ラのモデルパロ「Hi,シュウ」
次のファッションウィークに向けてシュウはオーディション会場をハシゴしていた。
いくらかオーディションを受けていると自然と顔見知りができて来る。
ヴォックスはそのうちの一人で、事務所こそ違うけれどよく同じコレクションで顔を合わせることが多かった。
「やあ、ヴォックス。調子はどう?」
「まあまあと言ったところかな。今回も君と歩くことができるといいんだが」
「んはは、自信あるみたいな言い方だね。でも、実際に君は素晴らしいモデルだから僕も頑張らないと」
さり気なく腰に腕を回し、エスコートをするような仕草を見せるヴォックスを躱しながら廊下を歩く。
ヴォックスは、神に愛されたと言ってもいいほど理想のモデルだ。わざわざオーディションなど受けずとも、彼にランウェイを歩かせたいデザイナーなど履いて捨てるほどいる。
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