審神者に恋した刀達陸奥守吉行は秋。
この本丸が始まった季節。木枯らしが枯葉を巻き上げるのを眺めながら、紅葉を拾った主が言う。
『見てこれ、陸奥の色してる』
自分を見上げて笑った、その顔に。
燭台切光忠は冬。
白銀の世界ではしゃぐ短刀達。その姿を眺めながら手を擦り合わせているのを見て、温かいお茶を差し出した。
『ありがとう光忠、助かったよ』
鼻先を少し赤くしながら、嬉しそうに微笑んだ顔に。
山伏国広は春。
桜の花びらが降り積もる庭。暖かな日差しを浴びながら遊ぶ短刀達を眺める、穏やかな横顔に。
御手杵は夏。
突き抜けるような青空の下、軒下で静かに風鈴が揺れる。寝転んで庭を眺める自分を、主がひょいと覗き込んだ。
『かき氷持ってきたよ御手杵、一緒に食べよ』
その背に背負った、たくさんのヒマワリに負けぬ明るい笑顔に。
彼らは、審神者に恋をした。