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    botomafly

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    botomafly

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    【ジュナカル】帳が落ちたら $パロ 冒頭

     ライトに焼かれる。
     熱気に当てられる。
     歓声を浴び、視線を己がものにして世界を支配する。
     思い通りにならないものがあるとすれば、唯一手に入れたいと思った相手が隣に並び立つ男であることだ。ステージの上にいるアイドルは観客のもの。自分たちは決して、お互いのものにはなり得ない。
     だからこそ尚更、その存在は狂おしいほどに愛しい。


     拍手と歓声の中ライトが少しずつ暗くなっていく。
     アンコールにより予定の時間を予定通り超過するのはファンサービス。舞台袖に入りながら笑顔で客席に手を振るのも、最後の最後に投げキスを贈るのもファンサービス。言うなれば、アイドルとして基本の方針。
     だが、とアルジュナは前を歩く相棒の背中を見た。スタッフたちに迎えられながら気さくに労いの挨拶をしていくカルナは話が別だ。
     投げキスなどというファンサービスはしない。手は振り返すが、アイドルらしい仕草ではなく少々不器用さの目立つもの。ステージ上で歌っているのを見れば、それが許されている理由はすぐに分かる。
     つまり、そういうキャラクターのアイドルとして成り立っているのだ。
     そして彼の不器用なキャラクターは器用に立ち回るアルジュナを引き立てていく。対照的だがどちらにも損がなく、故にファン層は幅広い。デビューから人気を博してツアーをするまで、そう時は要さなかった。
     スタッフから未開封の温い水が入ったペットボトルを受け取りながら二人は廊下に出た。楽屋への通路には殆ど人がおらず、ステージで感じていた熱気が嘘のように涼しい。
    「これで漸く、一息つけますね」
    「ああ。長くも速い一カ月だった」
     だが、逸る鼓動を抑えるには足らない。昂った感情は互いへと向かう。カルナが振り返らないのは、視線が合った瞬間その場で口吻け合うかもしれないからだ。アルジュナが当り障りのない言葉を投げかけたのも、彼が振り返らないようにするためである。
     そう、困ったことに、自分たちはお互いを好いてしまい、その最も愛する姿はステージの上にある。誰よりもその彼に近い場所に立っているにもかかわらず、自分は彼のものではなく、彼は自分のものではなく。手を伸ばせば届く距離だというのに観客の前ではアイコンタクトを取るのがせいぜいだ。もどかしくて仕方がなかった。
     だからステージの幕が下りたら気を付けなければならない。でないと人目も憚らずに絡んでしまう。
     歌っている最中に少しくらい絡んでもいいのでは。一度振付師にそんなことを訊いたら、彼らが言うには自分たちが絡むと生々しくなるのだそうだ。実際のところ本当に絡まっていて、心を委ねて身体も重ねているのだから否定のしようがない。空気を読んで上手く距離を取るのはカルナの苦手とすることなので、それならステージの上では一切絡まない方が身のためだ。
     楽屋のドアを開けたカルナが、後ろに続くアルジュナを振り返りながら口を開いた。
    「ペンライト、今日はオレの方が多かった」
     目がかち合う。あぁ、やってしまった。
     アルジュナがそう思った頃には楽屋の中、ドアにカルナの背中を押し付けて唇を重ねていた。身体が求めるままに深く口吻けてアルジュナが舌を捩じ込むと、微かに目元を染めたカルナがターコイズブルーの目をついと細める。
     カルナの薄い肩から胸へとアルジュナの手が流れ、欲情を誘うその行為に乗った彼がアルジュナの頬に手を添えた。ちゅ、と音を立てて侵入してきた下を吸うと黒曜の瞳に火が灯る。
    「ん……」
     昂っている感情を押し付け合うように吐息と舌を絡め、静かな楽屋に水音を響かせる。
     まだ熱の冷め切らない観客たちが帰宅を迎えているだろうに、自分たちは彼らの姿が見えなくなった途端これだ。ステージの上にあった己の欲しいものが今日も手に入らず観客の目に晒された。その嫉妬を消化するので精一杯である。
    (いつか私のためだけにステージで歌ってくれればいいのに)
    (いつかオレのためだけにステージで歌ってくれればいいのに)
     名残惜し気に唇を食みながら顔を離しても、その距離は拳にして一つ分。
     そのまま数秒視線を交わしてからアルジュナが思い出したように口を開いた。
    「では、ツアー通しで引き分けだな」
     ペンライトの話だ。別に勝ったからといって何かがあるわけではなが、何となく勝負をしてしまう。
     リップ音を立てるキスを何度か重ね、アルジュナはカルナの胸を撫でていた手を下へと滑らせた。衣装の生地は触り心地がなめらかで体温を伝えてくる。汗ばんでいるのはまだライブの熱が冷めていないからだ。それはアルジュナも同様である。
     期待に満ちた眼差しとは裏腹にカルナが制止の声をかけた。視線をアルジュナの背後、楽屋の奥にかかった時計にやったのをアルジュナが辿り、何を言いたいのかを察する。タイムリミットが迫っているのだ。
     自分たちが帰らないとマネージャーもスタッフも帰れない。それに、そろそろ花束打のお菓子だのをスタッフが運んでくるはず。幾つか厳選して自分たちの手で持って帰るのだ。ツアー最後のライブだから、時間の流れは分かっている。流石に今から致して誰かに見られるのはまずい。
     アルジュナは己とカルナの下半身をちらと見た。見なくても分かるが、一応の意思の確認だ。身体はその気になっている。今すぐ似ても体温を重ねて腰を擦り合ってしまいたいけれど。
    「……続きはホテルで」
     耳元でねっとり囁くと微かに困り顔のカルナが頷く。それにアルジュナが笑みを浮かべ、最後にもう一度唇を重ねると二人はゆっくり離れた。
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    botomafly

    DONE【ジュナカル】片割れ二つ ひらブーのあれだんだん慣れ親しんできたインターホンを褐色肌の指が押す。部屋主がいることは予め確認済みだが、応答の気配はない。
     寒い冬、日曜日の朝。とあるマンションを訪れていたアルジュナは嘆息してインターホンを睨むともう一度ボタンを押した。インターホンの音が廊下に静かに響く。が、応答はない。毎週この時間にアルジュナが訪ねているのだから家主は気付いているはず。電車に乗ってここまで来るのは距離があるわけではないが夏と冬とくれば楽ではない。相手は客人を待たせるタイプの人間ではないのでトイレで用でも済ませているのだろうか。
     腕を組んで呼吸を十数えたところで上着のポケットに入れていたスマートフォンが音を鳴らした。見れば家主からのメッセージで、鍵は開いてるから入ってくれという内容だった。インターホンの近くにはいないがスマートフォンを触れる環境にはいるようだ。
     しかし。
    「……お邪魔します」
     ドアの先へ踏み込めばキッチンのついた廊下があり、廊下を仕切るドアを潜ればそこにあるのはワンルームだ。あの部屋の広さでインターホンに手が届かないとはどんな状況だ。
     何となく予想がつきつつも鍵を締めて廊下を進む。途中のキ 2216

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    設定画等に特にヒスイの人が革製品を使っているとは書いていないですが、キャプテンや集落の人の手袋や鞄は革らしく見えることと、サブウェイマスターのあの靴は革だろうな……という想像から、革の話になっています。でもサブウェイマスターの靴はもっと特殊な素材かもしれないな……二次創作はかもしれない運転だ……。かもしれないけどこういうのもありでしょう運転だ………。
    皮革を生活に使ってるよねという想像は、どうやらシンジュやコンゴウの人たちの暮らしは世界各地の色々な北方民族の暮らしをモデルにしてるのかな?と思ったところから出てきました。フードつきの服を着ていたり、テント風の家に住んでいたり、国立民族学博物館を訪ねた時にモンゴル展示で見たストーブとほぼ同じものが家の中にあったりするので。ポケモンや他の動物(そもそもポケモン以外の動物いるのかもよく知らないですが)を家畜として集落周辺で飼っている気配はないので、狩猟に出たり植物を採集してきたりして暮らしてるんだろうな、罠仕掛けてるみたいだし。突如そういう生活を送ることになったノボリさんは知らないことだらけで生きていこうとするだけでも周りのいろんな人から学ぶことがたくさんあったのでしょうね。
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