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    @t_utumiiiii

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    ・オタクの二次
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    ピアソンさんの偏食をささやかな復讐に利用していたウッズさんの二次
    ※『記憶の庭』(転生現パロ短大生してるウッズさん(記憶あり)の部屋に空き巣のクリピ(記憶なし)が居候してる)の設定
    ※食べ方が汚い

    食育(転生現パロ泥庭) ピアソンさんは果物のことを、食べ物だとはあまり思っていない、みたい。“前”がどうだったのかエマは知らないけれど、今のピアソンさんは、例えば、冷蔵庫に牛乳やチーズをちょっと入れておいたりすると、まるでネズミみたいにすぐ食べちゃうのに、キウイやイチゴなんかを入れておいても全然手を付けないし、エマが自分で食べるために切ったのを、ちょっと分けてあげようとすると、(彼は元々、あまり美味しそうにものを食べるひとではないけれど、)眉間に皺を寄せて、はっきり嫌そうなぐらいの顔をしながら、「ク、クリーチャーは、べっ、別に、い、いいよ」「ウウ、ウッズさんが、ぜ、全部、食べればいいだろ!?」と、まるで急に責めるようなことを言われたのでそれに怒りながら反論する、というような調子で言い返してくる。普段のピアソンさんは、エマの部屋に勝手に住み着いて、家賃や生活費を出したりもしない癖に、エマの部屋の冷蔵庫に入っているものは、だいたい自分が手を付けていいものだと思っているぐらいの人で、そんな殊勝なことを言うような人じゃないから、本当に、そういう果物が好きじゃなんだと思う。
     もし、これがリンゴやバナナだったりすると、勝手にむしゃむしゃとやっていることもあるけれど、柔らかくて酸っぱい果物のことは、一切手を付けない。彼のその傾向に気付いた時のエマが、「果物は嫌いなの?」と、別にピアソンさんの食べ物の好みなんてどうでもいいけれど、試しに聞いてみたとき、彼は渋るように口を窄めながら、「ベリーは好きじゃない」とぶつぶつ言っていた。その言葉の通り、イチゴは特に好きじゃないみたいで、エマがうっかりショートケーキを買ってきてあげた時は、スポンジの部分だけ切り出すように食べて、イチゴだけ食べ残された残骸めいた有様のお皿を、当然のような顔をしてエマに押し付けてきたし、お買い得キャンペーン中にドーナツを買ってきた時は、チョコの掛かったやつは、エマが何かを言うよりも先に勝手に食べちゃったくせに、ストロベリーなんたらという名前で、ピンク色のコーティングがされているドーナツは箱の中に手つかずで残っていて、何か残っているかなと箱を覗いていたエマに向かって、「それはウッズさんのだろ」と、さも自分が配慮をしたと言いたげなような、今にも(クリーチャーは感謝してもらってもいいぜ)とでも言いだしそうな、妙に得意げな顔で言ってきた。
     たぶんこの人は、舌が馬鹿で、だから、柔らかくて酸味のある――ちょっと酸っぱい食べ物なんかを、全部「腐ってる」だと思ってるんじゃないかしら。そういえばヨーグルトとかも食べようとしないのも、きっとそれと同じ理由――柔らかくて、酸味があるから――で、食べ物だと思っていないのかもしれない。エマが試しに、ジャムが混ざっている1セット4パックの小分けヨーグルトを買って、冷蔵庫に置いておいてみたら、いちご味だけを残して、他はきれいに平らげていた。シンクに置きっぱなしになっている空になったヨーグルトの小さい容器を水で流しながらエマが「ブルーベリーは平気なの?」と聞いてみたら、それを聞いたピアソンさんは、少し驚いたように目を丸くしながら「ブドウだと思った」と言い返してきた。やっぱり彼、舌が馬鹿なんだと思う。

     イチゴは決して安い果物じゃないけれど、パック一杯になったイチゴがスーパーの店頭にずらずら並べられる時期になったら、できるだけ冷蔵庫に置いておくようにしている。それで、エマがヘタを切り取ってあげたイチゴをお皿に並べて、「はい、どうぞ」と彼の前の机に出してあげると、ピアソンさんはいっそ憎々しげに顔を顰めてエマを睨んで「あ、あんたさ、それは、わ、わざとやってるだろ……」と、それでもエマに向かって文句を言うというには小さな、ぼそぼそとした声で何か、ぶつぶつ言っている。
    「でも、好き嫌いは直したほうがいいでしょう?」
     エマはその実、自分でもあんまり重要じゃないと思っていることをわざわざそれらしく言ってあげながら、床に胡座をかいて座り、テレビに目をやっている彼の横に腰を下ろして、フォークで刺したいちごを「あーん」と言いながら彼の口に押し付けてみる。するとピアソンさんは、顎髭を生やしている歳のくせに、頑なな子供みたいに口を噤んで開けようとしないし、何ならそっぽを向いている。
    「……ねぇピアソンさん、エマのイチゴをまた灰皿にしたでしょ」
     なので、エマがベランダで育てている苗の話――エマは毎回「ちゃんと灰皿に捨てて」と言っているのに、ピアソンさんは時々横着して、煙草の吸殻をそこに捨てる――をしてみると、彼はいちごを頬にぐいぐいと押し付けられながら「っか、風でさ、よ、よそから、はっ、はこ、運ばれてきたんじゃないか?」なんてしどろもどろに言うけど、目はしきりに泳いでいるし、何より肩がぎくりと、図星らしく強張っている。
    「誤魔化してもだめよ、全部バレてるの。」
     エマがベランダで育てている鉢植えやプランターの草花を彼がいじめるのは、今に始まったことじゃない。そうするときに、きまって可愛らしい鉢植えや、イチゴみたいに可愛らしい苗や花の生えている大事そうなプランターを狙うのは、たぶん、わざとやってるんだと思う。彼がそういう子供っぽい人だというのも、今に始まったことじゃない。エマは最初から知っているの。
    「……でも、いいわ、エマね、あなたを許してあげるの。だから、ね?」
     エマがそう言いながら、そっぽを向こうとして奇妙に強張り、冷や汗をかいているピアソンさんの口元に改めてイチゴを押し付けて、「あーん」と、もう一回言い直してあげると、彼はいやいや観念するように目をギュッと瞑りながら、口を開けた。そして、エマが差し出してあげていたイチゴを自分から口に入れて、時々咳き込みかけながら辛うじてそれを噛み、上を向いて、あとは、ほとんど丸呑みにするように喉を動かしたかと思うと、「オエッ」と嘔吐くように濁った咳をする。彼が元々大しておいしくも無さそうに物を食べる人だけれど、あんまりにも嫌そうに食べるから、そんなにひどいのかしらと思ってエマが一粒イチゴを齧ってみると、何と言うことはない、噛むと柔らかな果肉が弾けて、口の中に甘酸っぱい果汁が広がる。
    「おいしいのに」
     エマが思わずそうこぼすと、ピアソンさんは自分の口を手で押さえながら、何か物を言いたそうな顔でエマをじとっと睨んできた。


     ある日のお買い物で、珍しく黄色い半額シールが貼ってあったのが目に入ったので、イチゴの隣にちょっとだけ売られていた練乳を買って帰って、夕飯の後に、水で洗ってヘタを取ってあげたイチゴと一緒にそれを出してみると、ピアソンさんはまず、食卓に出されたイチゴを見て、(またかよ)と言わんばかりの嫌そうな顔をしてから、次に、牛のマークが描かれた、歯磨き粉みたいな形をしている練乳のチューブを見ると、きょとんとした顔でそれを手に取ると、自分の指先にちょっと出して、まるで犬のやるようにすんすんと臭いを嗅いでから、ぺろりと舐めとった。
    「……初めて食べるの?」
     エマが少し驚きながらそう聞くと、練乳を着けた指がまだベタつくのが気になるのか、自分の人差し指をチュパチュパ吸うように舐めていたピアソンさんは、また眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をしながら「し、知ってるに、き、きき、決まってんだろ!」と荒っぽく言い捨てると、「バカにしやがって」とぶつぶつぼやきながら、また練乳のチューブを取って自分の指に取っている。彼は甘いものが特別好きという人ではないと思うけど、たまたま甘いものが食べたい気分だったのか、練乳の味は気に入ったみたい。
    「これは、イチゴと一緒に食べるものなのよ!」
     放っておいたらそのままチューブに口をつけて、そこからちゅうちゅう吸い始めかねないピアソンさんの手から練乳を取り上げると、エマはまず、自分の分のイチゴが乗ったお皿に、練乳をちょっとだけ(エマはこれが嫌いなわけじゃないけど、あんまり好きじゃない。掛けすぎるとイチゴの味じゃなくなっちゃうもの。)取ってから、ピアソンさんがほったらかしにしている、彼の分のイチゴが乗ったお皿を手元に引き寄せて、お皿に4つ乗ったイチゴの上に、練乳をぐるっと回しかけてから、フォークで一粒刺して、「あーん」と言いながら口に持っていってあげる。
     するとピアソンさんは、それまでエマに練乳を取り上げられてしかめっ面をしていたところから、困ったように眉尻を下げて、エマの顔と、口元に差し出された練乳がけのイチゴを見比べていたかと思うと、周りについている練乳だけ舐めようと思ったみたいで、べっと意地汚く舌を出してイチゴを迎えに来たので、汚い食べ方を見せつけられて(彼の食べ方が汚いなんて今更の話だけど、いくら慣れたといっても見苦しいものは見苦しい)エマがちょっとむっとしながら「ちゃんと食べて!」と言って、フォークに刺したイチゴを彼の口の中にぐっと押し付けると、急に口の中に入ってきたものに驚いたように口を閉じてから、ろくに噛まずにぐっと喉を鳴らして飲み込む音が聞こえた。
    「っこ、殺す気かよ!!」
     飲み込んでから少しの間自分の喉仏を押さえていたピアソンさんは、遅れて冷や汗を掻きながらぎゃあぎゃあと騒ぎ始めたけれど、そうやって意地汚い食べ方をする方だって悪いと思うの。でも、エマがそう言ったら、きっとピアソンさんは「だからクリーチャーは最初から、あんたに全部やるって言ってるだろう」とか言って余計に怒るだろうし、実際、相手が嫌いだと知っているものをわざわざ食べさせるのは、あんまり良いことじゃないと、エマも知ってるの。
    「だめよ、ピアソンさん!」
     だから、エマは彼に言い返したりはしないで、代わりに「ちゃんと噛まなくちゃ」と、違うことでピアソンさんを叱ってあげる。彼は余計に目を尖らせて「噛めるか馬鹿!」と騒ぐけれど、それに「じゃあ、今度はちゃんと噛んでね」と、練乳のかかった二粒目のイチゴをフォークに刺して、ずいっと彼の口元に持っていくと、ピアソンさんは躊躇いがちに口元をもにょもにょさせてから、まるで赦しか何かを乞うみたいに上目遣いでエマをじいっと見上げて来て、それでもエマが彼の口にいちごをぐいぐいと押し付けるのを止めないのを見たら、いかにも気の進まなさそうに口を開ける。そこに、練乳塗れになったイチゴを差し入れると、彼はいかにも気の進まなさそうにもしゃもしゃと咀嚼して、大人しく飲み込んだ。それを初めて見た時、エマは、ちょっと意外だなと思った。だって、ピアソンさんは無理に食べさせるところまで言っても、二、三回噛んでからいっそう渋い顔で、いい年をした大人の癖に、赤ちゃんみたいにべっと舌を使って吐き戻したりすることもあったんだもの。

     それからのピアソンさんは、練乳を随分気に入ったみたいで、エマが彼の分のイチゴにひと回し分だけかけてあげてから渡すと、自分で冷蔵庫から練乳を出してきて、もう二回し分ぐらいかけてイチゴをびたびたにしてから、エマが促してあげなくても自分で抓むか、フォークを使うかして食べるぐらいのことはするようになった。小さい子供が嫌いな野菜を食べるようなしかめっ面をして、イチゴを事務的に咀嚼した後に、平皿の底に溜まっている、うっすらピンク色になった練乳を舌で舐めるのが好きらしい。平皿を手に持って、溜まった練乳を舌でピチャピチャとやっているのは、元々行儀の悪いピアソンさんの食べ方の中でも、ちょっとイヌやネコがミルクを舐めている時のような仕草みたいで、まあ、幾分可愛げがあるように見えたので、エマは思わずちょっと笑ってしまってから彼にスマホのカメラを向けると、カメラを向けられたことには気付いた彼は、恨めし気なぐらいの目でこちらをじとっと見て来たものの、意地汚い調子で平皿に口を付けてぺろぺろやるのは止めないので、エマはそのまま写真を撮った。
     エマの持っているピアソンさんの写真は、彼が何故か時々自分で送って来る無表情の自撮り(意味が分からないの)と、それしかなくって、お友達から話の流れで「居候さんの写真を見せて」と言われた時に、どちらかと言えばまだ写真写りの良い平皿を舐めている時の写真を出すと、大抵そこで話が終わる――みんなのイメージの中にある居候は、たぶん、もうちょっとまともな写真映りをしているものだから、お皿を舐めているピアソンさんの写真が出てくると、みんなちょっと、反応に困っちゃうんだと思うの。だから、彼のことを聞かれてもあまりいい気分ではないエマにとって、その写真は結構都合が良かった。


    ***


     週に一回は出てくる「この写真を撮影してから今日でX年です」というアプリ通知に、練乳の付いた平皿を舐めている彼の写真が出て来たのを見て、エマは(そう言えばそんなこともあったな)ということを久しぶりに思い出していた。ピアソンさんのことを他人に聞かれた時に、前は「居候の人」と答えていたけれども、今は「旦那さん」と答えることになっている。あてにできるような稼ぎもないので、今もやっぱり居候と言った方が言葉としてはしっくりくるけれど、エマにとっては別に、どっちでもいい。手元、というか、いつでも使えるところに居てくれればいいの。……何のためにかは、思い出せないけれど。
     少し前の自分が一体何を考えて、見れば見る程良いところのないこの人を手元に置くために結婚を迫ったのか、今のエマにはよく思い出せない――何だかんだ長い間付き纏われて、その結果として、情に絆されたと考えた方が、まだわかりやすい――けれど、彼が以前、果物全般があまり好きじゃない、というか、食べ物だと思っていない風の振る舞いをしていたことは、まだ覚えている。エマがお庭で育てているイチゴの苗を灰皿にして何回か枯らしたし、その復讐として、エマは吐いて嫌がったりする(自分が吐き戻しそうなときだって「もったいないから」と限界まで堪える人なのに、わざわざ吐いて嫌がるのは、多分そうやってエマの手を煩わせることを楽しんでいるという面もあるだろうけれど)ピアソンさんに、無理やりイチゴを食べさせたりしていた。
     彼はベリーと名の付くものがあまり好きじゃなかったようだけれど、キウイやオレンジも同じような反応だった。要は食べない。一度マンゴープリンを買ってきてみた時は、一口食べてから、あまりを全部エマの方に押し付けて来た。練乳のことは凄く気に入っていたみたいだけど、大抵1パックで1チューブを使い切っていたから、他の果物に掛けたら食べるようになっていたのかはわからない。それよりも先に、彼の好き嫌いの方が段々と直ってきて、エマが自分用に買ってとっておいた果物味のアイスを、どうせピアソンさんは食べないだろうしと冷凍庫に入れたまま放って置いたら、気付いた時には空の器がシンクに放置されていたりするようになった。ショートケーキは相変わらずお皿の上で三枚おろしにするみたいに解体して、スポンジを抜き取られた残骸みたいなイチゴを、エマのお皿に当然のような顔をして寄せてくるけれど、他の果物がトッピングされているケーキは、何食わぬ顔で食べるようになった。
     今のピアソンさんは、さっきエマがお皿に載せて一切れ出してあげた、メロンの乗ったケーキ(大きな駅の入っているビルのケーキ屋さんで二切れ分だけ買ってきたそれが、今年の彼の誕生日ケーキだった。誕生日と言っても、彼が言うには「これはシセツのソーリツ記念日の日付で、クリーチャーの本当の誕生日なんか、俺だって知らない」らしいけれど、何の思い入れもないのかと思って無視すると、それはそれで機嫌を悪くするので、毎年ケーキを買ってきてあげて、それでお茶を濁しているの。)を、ケーキの一切れの真ん中にフォークを突きさして、そのまま丸ごと齧るみたいな、意地汚いやり方でもぐもぐと食べている。見ていてあんまりいい気分にはならない光景だった。
     それに、「おいしい?」とエマが聞いてみると、仏頂面でケーキを咀嚼していたピアソンさんは「んんー」と気のない返事をしているけれど、彼が何でもあんまりおいしくなさそうに食べるのは、今に始まったことじゃないし、わざわざ残さないからイチゴよりは好きで、吐き戻さずに飲み込むからには、食べ物だとは思っているんだと思う。あの食べ方を見ていると気分が悪くなりそうなので、エマがそれとなく目を逸らしながら、自分の分のケーキをフォークで崩して、一口分ずつもそもそと食べていると、その内ほとんど二口で食べきるみたいなやり方で口の中に頬張ってから、しばらくもごもごやっていたケーキを呑み込んだらしいピアソンさんが、「た、食べないならくれよ」と口を挟んでくる側から、エマのお皿に向かってフォークを伸ばしてくる。他人のものに手を付けようとする辺り、気に入ってあの顔というのも、ちょっとうんざりするところがあるけれど、これは、結構気に入ったんだと思う。
    「だめ! これはエマの分なの!」
     伸びてくるフォークを叩いてエマが自分のお皿を庇いながら「ピアソンさんったら、意地汚いんだから」と零すと、ピアソンさんは「今日はクリーチャーの誕生日だぞ!」とか何とか、子供みたいなことを言ってぎゃあぎゃあ喚きだしたけれど、お髭にケーキの残骸を着けて騒がれたって、怖いどころか、なんだかうんざりするだけだ。エマがケーキの箱の中に入っていた紙ナプキンを差し出して「……口についてるのよ」と言ってあげると、それまで尻尾を踏まれた犬みたいに騒いでいたピアソンさんはきょとんとした顔で止まると、まずは自分の顎周りを手で探って、それでもどこについているのかよくわからなかったのか、「ん」と、まるでまだ口の中に物が入っているような調子で、意味のない相槌みたいな声を出しながら、(拭いてくれ)と言いたげに、エマに向かって顎を差し出して来た。


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    @t_utumiiiii

    DOODLEピアソンさんの偏食をささやかな復讐に利用していたウッズさんの二次
    ※『記憶の庭』(転生現パロ短大生してるウッズさん(記憶あり)の部屋に空き巣のクリピ(記憶なし)が居候してる)の設定
    ※食べ方が汚い
    食育(転生現パロ泥庭) ピアソンさんは果物のことを、食べ物だとはあまり思っていない、みたい。“前”がどうだったのかエマは知らないけれど、今のピアソンさんは、例えば、冷蔵庫に牛乳やチーズをちょっと入れておいたりすると、まるでネズミみたいにすぐ食べちゃうのに、キウイやイチゴなんかを入れておいても全然手を付けないし、エマが自分で食べるために切ったのを、ちょっと分けてあげようとすると、(彼は元々、あまり美味しそうにものを食べるひとではないけれど、)眉間に皺を寄せて、はっきり嫌そうなぐらいの顔をしながら、「ク、クリーチャーは、べっ、別に、い、いいよ」「ウウ、ウッズさんが、ぜ、全部、食べればいいだろ!?」と、まるで急に責めるようなことを言われたのでそれに怒りながら反論する、というような調子で言い返してくる。普段のピアソンさんは、エマの部屋に勝手に住み着いて、家賃や生活費を出したりもしない癖に、エマの部屋の冷蔵庫に入っているものは、だいたい自分が手を付けていいものだと思っているぐらいの人で、そんな殊勝なことを言うような人じゃないから、本当に、そういう果物が好きじゃなんだと思う。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE転生現パロの傭オフェ(広義) ※日記のないキャラクターの言動を捏造
    so sorry(転生現パロ傭オフェ) 黒い樹皮を晒した木立の間を容赦なく吹き抜ける吹雪に凍てつく程の森を抜けると、開けたところに出た。風に多分に含まれる雪氷の破片によって白く濁った視界が目の前を塞ぐように覆っているというよりもそれはむしろ、白い地平が、どこまでも白々しく続いて、視界が効かない中でも、殺伐とした地平線が目に浮かぶようだった。追撃を撒きながら走り続け、鈍く痛み、倦んだところから溶け出すような疲労を訴えている彼の脳は、ここから先には〝何もない〟という得体の知れない直観をすっかり信じ込んでいて、それがナワーブをいっそう苦しめた。
     身勝手な直観によって、思わずどっと崩れ落ちるように雪の上に付いてしまった自分の膝を、ナワーブは拳で叩きながら、どうにか立ち上がろうとする。あの屋敷、そして、そこを取り囲むようにあるこの森から、何としてでも離れ、俺は、外に出る必要がある。応援を呼び、調査の為に戻る。あの荘園で行われている実験を調査し、白日の下に晒す――そこで、追ってきた追手かそれ以外の何かに見つかったのか、まるでスイッチを押し込んだかのように、ぶつんと途切れた意識が、ここで戻った。これが、彼が所謂〝前世〟の記憶を取り戻した瞬間だった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE試合でフールズ・ゴールドにぶん殴られて意識がぶっ飛んだ心眼が幼年期探鉱者と遭遇する二次妄想 ※日記のないキャラクターの言動を捏造 ※サバイバーが全員荘園で生活しているタイプの自由な荘園妄想
    壊れた鳥籠(探鉱者又はフールズ・ゴールドと心眼) ヘレナは目の前の景色が「見える」ことに気が付くと、すぐにそれが夢であることを理解した。彼女が視力を失ったのはほんの幼い頃であったが、それでも無意識はかつて見た景色を覚えているようで、彼女は時に夢の中で、窓から指し込んでくる明るい日の光に照らし出された、懐かしい我が家の内装を、ほんの低い視点から見上げることがある――が、目の前の景色は穏やかな昼下がりを迎えた家の光景とは全く異なり、まるでネズミかモグラが地面に掘った穴の中にいるのようで、自分が穴の中にいることを考えればその天井はそれなりに高く、人が動き回るには十分広いとはいえ、絶対的な空間としては狭く、こもった臭いがして、薄暗い。穴の中に敷かれた線路の枕木を文字通り枕にしながら、着の身着のまま土の上に横たわっていた彼女の顔を上から覗き込んでくる男の子の顔が無ければ、彼女はそれが夢だと(つまり、自分が今「目が見えている」ことに)気付くのはもう少し遅れただろう。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE背景推理や荘園の記憶がない弁護士ライリーさんがエミリー先生の顔を見て凄い引っかかるものを覚えたのでナンパしてみたらうまくいったのでプロポーズまで漕ぎ付けるような仲になったんだけど……という二次(現パロ弁医)
    restoring the balance(弁護士と医師)※現パロ 世間における一般的な理解として、事前の内諾があることを前提にした上でも、「プロポーズ」という段取りには何らかのサプライズ性を求められていることは、ライリーも承知していることだった。彼は弁護士という所謂文系専門職の筆頭のような職業に就いていることを差し引いた上でも、それまでの人生で他人から言い寄られることがなく、また、それを特別に求めたり良しとしたりした経験を持たなかったが、そういった個人的な人生経験の乏しさは兎も角、彼はそのあたりの機微にも抜かりのない性質である――つまり、そもそも万事において計画を怠らない性質である。
     その上で、彼は彼の婚約者に対して、プロポーズの段取りについても具体的な相談を付けていた。ある程度のサプライズを求められる事柄において、「サプライズ」というからには、サプライズを受ける相手である当の本人に対して内諾を取っておくのは兎も角、段取りについての具体的な相談を持ちかけるということはあまり望ましくないとはいえ、実のところ、彼女がどういったものを好むのかを今一つ理解しきれておらず、自分自身もこういった趣向にしたいという希望を持たないライリーにとってそれは重要な段取りであり、その日も互いに暇とはいえないスケジュールを縫い合わせるようにして、個人経営のレストランの薄暗い店内で待ち合わせ、そこで段取りについてひとつひとつ提案していたかと思うと、途中でふと言葉を止め、「待て、もっとロマンチックにできるぞ……」と計画案を前に独りごちるライリー相手に、クリームパスタをフォークで巻き取っていた彼女は、見るものに知的な印象を与える目尻を緩め、呆れたような気安い笑い方をしてそれを窘めてから、考え事を止めたライリーが彼女の顔をじっと見つめていることに気付くと、自分のした物言いに「ロマンチストな」彼が傷付いたと感じたのか、少し慌てる風に言い繕う。いかにも自然体なその振る舞いに、彼は鼻からふっと息を漏らして自然に零れた微笑みを装いつつ、「君の笑顔に見惚れていた」といういかにもな台詞をさらっと適当に言ってのける。雰囲気を重んじている風に薄暗いレストランの中、シミ一つないクロスを敷かれた手狭なテーブル――デキャンタとグラス、それに二人分の料理皿を置くと手狭になる程のサイズ――の中央に置かれている雰囲気づくりの蝋燭の光に照らされている彼女は今更驚いた風に目を丸くすると、柳眉
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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    sheep_lumei

    DOODLEサンポと星ちゃんが色々あって二人で買い物に行く羽目になる話 宇宙ステーションヘルタの「不思議なコーヒー」の話が少し含まれます
    作業スペースで書いた落書きなので誤字脱字とか普段より多いかも あとコーヒーがベロブルグにあるかは忘れたけど無かった気もする あるっけ ないか まあ知らん……
    コーヒーと服と間接キス「あ」
    「え」

    ベロブルグの街角で、星はブラックコーヒー片手に呑気に歩いていた。前に年上の綺麗なお姉さんたちがコーヒー片手に街を歩いていたのが格好良くて真似してみたかったのだが、星は開始十秒でその行動を後悔する羽目になる。

    ベンチでブラックコーヒーを堪能するために角を曲がろうとした瞬間、勢いよく角の向こうから出て来た人影とそれはもう漫画やドラマで見るくらいの綺麗な正面衝突をした。違う。綺麗な、というより悲惨な、が正しい。考えて見てほしい、星の手には淹れたてほやほやのコーヒーが入っていたのだ。

    「っ!? ちょ、あっつ、熱いんですけどぉ!?」
    「ご、ごめん……?」
    「疑問形にならないでもらえます!?」

    勢いよく曲がって来た相手ことサンポの服に、星のブラックコーヒーは大きな染みを作ってしまったのである。幸いにも何かの帰りだったのか普段の訳が分からない構造の服ではなくラフな格好をしていたサンポだが、上着に出来た染みはおしゃれとかアートとか、その辺りの言葉で隠せそうにはないほど酷いものになっていた。
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