冬服を買いに行こう!(ミレ霧) 水色のキャミソール、穴の空いてしまった白いパーカー、デニムのノースリーブワンピース。
「霧香、あんたってほんとに冬服持ってないわけ?」
クローゼットに頭を突っ込んでミレイユは話す。ん、といって霧香はちょっとだれてしまったピンクのニットとクリーム色のニットをミレイユの前に突き出した。
「これ以外は?」
そうミレイユが詰めると霧香はさながらしょんぼりした子犬のようになって、だめ……?というふうに上目遣いで見つめてくる。ミレイユはこの目に弱い。
「……駄目!駄目よ!」
霧香に、というよりかは自分自身への叫びだった。一昨日、霧香の冬服がないんじゃないかというのに気がついたミレイユにより提案されたお買い物。霧香はどうやら寒いのがあんまり好きじゃないらしく、それから今日までやだやだと渋っている。こんなにかわいくおねだりされると、どうせ家から出たくないだけなのだけれど、もしかしたらあたしと家でいちゃいちゃしたいのかなとか、今日はそういう気分なのかなとか考えてしまって、耳の端が熱くなってくる。頬まで真っ赤になる前に慌てて妄想をかき消した。
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