お題:小さな喧嘩をして、いつのまにかイチャイチャ仲直りしてる降風 まとわりつく女の強い香水に、内心辟易する。
情報を引き出す為だと己に言い聞かせ、完璧な笑顔を貼り付け、「バーボン」はチラリと少し離れた位置に目を向けた。
長身でスリムなバーテンダーと一瞬目が合うが、すぐに逸らされる。
と。
「あら。どうしたの? こわい顔をして」
「いえ、別に何も」
かぶりを振って返しながら、バーボンは女ににこりと笑いかけた。
*
酔ってしまった女をタクシーに乗せ、運転手に釣りは要らないと告げて金を渡す。
必要な情報は引き出せたから、これであの女に用はない。女の連絡先ごと全てのデータを削除し、プリペイド式のスマートフォンをゴミ箱に放り捨てた。
バーボンはそのまま駐車場に向かい、停めておいた愛車に乗り込む。
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