熱と恋熱と恋
お前の手が好きだ。
お前の温度が好きだ。
世界で一番安心するから、世界で一番守りたいと思ったから。
幼い頃の初恋をずるずると引き摺り続けて、12年経った。
身体は成長したと言うのに、心は6歳の頃のまま、既にこの恋心というものは自覚はしたものの、手に余る程のそれを俺ははっきり言って持て余していた。
ふと視線を横へ流すと光に照らされたチェリーブロッサムの髪がきらりきらりと輝いている。
12年の月日と共に伸びていった柔らかそうな髪はゆるりとカーブを描いて腰まで伸びていた。
柔らかなマシュマロのような頬に手をついて眠そうに授業を聞いている。
いや、多分あれは聞いていない。半分は夢の中にいるであろうゆらゆらと左右に揺れる頭を誰にも気付かれないように手で口元を隠しながら横目で見つめる。
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