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    診断メーカーより
    『バカなのは私』をお題にして140字SSを書いて下さい。
    とのことでしたが、140字に収まりませんでしたw

    #松降
    matsushita

     ポケットに入れているスマホが震え、画面を見ると1通のメールが届いていた。差出人は『松田陣平』

    (あいつ…昨日会ったばかりじゃないか…あまり連絡するなと言っているのに)

     ため息をついてメールを開くと、松田にしては珍しい長文に何事だと驚き急いで目を通した。


    【よぉ、怪我の具合はどうだ?
    これ見ながらお前は、連絡すんなって怒ってるんだろうな。けどもうこれが最後になりそうだから、許してくれよな。
    最後にこんなこと言うのずるいなって思ってるけど、このままじゃ化けて出そうだから言っておく。気付いてなかっただろうけど、俺お前のこと好きだったんだ。こんなことなら、もっと早く言っておけば良かった。もうすぐ死ぬってときにならないと伝えられない俺を、バカだって笑うか?それとも呆れてる?このメールを見たお前の顔が見れなくて残念だ。
    じゃあな、零 お前に会えて良かった。あんまり無茶すんなよ】


    「は…?」

     不穏な内容に血の気が引いていく。ドクンドクンと心臓がうるさく音を立てる。今日は11月7日…例の爆弾犯が動くなら今日だろうと言っていた…
    ――まさか……
     震える手でテレビのリモコンを取り、電源ボタンを押す。映し出されるのは、慌ただしく報道するアナウンサーと、『杯戸町・ショッピングモールの大観覧車で爆破事件 警察官一名死亡』の文字。見間違いであれとチャンネルを替えるが、どの局もそのニュースで持ち切りだった。

     もうすぐ死ぬと、彼のメールには書いてあった。松田は自ら命を絶つ奴じゃない…あの日の萩原との約束を果たすのだと言っていた。今日はいつFAXが届くか分からないから本庁に泊まるとも聞いた。

     テレビに目を向けると、変わることのない警察官一名死亡の文字。誰かは書いていないが、これが松田ならたった今突然届いたメールの内容とも辻褄が合う。
     いや、そんなの嘘だ。警察官は本当に松田のことなのか?そもそも死亡というのは確かな情報か?あいつが爆弾解体に失敗するなんてことあるはずがない。松田なわけがない。僕をからかっているだけに違いない。もう少ししたら、驚いたか?なんて言ってくるんだろう?昨日だって、あの状況で解除に成功して得意気な顔をしていたんだ…。そう、昨日まであいつは生きて…いつものように……―――



     待てども再びスマホは鳴ることがなく、自分の心臓音が大きくなる。鉛のように重い手に力を入れてスマホを持ち上げ、再びメールを読み返す。

     見ないようにしているのに、何度読んでも嫌でも目に入ってくる『好きだ』という文字。


    「バカだろ…お前…」

     僕をからかっているだけ、なんて言ったが、松田が冗談でこんなことを言うやつじゃないことくらいわかっている。きっとやむを得ない事情があって、職務を全うするために死を選んだのだろうことも。けど、それなら僕にメールを送ってくるよりも、もっと他にやるべきことがあったんじゃないか?貴重な時間を僕なんかに使う奴があるか。それを言う相手は、僕じゃないだろう……バカだよ、松田……


     だけど本当にバカなのは、こんな時でも自分の気持ちを認めることができない、僕の方だ―――





    fin.


    ガラケーからスマホになってたから長文も打てるね、っていう…
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    usmlk_ii

    MOURNING長谷高
    長野で再会した2人のお話
    ※長谷高が同じ大学の先輩後輩
    ※大学時代と現在
    ※まだ付き合ってない
    ※映画のネタバレ含みます
    ※捏造しかありません

    少しでも楽しんでいただけると幸いです。
    手を繋ぐから始めませんか?*


     長谷部陸夫が諸伏高明と初めて出会ったのは、東都大学のキャンパス内にある図書館だった。人がまばらな時間帯に訪れたそこで、彼を見つけた。

     窓から光が差し込む端の席で、背筋を伸ばし静かに本を読む凛とした姿に、目を奪われた。
     彼の周りだけ輝いていて、時が止まっているのではと錯覚してしまいそうなほど美しく、まるで絵画のようだった。他を寄せつけないその様が、絵になって綺麗だと思った…

     中性的な顔立ちに透き通るような白い肌、綺麗な黒髪と長身だけど線の細い身体。儚げで、触れると消えてしまいそう、それが諸伏高明に抱いた最初の印象だった。

     彼に興味を持った長谷部は、すぐに声をかけた。突然初対面の男に話しかけられ、最初は不審に思われ避けられていたが、毎日彼を探し繰り返し声をかけるうちに、徐々に心を開いて様々なことを話してくれるようになった。彼のことを「高明くん」と呼べば、いきなり下の名前で呼ぶのかと怪訝な顔をされたことを覚えている。
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