酷く耳障りなヘリコプターの音の中で、私の天使は空に還った。
私は眠りについた彼女にそっと触れて、ゆっくりと立ち上がる。酷い立ちくらみがしたのは、ここ数日何も食べていなかったせいだろうか。結局カフェには行けないままだったな。崩れた壁の隙間から、とうに廃墟になったカフェが遠くに見えた。彼女に背を向けて、力の入らない脚を引きずるように入口へと歩き出す。疲弊しきった身体は私の天使と部下たちに託された意志だけを原動力に動いている。
途中何度か転びそうになりながら、ようやく入口までたどり着く。投光器とヘリのライトが熱いくらいに私を照らしていて、これではきっと一等星だって見えはしない、とぼんやりした頭で考えた。
一体どうすればよかったのだろう。どうすればあなたと一緒にいられたのか。答えは出ない、永遠に。当たり前だ、そんなものは初めから存在しなかったのだから。存在しない解を追い求めた結果がこのザマだ。
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