深夜小話 ずずず、と音を立てて麺を吸い込む。初めの頃はちゅるちゅると丁寧に食べていたが、今となっては慣れたものだ。豪快な食べっぷりにこちらまで満足してしまう。
「美味しいか?」
「うん」
口の端にスープの油を付け笑う浮奇が先ほどまでの色っぽい姿と相反して愛らしく、思わず笑みが溢れた。
「それは良かった」
いつからだったか、深夜のカップラーメンは恒例の二人の至福時間となっていた。
普段美容に気を遣っている浮奇は、初めこそ時間帯とカロリーのバランスに抵抗したものの、彼氏による悪魔の囁きと中毒的な背徳感に負け今に至っている。
「ふーちゃんのは?おいしい?」
「ああ、美味いぞ。食べるか?」
「うん」
カップを交換して汁を啜る。表情を見るに、かなり気に入った様子だった。
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