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    hbnho210

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    ルクアロ版ワンドロワンライさまよりお題:「バカップル」「たばこ」お借りしました!闇バもでてくる。ルクアロだけどBOND諸君がみんなで仲良く?しています。

    #ルクアロ
    rquaro.

    お題:「バカップル」「たばこ」7/16「キスしたときにたばこの味がすると、オトナのキスだな、て感じがするってむかし同級生の女の子が言っていたんだけど」
    「……女とそういう話するのか、意外だな」
    「ハイスクールのときだよ。隣の席の子が付き合いはじめたばかりの年上の彼氏の話をはじめると止まらなくて……それでさ、アーロンはどんな味がした」
    「何」
    「僕とキスをしたとき」
     午后の気怠さのなか、どうでもいい話をしながら、なんとなく唇がふれあって、舌先でつつくように唇を舐めたり、歯で唇をかるく喰んだり、唇と唇をすり合わせて、まるで小鳥が花の蜜を吸うように戯れていた二人は、だんだんとじれったくなってどちらからともなくそのまま深く口吻けをした。そうして白昼堂々、リビングのソファで長い々キスをして、ようやく唇を離したが、離れがたいとばかりに追いかける唇と、舌をのばしてその唇をむかえようとする唇は、いつ果てるともわからぬ情動のまま口吻けをくりかえした。このままではキスだけではすまなくなると思った二人はようやく唇を解いて呼吸を整えた。身体の疼きがおさまってきたそのとき、ルークが意味不明な問答を仕掛けてきた。アーロンは、まだ冷めやらぬ肉体の熱を無理矢理に抑込みながら寝起きでも元気に庭を走りまわる犬のような顔をしたルークの顔をまじまじと見た。
    「……あまい」
    「……それは、僕とのキスは、その、チョコ五倍がけドーナツみたいに、君にとってあまいあまいキスだった、ってこと……?」
    「そんな何かを期待するような顔すんじゃねえ。チョコ五倍がけドーナツみたい、じゃなくてそのものだよ。あのクソ甘ぇクソいまいましい甘味の味がすんだよてめぇのキスは」
    「アーロン……、ご免、さっきチョコ五倍がけドーナツをみっつ食べました」
    「……それだけじゃねえだろ」
    「え?! すごいな?! なんでわかるんだ? 実ははずれまんじゅうも二個ほど食べたんだ」
     凄い! さすがアーロン! などとはしゃいで笑っているルークの、その甘味まみれの唇にどうしようもないほどに欲情してしまった自分が忌々しく、アーロンは静かに戦闘態勢の型をとった。それに気付いたルークは慌ててアーロンを制しながら、ソファの上で二人は仔犬と仔猫のようにじゃれあった。
    「バカップルぶりもいいかげんにしていただけませんでしょうかねぇ」
    「チェズレイ?!?!」
    「はい、ボス、こんにちは」
     午后の陽光を受け、その先端に黄金の光をたたえたようにきらめく長い睫毛をふるわせて嫣然と、そう形容する他に例えることができないほどに美しく微笑むチェズレイがソファの上で戯れている二人の前に立っていた。足音ひとつせず、何の気配もなく、いくら目のまえにいる恋人に夢中であったとしても、声を発するまで気がつかないなどということがあるだろうか。ルークとアーロンは愕然として、ソファの上で呆、とチェズレイを見上げていた。
    「、てめぇ、イツから、」
     アーロンがようやく喉から声をしぼりだすように問いかける。その声音に混じる憤怒と屈辱の心地よい音色に気分を良くしたチェズレイは、なおいっそうと艶やかに微笑えんだ。
    「お二人がとるにたらないどうでもいい会話をしながら、怪盗殿が物欲しそうにボスの唇を強請ったあたりからでしょうか」
    「どんだけ前からいやがるんだよ! 物欲しそうに強請ってなんかいねえ!」
     あわや詐欺師と怪盗、全世界を巻込む大戦闘となるところをルークが全力で止めに入りハルマゲドンはなんとか回避することが出来た。
    「チェズレイ、いつエリントンへ来たんだ? 何かあったのか?」
    「つい今しがた到着いたしました。いいえ、特に何かがあったというわけでもありませんが、久振りにボスに会いたいなと思いまして」
     遅い春をむかえたヴィンウェイの野に咲く花のようにルークに微笑みかけるチェズレイにつられてルークも、久方ぶりに大切な仲間と会えた喜びを顔いっぱいにたたえて微笑った。
    「いつまで滞在できるんだい? 夕食は勿論食べていくよな? 連絡をくれたらいろいろと準備をしておいたのになあ」
    「驚かせようと思いまして……まあ、少々、驚かされたのは此方の方ですが。まさか昼間から二人で目も当てられぬほどの過剰なスキンシップに耽っているとは……」
    「黙れ!!」
     唸るアーロンを必死で押さえつけてルークも口のなかでもごもごと何か言い訳めいたことを言いながら、チェズレイに、耳まで真っ赤ですよボス、などど揶揄われ、それを見たアーロンが更に怒り心頭で暴れようとするものだからルークは檻を喰いやぶって逃げようとする猛獣をなだめる猛獣使いの如く渾身の力でアーロンにしがみついた。
    「と、ところで、モクマさんは一緒じゃないのか? チェズレイひとりだなんて、めずらしいなあ」
    「何を言っているんですか、ボス。私とモクマさんは地獄の果てまで同道を誓った仲ですよ。当然、」
    「……い、いるんだな~実はおじさんも。……やあ、ルーク久振り。そして、ご免よ……アーロン……」
     チェズレイの後ろから煙の如く現れたその様子はまさに忍者の登場シーンに相応しいというべきであったが、当然、アーロンの身体中の血は沸騰寸前、血管は二、三本既に切れているかもしれない活火山となり、ルークは吃驚しながらも久振りの再会に嬉しく、そしてアーロンの噴火を止めようと奮闘しているうちになにがなにやらわからなくなってもはや笑うしかないとばかりに笑った。
    「何、笑ってやがるてめえは! はなせ!!」
    「アーロン! 愛してるよ! ほら、こうやって抱きしめていてあげるから僕の腕のなかでおとなしくしていてくれ、僕の愛しいキティ!」
    「……な、何、言ってやがる、……クソ! バカ! バカドギー!!」 
    「いやですねえ、これだからバカップルは」
    「仲が良くていいじゃない、喧嘩するほど仲がいいってね」
    「私とモクマさんのように?」
    「おじさんがチェズレイと喧嘩したらおじさんしんじゃうよお」
    「大丈夫ですよ、ちゃんと手加減しますから」
    「バカップルはてめえらのほうだ! もう帰れ!!」
    「アーロン、今日はみんなでパーティだぞ、アーロンの大好きな肉もたくさんたくさん焼くからな、楽しみだなあ!」
     空の、そのはるか宇宙の彼方で燃える太陽は地上のあまねくすべてを知らぬ顔で眺めながら今日も気怠く欠伸をしている。窓からほそくながい午后の陽が射込むある家の、騒がしくも何ということはない一日も、やがておとずれる優しく静かな夜が来れば今日というかけがえのない、一日となることでしょう。

    「なるわけねえだろ!!!!!」
     
     
    終!
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    hbnho210

    DONEアーロンが宝石専門の怪盗ビーストとして世間を騒がせている頃のお話。ルークとは再会する前。オリジナルキャラがでてきます。※設定捏造アリ※本編と齟齬が生じている可能性アリ。展示①『Don't cry my hero』も読んで頂けたら嬉しいです。
    4/12「Hero`s echo」展示②『Give me a smile my hero』「またハズレか、……なかなか見つからねえもんだな」
     車のクラクション、海の遥か向こうの異国の言葉たち、石畳を歩く靴の音、店の前を通りすぎていった爆発音みたいな笑い声に店のドアにはめ込まれた色とりどりの色硝子が振動してカタカタと音を立てた。
    「おまえさんが何を探しているのか知らんが、どれも一級品だよ、まったくたいした腕だ」
    「ハッ、ドロボウの腕なんざ褒められても嬉しくねえんだよ」
     白昼の街の喧騒からうすい壁いちまいで隔てられた店の中はきれいに掃除が行き届いているのにどこか埃っぽく、店に並ぶ品はどれも古い映写機で映したように見える。何処かで嗅いだことのあるようなまったく知らないような不思議な匂いがして、壁に掛けられた時計の針が刻む音はどこかうさんくさい。アーロンは横目で時計を睨みながら店主が入れた茶を呑んだ。旨いが、何の茶なのかはわからない。
    2021

    hbnho210

    DONEアーロンがハスマリーで怪盗稼業をしていたときのお話。オリジナルキャラがでてきます。ルークはでてきませんが作中ではルーク(ヒーロー)の存在感がアリアリです。アーロンの心のなかにはいつでもヒーローがいるから……。アーロンが”怪盗ビースト”と呼ばれていますが、そのあたりは展示②の『Give me a smile my hero』を読んでいいただけると嬉しいです。※捏造設定アリ
    4/12「Hero`s echo」展示①『Don't cry my hero』「ねえ、聞いたかい? またでたってサ」
    「ああ、朝から物々しいからどうしたのかと思ったら、狙われたのは前々から黒いウワサのあった政府のお偉いさんの屋敷だっていうじゃねえか。相変わらず小気味がいいねえ」
     土埃と乾いた風、午前七時の太陽は容赦なく肌に照りつける、破れた幌の下にできたわずかな日陰で眠る猫、往来で市の支度をする者、共同水屋で衣類を洗ったり野菜を洗う女たち、野良犬を追いかける子ども、しきりに警笛を鳴らして怒鳴っている役人、いつもとおなじ変わることのない街の朝。だが、今朝の街はどことなくいつもより騒がしく街の人々もなにやら浮足立っていて、顔を合わせると目くばせをして何やら話し込んでいる。声をひそめながら、しかし時折、興奮して声が大きくなり相手にたしなめられている者もいた。
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