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    S_the_rain

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    ポイポイ

    #土銀
    bank

    微睡みの最中 目を覚ます。隣で寝息を立てている男を見つめ、ふ、と笑みをこぼす。
    「鬼の副長がまぁ、暢気な顔して寝て……」
     銀時はこの瞬間が好きだった。彼より先に起きて、寝息を聞いて、また寝る。それを毎度繰り返していた。
     銀時は素直に甘えることができない。それは本人が一番よく分かっており、相手も承知している。甘い言葉を言ってやることも、身体を擦り寄せてやることも、滅多とできなかった。
     だが、彼がすやすやと寝ているこの時は。
     銀時が素直になれる、数少ない時間だった。
     すり、と手を撫でる。ごつごつとした手。自分の大事なものを護り続けてきた手だ。銀時はこの手が好きだ。このまま穢れなくあれと願う。
     寝息を聞いていると、胸がぎゅ、となる。全てが報われる気さえした。
     銀時は毎度そう思う度、この男に惚れている自分を再確認するのだ。
    「まいったなぁ」
     こんなはずではなかったのに。
     すっかりゾッコンになっている自分にふ、と笑い、再び目を閉じる。
     怖いくらい幸せ者だな、と、銀時は複雑に思う。自分がこんな人生を歩んでいいのだろうか。なんて。少し思ってしまったり。
     だが、そんな思いが過る時はいつも、愛する男の「幸せでいてくれ」と嘆願する姿を思い出すのだ。
     まァ、お陰様で。俺ァ幸せですよ。
     言えない言葉を胸に、眠りの世界へ意識を沈めた。

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