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「大和警部!大丈夫ですか!?」
後ろから男の人の大きな声が聞こえたので振り向くと、足を押さえて座り込む敢助がいた。慌てて敢助の元へ集まり同じように屈む数名の部下に、「悪い、大丈夫だ」と告げているが、大量に汗をかいており、無理をしていることは一目瞭然だった。
詳しくは知らないが、先の事件で負った傷だということはわかる。杖を使わないといけないほど足が悪いのに、何時間もあの鎧の中で動かずに待っていたのだとしたら、足に相当負荷がかかっているのでは…
「敢ちゃ…っ」
部下に支えられながら立つ敢助の元に、すぐに駆け寄りたかったが、由衣にはそれができなかった。今はまだ虎田家の嫁という立場で、敢助の幼なじみでも部下でもない。そんな自分が敢助の元に行く資格などないのだと、由衣自身が1番良くわかっていた。
1957