Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    hbnho210

    @hbnho210

    BMB!

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 45

    hbnho210

    ☆quiet follow

    ルクアロ版ワンドロワンライ様よりお題「はちみつ」「恋」をおかりしました!ルクアロがいちゃいちゃいちゃいちゃしています。

    #ルクアロ
    rquaro.

    お題:「はちみつ」「恋」5/7 はちみつみたいに、あまい、あまい恋をしたの。
     それは、パンケーキに蜂蜜のチューブをまるまる一本かけたくらいあまい?
     そう訊いたら、パンケーキに蜂蜜をそんなにかけたことないから解らない、そう言われた。それはある日の放課後、クラスメイトの女子たちがクラスで流行っていた小説の一節を読み上げて聴かせてくれたときの会話だ。別の女子が、きっともっともっとあまいわ、スーパーの棚に並んでいる蜂蜜をぜんぶパンケーキにかけたよりもずっとあまいのよ、そう言って胸のまえで両手を強くにぎりしめてため息をついた。
     スーパーの棚に並んでいる蜂蜜ぜんぶをパンケーキにかけたよりもあまい。
     それはどれくらいあまいのだろう。想像もつかない。けれど、蜂蜜のチューブ一本まるまるパンケーキにかけたとき、脳がしびれるくらいあまかった。父さんにみつかって、蜂蜜のチューブ一本をまるまるパンケーキにかけることは禁止されてしまったけれど、ときどき思いだす、あのあまさを。あの、脳がびりびりっとして舌がどろどろにとけてしまうくらいあまい、あまい、はちみつよりもあまい「恋」とはどんなものかしら。そんなにあまい「恋」をしたら僕の舌はとろけて蜜になって口のなかはあまいあまい蜜でいっぱいになって息ができなくなってしまいそう。いっぱいになった蜜は口のなかからあふれて僕の体がすっかりと蜂蜜の瓶のなかにもぐってしまったみたいになったら、僕の心臓もひとくちかじると歯がじんじんするくらいにあまくなって、おなかのなかも頭のなかもあまい蜜でぱんぱんになった僕は、僕自身が世界中の蜂蜜をぜんぶかけたあまくてふわっふわのパンケーキみたいになってしまうんじゃないかしら。
     「恋」とは、それくらいあまいの?
     いつか僕もそんなあまい「恋」をする日がくるのだろうか
     この世界でいちばんあまいあまい「恋」
     僕は、いつ、その「恋」と出逢うのだろう




    「想像していた以上に、あまくてあまくて、気絶しそうなくらいあまかったよ」
    「今度は何、食ったんだ」
     呆れたとばかりにため息をついて視線を遣ったその先には空っぽの白い皿が一枚。
    「新発売の蜂蜜ダブルがけハニーハニードーナツ。でも、それよりもあまい、もっとずっとあまくてたまらない、僕はそのあまさを知ってから、どんなあまいものを食べても満足できなくなってしまったんだ」
    「完全に中毒だな」
    「そうだね、もう僕はそのあまさなしでは生きていくことができない」
    「……マジで病院行けよ」
     深刻な顔をして覗き込む、その夏の太陽をいっぱいに浴びてみずみずしくかがやく果実のような瞳も、砂塵舞う熱い太陽の国に吹く風のように少し乾いた唇も、よくみると細かい、小さな傷がいくつもついている頬も、みんなみんな、
    「あまい。あまくてあまくて、たまらない」
     その頬に、口吻けをする。不意を突いたルークの不埒な唇をまじまじと見ながら、先程からの世迷言の意味に気付いたアーロンは舌打ちをして顔を反らした。遠慮のない唇はその顔を追いかけて、鼻のあたまに、まぶたに、おでこに口吻けをする、何度も何度も、あまいお菓子をむさぼる子供のように、飽くことなく求めてくる唇が、喉を喰んだ。
    「……ほんとうに喰うつもりか、てめえは」
     顔中にルークのキスをいっぱいに受けて、それでもまだたりないとばかりに強請ってくる強欲な唇の、その、あまさを知ったときから、その唇なしではもう生きていくことが出来なくなっているのは自分の方だ。もっと欲しい、欲しくて欲しくてたまらない、いつも、どこでも、何度だってキスして欲しい。そのあまさが、欲しい。
     これじゃ、俺のほうが中毒だな
     そう、心のなかで自嘲して笑うアーロンの口の端にルークは口吻けをして、
     大好き、アーロン
     そう言って、微笑った。

     恋とはこんなにもあまいものなのね
     こんなにあまい、あまい恋をした
     あまくてあまくて、もうこの恋なしでは生きていくことができないくらい
     ふたりは
     はちみつよりも、あまい、あまい、恋を、した
      
      
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖❤❤❤❤❤💖💖💖💖💖💖💖💖💖💘💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💞💞💞💞💞💞🌸💞💗💗💗💗💗❤🍯🍯🍯🍯🍯🍯🍯🍯🍯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    hbnho210

    DONEアーロンが宝石専門の怪盗ビーストとして世間を騒がせている頃のお話。ルークとは再会する前。オリジナルキャラがでてきます。※設定捏造アリ※本編と齟齬が生じている可能性アリ。展示①『Don't cry my hero』も読んで頂けたら嬉しいです。
    4/12「Hero`s echo」展示②『Give me a smile my hero』「またハズレか、……なかなか見つからねえもんだな」
     車のクラクション、海の遥か向こうの異国の言葉たち、石畳を歩く靴の音、店の前を通りすぎていった爆発音みたいな笑い声に店のドアにはめ込まれた色とりどりの色硝子が振動してカタカタと音を立てた。
    「おまえさんが何を探しているのか知らんが、どれも一級品だよ、まったくたいした腕だ」
    「ハッ、ドロボウの腕なんざ褒められても嬉しくねえんだよ」
     白昼の街の喧騒からうすい壁いちまいで隔てられた店の中はきれいに掃除が行き届いているのにどこか埃っぽく、店に並ぶ品はどれも古い映写機で映したように見える。何処かで嗅いだことのあるようなまったく知らないような不思議な匂いがして、壁に掛けられた時計の針が刻む音はどこかうさんくさい。アーロンは横目で時計を睨みながら店主が入れた茶を呑んだ。旨いが、何の茶なのかはわからない。
    2021

    hbnho210

    DONEアーロンがハスマリーで怪盗稼業をしていたときのお話。オリジナルキャラがでてきます。ルークはでてきませんが作中ではルーク(ヒーロー)の存在感がアリアリです。アーロンの心のなかにはいつでもヒーローがいるから……。アーロンが”怪盗ビースト”と呼ばれていますが、そのあたりは展示②の『Give me a smile my hero』を読んでいいただけると嬉しいです。※捏造設定アリ
    4/12「Hero`s echo」展示①『Don't cry my hero』「ねえ、聞いたかい? またでたってサ」
    「ああ、朝から物々しいからどうしたのかと思ったら、狙われたのは前々から黒いウワサのあった政府のお偉いさんの屋敷だっていうじゃねえか。相変わらず小気味がいいねえ」
     土埃と乾いた風、午前七時の太陽は容赦なく肌に照りつける、破れた幌の下にできたわずかな日陰で眠る猫、往来で市の支度をする者、共同水屋で衣類を洗ったり野菜を洗う女たち、野良犬を追いかける子ども、しきりに警笛を鳴らして怒鳴っている役人、いつもとおなじ変わることのない街の朝。だが、今朝の街はどことなくいつもより騒がしく街の人々もなにやら浮足立っていて、顔を合わせると目くばせをして何やら話し込んでいる。声をひそめながら、しかし時折、興奮して声が大きくなり相手にたしなめられている者もいた。
    3803

    related works

    recommended works

    hbnho210

    SPUR MEルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題「耳かき」「仕事中」お借りしました!あの世界の「耳のお掃除」事情がよくわからなかったので捏造です。
    お題:「耳かき」「仕事中」6/26「アーロン、おいで」
     ルークはソファに腰掛けて、まるで猫でも呼ぶように手招きをした。アーロンは呼ばれるままルークの隣に座ったが、フと、コイツ今ネコを呼ぶみたいに俺を呼んだな、ということに気がつき、牙を剥いてルークを睨むと、ずい、と目の前に木製の細い棒を差しだされた。棒の先には見覚えのある造形の飾りがついている。
    「これ、何だと思う? 何と、ニンジャジャンの”耳かき”なんだ!」
     聞きなれない言葉とはじめてみる物体を前に、アーロンは眉間に皺をよせてその”耳かき”とやらをまじまじと見た。
    「耳の掃除をする道具なんだけど、僕たちは使ったことのない道具だよな。ニンジャジャン公式グッズショップの新作なんだ。先端にちょっとカーブがついて小さなスプーンみたいになっているだろう、この先端を耳の中へ入れて、掃除するんだ。そしてなんといってもこの持ち手の上にのっかっているニンジャジャンのフィギュアが実に見事なんだよ! こんなに小さいのに、ほら、みてくれ、こんな細部まで正確に……、待ってアーロン、どこへ行くんだ」
    3679