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    エルデンの自機設定考えたときに書いたやつ
    手直しはしていません

    ##エルデン

    うちの褪 初めて人を殺した時、それをどうすれば良いのかわからなかった。野原にぺったりと伸びる大きな肉に、恥ずかしながら戸惑ったのである。
     それで結局十秒ほど思案した結果、丁寧に開くことにした。
     
     俺の生まれは小さな漁村だった。
     旅人がよく通る街道のちょうど中腹にあったため、村は見た目より随分と豊かではあったが、同時にいつも人手がたりず慌ただしい。そんな村だった。
     男も女もかまわず早朝から漁に出て、その日出なかった者総出で釣れたばかりの魚やら何やらを旅人向けに手早く加工する。村はいつも潮と腸の匂いでごった返し、しかし今思えば奇妙なほど活気付いていた。
     幼い俺も勿論、隣の家の婆さんに言われるがまま、やたらと目のでかい魚だとかヌルヌル動くイカだとかを開いて、腸を丁寧にそぎ取り、骨のあるものなら手早く骨抜きをしたものだ。
     海岸沿いで日向ぼっこをしている魚たちを、今でも思い出す。少しづつ干からびる魚を見て、婆さんは満足げに笑っていた。
     陽の光と潮風で死臭を拭った魚を並べて、旅人から銭を頂く。魚たちは太陽と潮の祝福で死体よりもっと良いものに変わるのだという。
     大樹とは縁遠い、故郷の話である。
     
     べちゃりと倒れた死体に、なぜか故郷が懐かしく思った。この国の作法なんざ知りはしないが、こいつだって丁寧に開いてやれば誰かが喜ぶのかもしれない。
     衣類が随分と邪魔で手間取ったが、剥いてしまえばあとは柔らかな肉ばかり。ああでもないこうでもないと悩みながら、どうにか綺麗に開き終わった頃にはすっかり空が赤く染まっていた。
     天上には輝く大樹。潮の香りもなく、風はひどく穏やかだ。これは、きちんと死臭をぬぐわれるだろうか。ふと不安が過ぎったが、見下ろす大樹の光の柔らかさに、彼らの神に任せるべきだと決心が付き、俺はさっさとその場を後にした。
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