「貴方達何者 この誇り高きイーデン校の高等部で何をするつもり」
ベッキーの金切り声は、しとどに降り注ぐ雨の音に掻き消されてしまい、周囲にひと気もないので誰の耳にも届かない。
聞こえているのはこの場にいる者だけだろう。親友のアーニャと――彼女を取り囲む4人の黒スーツ達。
傘を叩く雨音のせいか、黒服達の接近を察知出来ず、気が付いたら大柄な黒服の男達が立ちはだかっていた。
ベッキーはアーニャの隣を一緒に歩いていた筈なのに、突如現れた黒服達によって引き離された。アーニャは傘を放って激しく抵抗するも、2人に両側から動きを封じられてしまう。ベッキーも加勢しようとしたが、いつの間にか背後に回り込んでいた1人に押さえられてその場から動けない。
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