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    usmlk_ii

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    usmlk_ii

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    生存ifです。日付の明記はしておりませんが捏造誕生日をお祝いしています。

    Take my love*



    『当日は遅くまで仕事があるから会えないぞ』

     そう言われていたけれどやっぱり会いたくて、気が付いたら家を飛び出し走っていた。



     零の誕生日を誰よりも早く祝いたくて、前日の22時くらいに電話をかけておめでとうと伝えた。そうしたら、『早くないか』なんて言って笑っていて、電話越しだったけれど零が笑ってくれることに胸がいっぱいになり幸せを感じた。
     そのあと日付を越えてからまた電話をして、しつこいくらいおめでとうを伝えた。零はもう良いよなんて言ってまた笑っていた。その声がどこか嬉しそうに聞こえて、再びおめでとうと口にした。
     好きな人が笑ってくれることがこんなにも幸せなことなのだと、そんなこと今まで知らなかった。
    もっともっと笑った顔が見たいと思った。笑った顔も、怒った顔も、悲しい顔も、全部自分のものにしたいと、そんなこと思ったのは、零が初めてだった。

     だから、今すぐにその想いを伝えたかった。

     この感情を、零は受け入れてくれるだろうか……



    ***



     零の住むマンションの前に着いた頃にはもうだいぶ遅い時間で、外には誰もいなくて少し肌寒い。迷惑だろうかとか、もう寝たかもしれないといった心配もあったけど、零に電話をかけた。



    「……」


    『…もしもし?』
    「あー、零?」
    『あぁ、どうかしたのか?』
    「うん、まぁ…今零のマンションの前にいるんだけどよ…ちょっと出てこれねぇ?」
    『え!?』
     その声と同時に零の部屋のカーテンが開き、ベランダに出てきた零と目が合う。少し照れくさくて軽く手を振った。

    『ちょっと待ってろ』

     慌てたような声の後電話が切れ少し待っていると、零が上着を羽織って外に出てきてくれた。


    「松田、どうかしたのか?こんな時間に」
    「あー、うん……ちょっと歩かねぇ?」
    「良いけど……」


     2人で肩を並べて歩く。零の部屋に来るたびに通る道だけど、今日はなんだかいつもと違う道に思えた。誘っておいて何も話さず黙ったままの俺に、零は不思議そうな顔をしていた。
     たどり着いた先は、マンションから少し離れたところにある公園。誰もいないそこに足を踏み入れ、ベンチに並んで腰を下ろした。



    「寒くねぇ?」
    「ん、大丈夫」
    「そっか……」
    「驚いたよ、急に来るから。別に今度会えるんだし、そのときでも良かったんじゃないか?なにかあったのか?」
    「……おう」

     膝の上で握っている手にぎゅっと力を込める。


    「あのな、」
    「あぁ」
    「俺、零のことすっげぇ好き」
    「うん、知ってるけど……」
    「だから、ずっと、ずっと一緒にいたいって思ってる」
    「……うん」
    「だから、だからな……」


     心臓がばくばくと音を立ててうるさい。自分の声が聞こえないくらい。
     でも、今伝えないといけないことだから。伝えなかったら、絶対に後悔するから……。
     俺は震える手で持っていた鞄から小さな箱を取り出して、零に差し出した。



    「零」

    「うん」

    「俺と…結婚、してください」







     時が止まったような沈黙の後、ひゅっと零が息を吸う音が聞こえた。

    「え、っと…結婚って、男同士は結婚できないんだぞ?」

     戸惑ったような、照れ隠しのような、そんな表情を見せる零。無理もない。

    「んなこと、わかってる。でも、証が欲しいんだ。零がずっと俺の隣にいるんだって、そう思える証が欲しい。紙切れ1枚のことじゃなくて、なんかこう、これから何年先もずっとお前のことを見ていたい。あの日、零と想いが繋がったときから、離さねぇって決めてた。お前が楽しい時、悲しい時、辛い時、どんなときでもそばにいたいし、一生、愛し続けるって誓う。それじゃ、駄目か?」


     じっと零の顔を見つめる。零は戸惑っているようで、どうしたら良いかわからないという顔をしていた。
     自信があるわけじゃない。でも、ふざけてこんなこと言えるわけがない。
     真剣に零のことを想っているから、その想いが伝わるように、目を逸らさなかった。







    「……ばか…。松田のくせに、こんなのズルいじゃないか…」

    「うん、悪ぃ」



    「僕で、良いのか?」

    「零が良い。じゃなくて、お前じゃないと駄目だ。零だから、ずっと一緒にいたいって思うんだ」


    「……ありがとう、嬉しい」



     そう言って零は笑った。そして静かに泣いていた。
     俺の手に乗せたままだった小さな箱と一緒に握ってきた零の手は、少し冷たかった。




    「零、箱開けて?」
    「うん」

     零が少しずつ丁寧に箱の梱包を解いていき、蓋を開けた。零の指に似合いそうな、シンプルなリング。中に入っている指輪を手に取り、零の細いけれど男らしい手に触れる。



    「零、お誕生日おめでとう」

    「ありがとう」

    「生まれてきてくれて、出会ってくれて、ありがとう」

    「ありがとうは僕の言葉だよ。いつも見守ってくれて、支えてくれて、愛してくれて、ありがとう。こんな僕だけど、これからもそばにいて?松田の一生を、僕にください」

    「あぁ。零の隣にずっといる。俺の全部、お前にやる」



     零の左手の薬指に指輪を嵌めるとそのまま引き寄せて、自分の腕の中におさめる。すると、零が俺の胸に頬をくっつけてきた。受け入れてくれることが嬉しい。



    「松田、最高のプレゼント、ありがとう」

    「俺の方こそ、受け入れてくれてありがとな」

    「2人で、幸せになろうな」

    「あぁ」



     しばらくの間、そのまま抱き合った。最初は少し冷たかった零の体が徐々に温まっていくのが分かって、そのぬくもりにまた幸せを感じた。





     これから先、楽しいことだけじゃないだろう。

     でも、零と一緒だったら大丈夫だと胸を張って言える。

     零とどこまでも一緒に歩いていきたい。

     俺たちが出会ったのは、きっと奇跡だから……




    fin.





    後書き
    松降Webオンリーではれーくんのお誕生日にプロポーズする松のお話を書こうと参加申し込み前から決めていました。
    初めの頃に書いた『By my love』と対照的?な内容とタイトルにできたことが自分の中で良かった点です笑
    ここまで読んでくださってありがとうございました。
    松降に溢れた素敵な一日になりますように。


    BGM:w-inds.『Give you my heart』『空から降りてきた白い星』
    真野恵里菜『My Days For You』
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