「お慕いしております」
そう彼に自身の胸のうちを吐露してから、三月ほどが過ぎた。外は桜が咲き始め、美しくも儚い様相を見せている。
まるで組頭のようだと高坂は思った。美しく、どこか儚いあの方を、一番近くでお守りしたい。その想いが強すぎて、思わず告白をしてしまった事を反省はすれど後悔はない。
だが、あの方を困らせてしまったのではないかと思えば、それは心苦しかった。
「陣左」
呼ばれ振り返ると、立派に桜の花を咲かせている大木の枝に、彼がいた。いつものように脚を揃えて座っているその姿の可憐さに思わず目を細めた。
彼の元へ行くと、すとんと体重を感じさせない靭やかさで下りてくる。それすらも美しく、高坂の胸は踊った。ずっと見ていたいと思う。
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