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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

    ・オタクの二次
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    ビジュアルファンブック2を読んだオタクの脳から出てきた5年後ぐらいのタビコとヴェントルーの二次です タビヴェン/ヴェンタビ

    あなたのお墓(五年後ぐらいのタビコとヴェントルー)「いいかヴェントルー、私の棺桶には、お前の靴下を入れるんだぞ」
     そう言って高らかに笑うタビコに、ヴェントルーは、吸血鬼の青ざめた肌によってただの顰め面よりもいっそう厳めしい感じの増す、そうはいっても普段通りの渋面を晒しながら、黙り込むに留めた。
     これに向かって、「我が輩はそうなる前にこの手に靴下を取り戻すのだ」等と意思表明をしようものなら、高等吸血鬼の鼻っ面をへし折ることに無上の快感を感じているらしいこの女は途端に興奮し、目の前でヴェントルーのものであったシルクの靴下を取り出してしゃぶり出しかねない。それが、「悪い意味で心に来る光景」という感想に収まるのであればまだしも、「何とは言わないが倒錯した光景」という感想が浮かぶことが、ヴェントルーにとっては遺憾なことだった。
     しかしまあ、何とも、古き血の吸血鬼、日蝕の大鴉、青き血のヴェントルーの前に、人間、人間など! 同族ですらこの我が輩の前に物理的に立ちはだかろうということは難しいのに、事もあろうに、路地裏で害虫駆除に勤しんでいた人間、人間風情に! ヴェントルーが今更ながらに、己の牙で下唇を食い締めているのを知ってか知らずか、けらけらと笑うタビコはさらにきっぱりと続ける。
    「お前には、そうだな、墓守でもして貰おうか」
     つまり、靴下諸共荼毘に付してやる(この国においては火葬が一般的だという話を聞いたとき、ヴェントルーは微かに戦いたものだった。)と宣言する悪趣味なこの女に向かって、我が輩は敢えて、なんだその野蛮な口のきき方は、などと、物を言おうとも思わなかった。
     何せ、我が輩が靴下を取り戻した暁には、この女が生きていようが、この際死んでいようが、必ず、その血を吸い尽くしてやると決めている。だが、そう決めていることだからといって、迂闊にも『おまえの墓は我が肚の裡に定まっている』などと言おうものなら、この女は余計に興奮し出して、さらに厄介なことになるだろう(上位の存在の鼻を挫くことに興奮する性質でありながら、一度挫いたものから気概を見せつけられることにもこの女は喜んだ。何かと厄介な癖を持って忙しいことだとヴェントルーは思うが、変態が猖獗を極める街ではそう珍しいことでもない。)。下手に口を出して、面倒なことにならない筈がない。
     以前――靴下を得たタビコが、彼を家政夫としてこき使うようになった数年前のこと――よりもいっそうどこかふてぶてしいヴェントルーの渋面に、タビコは「何だその顔」と、眦の上がった猫のような目を瞬かせると、気を悪くした風はなく口角をにやっと上げて笑いながら、しかし不躾に言った。
    「それ、くしゃみを我慢してる顔じゃないな?」
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    @t_utumiiiii

    DOODLE試合でフールズ・ゴールドにぶん殴られて意識がぶっ飛んだ心眼が幼年期探鉱者と遭遇する二次妄想 ※日記のないキャラクターの言動を捏造 ※サバイバーが全員荘園で生活しているタイプの自由な荘園妄想
    壊れた鳥籠(探鉱者又はフールズ・ゴールドと心眼) ヘレナは目の前の景色が「見える」ことに気が付くと、すぐにそれが夢であることを理解した。彼女が視力を失ったのはほんの幼い頃であったが、それでも無意識はかつて見た景色を覚えているようで、彼女は時に夢の中で、窓から指し込んでくる明るい日の光に照らし出された、懐かしい我が家の内装を、ほんの低い視点から見上げることがある――が、目の前の景色は穏やかな昼下がりを迎えた家の光景とは全く異なり、まるでネズミかモグラが地面に掘った穴の中にいるのようで、自分が穴の中にいることを考えればその天井はそれなりに高く、人が動き回るには十分広いとはいえ、絶対的な空間としては狭く、こもった臭いがして、薄暗い。穴の中に敷かれた線路の枕木を文字通り枕にしながら、着の身着のまま土の上に横たわっていた彼女の顔を上から覗き込んでくる男の子の顔が無ければ、彼女はそれが夢だと(つまり、自分が今「目が見えている」ことに)気付くのはもう少し遅れただろう。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE背景推理や荘園の記憶がない弁護士ライリーさんがエミリー先生の顔を見て凄い引っかかるものを覚えたのでナンパしてみたらうまくいったのでプロポーズまで漕ぎ付けるような仲になったんだけど……という二次(現パロ弁医)
    restoring the balance(弁護士と医師)※現パロ 世間における一般的な理解として、事前の内諾があることを前提にした上でも、「プロポーズ」という段取りには何らかのサプライズ性を求められていることは、ライリーも承知していることだった。彼は弁護士という所謂文系専門職の筆頭のような職業に就いていることを差し引いた上でも、それまでの人生で他人から言い寄られることがなく、また、それを特別に求めたり良しとしたりした経験を持たなかったが、そういった個人的な人生経験の乏しさは兎も角、彼はそのあたりの機微にも抜かりのない性質である――つまり、そもそも万事において計画を怠らない性質である。
     その上で、彼は彼の婚約者に対して、プロポーズの段取りについても具体的な相談を付けていた。ある程度のサプライズを求められる事柄において、「サプライズ」というからには、サプライズを受ける相手である当の本人に対して内諾を取っておくのは兎も角、段取りについての具体的な相談を持ちかけるということはあまり望ましくないとはいえ、実のところ、彼女がどういったものを好むのかを今一つ理解しきれておらず、自分自身もこういった趣向にしたいという希望を持たないライリーにとってそれは重要な段取りであり、その日も互いに暇とはいえないスケジュールを縫い合わせるようにして、個人経営のレストランの薄暗い店内で待ち合わせ、そこで段取りについてひとつひとつ提案していたかと思うと、途中でふと言葉を止め、「待て、もっとロマンチックにできるぞ……」と計画案を前に独りごちるライリー相手に、クリームパスタをフォークで巻き取っていた彼女は、見るものに知的な印象を与える目尻を緩め、呆れたような気安い笑い方をしてそれを窘めてから、考え事を止めたライリーが彼女の顔をじっと見つめていることに気付くと、自分のした物言いに「ロマンチストな」彼が傷付いたと感じたのか、少し慌てる風に言い繕う。いかにも自然体なその振る舞いに、彼は鼻からふっと息を漏らして自然に零れた微笑みを装いつつ、「君の笑顔に見惚れていた」といういかにもな台詞をさらっと適当に言ってのける。雰囲気を重んじている風に薄暗いレストランの中、シミ一つないクロスを敷かれた手狭なテーブル――デキャンタとグラス、それに二人分の料理皿を置くと手狭になる程のサイズ――の中央に置かれている雰囲気づくりの蝋燭の光に照らされている彼女は今更驚いた風に目を丸くすると、柳眉
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    @t_utumiiiii

    DOODLE弁護士の衣装が出ない話(探偵と弁護士) ※荘園設定に対する好き勝手な捏造
    No hatred, no emotion, no frolic, nothing.(探偵と弁護士) 行方不明となった依頼人の娘を探すため、その痕跡を追って――また、ある日を境にそれ以前の記憶を失った探偵が、過去に小説家として活動する際用いていたらしいペンネーム宛に届いた招待状に誘われたこともあり――その荘園へと到達したきり、フロアから出られなくなってしまった探偵は、どこからが夢境なのか境の判然としないままに、腹も空かず、眠気もなく、催しもしない、長い長い時間を、過去の参加者の日記――書き手によって言い分や場面の描写に食い違いがあり、それを単純に並べたところで、真実というひとつの一枚絵を描けるようには、到底思えないが――を、眺めるように読み進めている内に知った一人の先駆者の存在、つまり、ここで行われていた「ゲーム」が全て終わったあと、廃墟と化したこの荘園に残されたアイデンティティの痕跡からインスピレーションを得たと思われる芸術家(荘園の中に残されたサインによると、その名は「アーノルド・クレイバーグ」)に倣って、彼はいつしか、自らの内なるインスピレーションを捉え、それを発散させることに熱中し始めた(あまり現実的ではない時間感覚に陥っているだけに留まらず、悪魔的な事故のような偶然によって倒れた扉の向こうの板か何かによって、物理的にここに閉じ込められてもいる彼には最早、自分の内側に向かって手がかりを探ることしかできないという、かなり現実的な都合もそこにはあった。)。
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