りが合わないということは周知の事実だけれど今回の喧嘩はちょっと派手で、華があっていいねえ、とモクマは笑っていたが少々厄介な事になってしまい、最初は面白がって笑っていたモクマも苦笑いをしている。ルークは顔面蒼白で口を開いたり閉じたりしていたが上手い言葉が見つからず、額ににじむ汗を拭って深呼吸をした。
    「……アーロン、……僕が誰だか、わかる」
    「おっきくなったヒーロー! また会えたね! ぼく、また未来の世界にタイムスリップしてきちゃったの?」
     ※注釈:過去の拙著でそういうネタがありました。
     チェズレイの名を呼ぶルークの声もむなしく、既にチェズレイの姿は此処には無く、派手な「喧嘩」の末にとんでもない置土産をのこして何処へと姿をくらましてしまった。のこされたのは、青くなったり赤くなったりして右往左往しているルークと、初対面の“ルーク”に怯えられてしまいショックを受けているモクマと、誰もがうらやむ体躯をした成人男性の身体に齢、七歳の少年の心を持つ“ルーク・バーンズ”だけであった。

    「それじゃ、おじさんはあの困ったいたずらっ子を探してくるよ」
    「……おじさんは、誰なの」
    「そんな怯えなさんなって、まあ、そんなお前さんも新鮮でなかなか趣きがあるけどね」
     ルークの背中に隠れているつもりがまったく隠れることができていないアーロンに向かって、モクマは人懐こそうな笑顔を向けると、襟を正し、少し神妙な顔つきになった。
    「おじさんが、誰かって? それはね……世界のどこにいてもいつでも君のとなりにいるよ、だから困ったときは名前を呼んでくれ、その名は……変身超忍ニンジャジャン!!」
     モクマが高く跳んだそのとき何処からともなく強く風が吹いて、次の瞬間、その姿は何処にもなかった。いつの間にか開放たれていた窓のカーテンがばたばたと大きな音をたてて風に翻弄されている。小さな旋毛風が床の上を二、三回くるくると旋回し、消えていった。
    「……っ、ニ、ニンジャジャン?!?!」
     瞳の中の星があふれてこぼれそうなくらいきらきらとかがやいて、ふるえる頬は林檎のよう。強く握りしめた両手を胸に当てて“ルーク”は大きなため息をついた。

     以前、アーロンが退行催眠で七歳になってしまったとき『ニンジャジャン』のDVDを一緒に視たことを憶えていてくれたことはとても嬉しい。けれど、興奮冷めやらず先程からずっとニンジャジャンの話ばかりをしている“ルーク”はもうすっかりとニンジャジャンに夢中で、それは何だか、少し、
    「ねえ、“ルーク”、……ヒーローとニンジャジャン、どっちが、好き?」
    「ヒーローとニンジャジャン? もちろんヒーローだよ! ぼくは世界でいちばんヒーローが大好き!」
     ルークは思わずアーロンを抱きしめてしまった。そう、言ってほしくて、そう言ってくれるだろうことが解っていて、わざと言わせてしまったことを後ろめたく思いながら、それでもアーロンから「大好き」と言われると、こんなにも嬉しくてたまらない。
    「ううう、ちょっと情けないよな……、でも」
     そう、君が僕のことを「大好き」だなんてこと、知ってる。言葉にしなくたってちゃんと伝わってる。でもね、たまにはね、君の真直ぐな視線とおなじくらい真直ぐな言葉が欲しいと思ってしまうんだ。
    「ねえ、“ルーク”もういっかい、言ってくれる?」
    「ヒーロー大好き!!」
     
     このお詫びは肉三十キロで何とかしてもらおう。ルークは充分に奇跡的な幸福を堪能したあと、あらためて今、目のまえにある問題と向き合った。
    「“ルーク”は何で、また……未来にタイムスリップしちゃったか、わかる?」
    「……たぶん、あのおにいちゃんのせい」
     そう言って、アーロンは唇を噛んで俯いた。
    「よく……わかんないけど、きれいなおにいちゃんがぼくに何かをしたんだ。そして気がついたら、ええと……未来、にきちゃって、目のまえにはおっきくなったヒーローがいた」
     「きれいなおにいちゃん」とはチェズレイのことだろう。曖昧な記憶のなかでも本能で何かを理解しているらしく、アーロンは眉間に皺をよせて顔をしかめた。
    「うーん、そう、“ルーク”ときれいなおにいちゃん、二人は喧嘩をしていたんだよ。何が原因かは解らないけれど、まあ、喧嘩というかどちらかというと……」
    「でも、ぜったいあいつが悪いんだ!」
     何時もの聞きなれた怒号。だけれど、それがアーロンの声であっても“ルーク”の口からでたものだと思うと、その大きな声にルークはびっくりして目をまるくした。そして自分の口からこんな大きな声がでてしまったことにいちばん驚いていたのは“ルーク”だった。
    「……ごめんなさい、大きな声、だして、何で、ぼく、こんな……それに、あのおにいちゃんのこと、あいつ、なんて言って、ぼく、悪い子だ、……ぼくのこと嫌いにならないで、お願いヒーロー」
    「“ルーク”……嫌いになんてならないよ。なるもんか。それに、今回のことは確かに、あのきれいなおにいちゃんが悪い」
    ルークは頷いて、今にも泣きそうなアーロンに微笑んだ。
    「でもね、あのきれいなおにいちゃん……チェズレイはほんとうはとても情が深くて優しくて素敵な人なんだ。だから許してあげてくれないかな」
    「うん。わかったよヒーロー」
    「そしてね、チェズレイもさっきのニンジャジャンさんも君の、僕たちの大切な仲間なんだよ。この、未来の世界で僕たちは正義のヒーローとして大活躍してるんだ!」
    「ほんとう?! ぼくも仲間なの?」
    「そうだよ。“ルーク”は誰よりもたのもしくて強い仲間だ! だから今度チェズレイに会ったら仲直りしてくれる?」
    「うん! 仲直りする! だって、仲間なんでしょう、ぼくたち」
     仲間、そう言ったアーロンの声は少し照れくさそうで、だけれどとても嬉しくてたまらないという気持ちでいっぱいのその顔は幼い子供そのものだった。ルークはまるで不意打ちを喰らったようにその場に倒れた。

     大丈夫? そう言って心配するアーロンに、問題ないと応えたルークは、平常心を保とうと呼吸を整え、目のまえにいるのはアーロンではなく七歳の“ル-ク”だと自分に何度も言い聞かせた。
    「……ヒーローはおとなになってもかっこいいね。たまに研究所へくる街の人たちみたいなかっこうしてる」
     アーロンの興味津々な視線の先を追う。
    「……もしかして、ネクタイ?」
     そういえば以前、研究所へやってきた役人ふうの男性が白いシャツに初夏の新緑のような色をしたネクタイをしているのを見て、それが何だかとても格好良い気がした二人はうらやましく思ったことがあった。大人になったら自分たちもああいう格好をするのかな、そう言いながら二人で何色のネクタイをするか話し合った。忘れていた、“ルーク”との想いでのひとつだ。些細な切欠で忘れていた想いでがよみがえるたび、ルークは胸のなかにあたたかい光が灯るような気持ちがした。
    「……“ルーク”も、ネクタイしてみる?」
     アーロンがいきおいよく頷くと、ルークは自分のネクタイに指をかけてゆっくりと解き、器用に襟からするり、とネクタイをはずすと、それをアーロンの首にかけ、慣れた手つきで結び始めた。自分の身につけるのとは違う、何だか不思議な感じがする。ルークは自分のネクタイを締めたアーロンの首を、凝、と見た。
    「……この服じゃ、あんまり似合わないね……」
     そう言いながらもアーロンは夏空の色をしたネクタイのことは気に入ったようで、手で触ったり、ヒーローの真似をして自分でも結ぶフリをしたりしていた。
     似合う似合わない以前に、素肌の首にネクタイを付けるべきではない。そう思ったルークは急いでアーロンの首からネクタイを解いた。アーロンは少し残念そうな顔をしていたが、ルークとしては自分があまりにも罪深い行為をしているのではないかということに慄いて、これ以上は耐えられなくなったのだ。
    「ぼくもヒーローみたいなかっこいいシャツが着たいなあ。何でぼくのお洋服はこんなにビリビリになっちゃったの?」
    「いやほんとにね何でだろうね……そこのところの設定もうちょっと詳しく知りたいよね……」


     モクマから、いたずらっ子を捕獲したので今から連れて帰るよ、そう連絡があった。アーロンは、皿の上に山とつまれたチョコ五倍がけドーナツには一向に手をつけず、ふたつ目のルークお手製ローストビーフのバケットサンドに手を伸ばした。そんなアーロンの姿なんて見慣れているはずなのに、何だかとても懐かしく、夢中になってバケットを頬張るアーロンからは、あの燃える太陽と赤い土の匂いがした。懐かしく愛おしい日々の幻影が、其処には在った。
     アーロンにはやく元に戻って欲しいという気持ちと、懐かしく離れがたい郷愁の想いでに、ルークの胸のなかでは複雑な気持ちが、花火のようにスパークしていた。

     しかし。ルーク・ウィリアムズは忘れている。最も重大なことを。退行催眠で子供になっていたときの記憶は催眠が解除されたあとも「のこっている」のだということを。そう、元に戻ったアーロンは、“ルーク”として存在していたときのことをすべて憶えているのだ。
     その胸をくすぐる甘い痛みが、生死を分かつ痛みになるまで、どうか幸せな夢を。ルーク・ウィリアムズ!
     
     
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    ❤❤👏👏☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺👔
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    hbnho210

    SPUR MEルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題:「バカップル」「たばこ」お借りしました!闇バもでてくる。ルクアロだけどBOND諸君がみんなで仲良く?しています。
    お題:「バカップル」「たばこ」7/16「キスしたときにたばこの味がすると、オトナのキスだな、て感じがするってむかし同級生の女の子が言っていたんだけど」
    「……女とそういう話するのか、意外だな」
    「ハイスクールのときだよ。隣の席の子が付き合いはじめたばかりの年上の彼氏の話をはじめると止まらなくて……それでさ、アーロンはどんな味がした」
    「何」
    「僕とキスをしたとき」
     午后の気怠さのなか、どうでもいい話をしながら、なんとなく唇がふれあって、舌先でつつくように唇を舐めたり、歯で唇をかるく喰んだり、唇と唇をすり合わせて、まるで小鳥が花の蜜を吸うように戯れていた二人は、だんだんとじれったくなってどちらからともなくそのまま深く口吻けをした。そうして白昼堂々、リビングのソファで長い々キスをして、ようやく唇を離したが、離れがたいとばかりに追いかける唇と、舌をのばしてその唇をむかえようとする唇は、いつ果てるともわからぬ情動のまま口吻けをくりかえした。このままではキスだけではすまなくなると思った二人はようやく唇を解いて呼吸を整えた。身体の疼きがおさまってきたそのとき、ルークが意味不明な問答を仕掛けてきた。アーロンは、まだ冷めやらぬ肉体の熱を無理矢理に抑込みながら寝起きでも元気に庭を走りまわる犬のような顔をしたルークの顔をまじまじと見た。
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