雪風とオレと。徒桜とあなた。――ありがとう。この世がこんなに美しいと思えたのはきっとあなたのおかげ。あの日々をこんなに愛おしく懐かしむことが出来るのも貴方のおかげ。
『雪風とオレと。徒桜とあなた。』
――オレの心はずっと遠くに置き去りになっている。
高一の三月。ロッカールーム。冷え切った鉄の板で仕切られた個人スペース。名札の抜かれた右隣。鍵が掛けられていてまるで無かった事のようにされてしまっているその空間。そこにはオレとあなたの何もかもが詰まっている。
――回想。
オレのロッカーは不良品だった。鍵はスムーズに通らないし、開くと軋んだ。さらに、中にはオレよりずっと上の先輩方からのメッセージが至るところに油性ペンで書いてある始末。オマケに右隣の先輩は怖い。
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