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    hbnho210

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    ルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題「月」「眠れない」をお借りしました。ルクアロでお伽噺っていいなと思ったけどよく考えたらふたりの物語もたいがいお伽噺みたいじゃないですか?????

    #ルクアロ
    rquaro.

    お題「月」「眠れない」9/10 月が煌々と啼く夜に、小舟をうかべて海をゆく。白銀の砂が波打際でさらさらとひかる岸辺をはなれて小舟はどんどん々遠くへ々とすすんでゆく。小舟には帆もなく、辺りには風もない。それでも小舟は無音の夜に凪いだ海をすべるようにゆく。小舟は、カモミール、ひなげし、すずらん、きんぽうげ、アネモネ、たくさんの花々で埋めつくされ、その中で花たちに護られるように男がひとり眠っていた。そして、その眠る男の傍らで、てのひらいっぱいにすくい上げた花を眠る男の身体の上にはらり々と降らせている男がいた。男は何度も花をすくい上げ、花で、その身体を隠そうとするように眠る男の胸に、喉に、花を降らせた。そうして、花や花弁が眠る男の身体の上に堕ちるたびに、傍らにうずくまる男の双眸からも涙がひとつぶ、またひとつぶと、はらはらと零れ堕ちた。
    「どうか、どうか彼を連れていかないで。やっと会えたんだ。大切な大切なひとなんだ。世界でいちばん誰よりも大切なひとなんだ」
     月魄よりなおいっそうと光を放つ金色の髪をした男は、頭上で彼等をつめたい眼差しで見下ろす月から隠すように、紅焔の如く燃立つ髪の男を抱きしめた。月から伸びてくる那由他、阿僧祇の手から逃げる彼等を、無慈悲な月は追いかける。千の海を渡り、万の山を越え、幾億もの夜と朝を後にして逃げる彼等を月は何処までも何処までも追いかけてくる。とうとう九つの世界の果ての果て、その終焉りまでやってきたとき、腕のなかで眠りつづける男の、咽かえるほどの花の匂いと太陽の匂いが混じりあう頭を強く抱きしめながら男は泣きじゃくって叫んだ。
    「嗚呼、々、もうだめなのだろうか、どうしてもだめなのだろうか、やはり君はいってしまうのだろうか」
     もう、どうにでもなれというように、男はかぶりを振って、荒寥とした絶壁を背に天を仰見て、激昂する。
    「アーロン、僕は絶対に君をはなさない。たとえ君が還りたいと言ったとしても僕は絶対に還してなんかやらない。君が僕のところからいなくなるなんて許さない。君を僕から奪おうとするものに、僕は抗う。君は僕の、僕だけのものだ」
     なんと傲慢で、身勝手な、あさましい……
     月は、叢雲にその身を隠しては彎月となり、なまぬるい風を孕んでは天満月と姿を変えて、ニタリ、と嘲笑う。月から極光の矢が降ってきた。一本、二本、百本、千本、万本、天を埋尽くすほどの矢が男に降りそそぐ。男は、眠ったままその睫毛の一本たりともふるわせることなく静かに眠る男を矢の雨から護りながらしっかりと抱きしめた。そして男の背に刺さった無数の矢が、百本もの指のある大きな掌となって男の背骨を鷲掴み、上へ々と引張りながら、男が両のかいなで強く抱きしめた男から引き離そうとする力に男は歯を喰いしばり、脚を踏んばって抗った。
    「待って、行かないでくれ、アーロン、アーロン、僕をおいて行かないで、僕のそばにいて、アーロン、お願いだ、行かないで!」
    「……何処に行くんだよ」
     刹那、光が生まれた。夜の胎を引裂いて生まれてきたその光があまりにもまぶしくてルークは眉間に力を込めて目を細める。何度か瞬きしているうちにようやく慣れた目が、自分を上から覗込んでいるふたつの目と合った。
    「……アーロン、……おはよう」
    「いったいどんなトンチキな夢をみてたんだか」
     アーロンはルークが目を覚ますとその横で寝転がり仰向けになって笑った。
    「……どんな夢だっけ、忘れちゃったな、……でも、夢のなかの僕は、すごく傲慢で、身勝手で、とてもいけない奴だった気がする」
    「いいんじゃねえか、夢のなかでくらい。それに、」
     アーロン、行かないで
     アーロンは、寝言にしては大きすぎるルークのその声にうっかり応えてしまった自分を思いだし、ベッドの上でごろり、と体の向きを変えてルークに背を向けた。
     どこにも行かねえよ、俺はお前の傍にいるから
     ルークはまだ頭が完全に目覚めてはいない様子で呆、としている。アーロンはなんとなく居心地の悪いような、くすぐったいような心持になり、起き上がろうとして、手が傍らにある一冊の本に触れた。
    「なんだこれは、絵本?」
    「あ、チェズレイが送ってくれたんだ。極東の国の御伽噺なんだって。『Tale of the Princess Kaguya』……とてもせつない物語だったよ」
    「寝る前にこんなもん読んでるからロクでもねえ夢を見んじゃねえのか。つうかアイツはおまえのことイクツだと思ってんだよ」
    「なかなか眠れないんだ、て言ったら何冊か本を送ってくれたんだ。他には『Sleeping Beauty』『The Little Mermaid』……」
    「全部子供向けの絵本じゃねえか」
     アーロンはため息をついて手にした絵本を数頁めくると、見開きいっぱいに描かれたまるい、大きな白金の月が何だかやけに気味悪く、そのまま本を閉じてベッドの上に置いた。
    「眠れねえのか」
    「たまにね」
    「……運動不足なんじゃねえのか」
    「昼間あんなに働いてるのに?!」
    「仕事は運動じゃねえだろ」
     確かに、と頷いたルークはベッドの上から起き上がろうとしたアーロンの腰を抱いた。不意をつかれたアーロンは思わずそのままベッドの上に座り込んだ。
    「寝るまえにアーロンといっぱいえっちなことしたらよく眠れると思う」
    「……直球だな」
    「何なら今からでも」
     そう言って、抱きついたまま腹に鼻頭を強く押し当ててくるルークに呆れて、朝っぱらから何言ってやがる、そう怒鳴ろうとしたアーロンは、天窓の向こうに今にも失えてしまいそうな残月を見た。空にぼんやりとうかぶ幽けき月は、地上に朝が訪れることを恨めしく思っているように、夜を惜しんで啼いていた。
     月が眠り、薄明の、その空が目覚めるときまでもう少し、こうして抱き合っていたい。
     そんな欲望を月に見透かされたようで忌々しく思いながらアーロンは、ルークの触れたところから静かに浸透してくるルークの熱で腹のなかが熱くなってくるのを感じて、月よりもまるい、月光よりもかがやくルークの頭を、抱きしめた。


    おまけ。
     いちどあまい顔をしたら毎晩調子にのってきた。
    「アーロン、眠れないんだ。だからキスして」
    「しねえよ、さっさと寝ろ」
    「じゃあ僕からしちゃうぞ。……おでこ、鼻のあたま、ほっぺた、」
    「いいかげんに、」
    「耳朶、……アーロン、耳すっごく感じるよね、耳にキスされるの好き?」
    「……好きじゃねえ」
    「こんなに身体、ビクンてしたのに?……真っ赤だ、耳も、顔も。かわいいね」
    「妙なコト言ってんじゃねえよ」
    「恥ずかしがらなくても大丈夫だよ、君のことを見ているのは僕とお月さまだけだから。ああ、でも、こんないやらしい君は、お月さまにも見せたくないなあ」
    「……さっきから変なところにばっかしやがって」
    「じゃあ、はい、……唇、僕はやっぱりここにキスするのがいちばん好き。アーロンの唇も舌も、歯も、口のなかぜんぶあったかくて気持ちいい、……ほんとうに気持ちよくて、………………」
    「はッ、……ルー……クッ、………………ルーク、?」
    「……………………」
    「……………………寝やがった。マジで寝たのか? マジか? は? コイツ、この、こ、の…………」
    「……うーん、アーロン、だいすきだょ………」
    「……どうするつもりだよ俺のこの、この……てめえがさんざん妙なところにばっかキスするから収まんなくなっちまっただろうがどうしろってんだよああ?! このクソドギー! そして起きない! こんだけ大声だしてんのにまったく起きない! いや起きられても困るがこんなクソだせえところコイツに見られたら……あああちくしょうてめえなんか番犬失格だ! このクソクソクソドギー!!」

    完!
     
     
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    hbnho210

    SPUR MEルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題:「バカップル」「たばこ」お借りしました!闇バもでてくる。ルクアロだけどBOND諸君がみんなで仲良く?しています。
    お題:「バカップル」「たばこ」7/16「キスしたときにたばこの味がすると、オトナのキスだな、て感じがするってむかし同級生の女の子が言っていたんだけど」
    「……女とそういう話するのか、意外だな」
    「ハイスクールのときだよ。隣の席の子が付き合いはじめたばかりの年上の彼氏の話をはじめると止まらなくて……それでさ、アーロンはどんな味がした」
    「何」
    「僕とキスをしたとき」
     午后の気怠さのなか、どうでもいい話をしながら、なんとなく唇がふれあって、舌先でつつくように唇を舐めたり、歯で唇をかるく喰んだり、唇と唇をすり合わせて、まるで小鳥が花の蜜を吸うように戯れていた二人は、だんだんとじれったくなってどちらからともなくそのまま深く口吻けをした。そうして白昼堂々、リビングのソファで長い々キスをして、ようやく唇を離したが、離れがたいとばかりに追いかける唇と、舌をのばしてその唇をむかえようとする唇は、いつ果てるともわからぬ情動のまま口吻けをくりかえした。このままではキスだけではすまなくなると思った二人はようやく唇を解いて呼吸を整えた。身体の疼きがおさまってきたそのとき、ルークが意味不明な問答を仕掛けてきた。アーロンは、まだ冷めやらぬ肉体の熱を無理矢理に抑込みながら寝起きでも元気に庭を走りまわる犬のような顔をしたルークの顔をまじまじと見た。
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