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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    ※謎時空探偵パロ(1990年代を想定)
    Mr.ミステリーが男やもめのレオ・ベイカーの依頼を受けて失踪した娘の行方を探す二次妄想です(還…パロ)

    リサちゃんがお父さんに連れてこられた礼拝所で、礼拝所のおじさんとちょっと喋ったときの話

    🌷🌷お父さんは、リサの頭が痛くなったり動けなくなったりしたときには、リサを連れて、病院のかわりに教会に行く。
    階段を下へ下へ下っていく“礼拝所”への道は、そのまま地獄に繋がっているような気がして怖いけれど、そこに行くときはいつも、お父さんがリサを抱っこして連れて行ってくれるので、リサは、本当は行きたくないのを我慢している。
    お母さんは時々、リサをちゃんと病院に連れて行くべきだと言ってお父さんと喧嘩をする。お母さんはそんな風に、お父さんみたいにここの人のことを信じていないから、ここに来るときはいつも、お父さんと二人なの。
    リサもお母さんと同じでここにいる人たちのことは信じていない。でもお父さんが信じたいのなら、それは半分くらいは本当のことかも知れないと思うこともある。ここに来て「お祈り」をしたり、「お告げ」を貰ったりするには一人あたりのお金が必要だからリサはいつもここにいるだけだけど、もしお金があったら、リサもここでお祈りをしてみようかな、という気分にもなる。リサのお願いごとは、「お父さんとお母さんに仲良くして欲しい。」それで、みんなで晩ごはんを一緒に食べるの。喧嘩はなしで!

    地下の礼拝所に来ると、リサはまるで病院で検査を受けるときのように、硬い簡易ベッドに寝かされて放ったらかしで、お父さんは何をしてるかというと、あまりきれいな格好をしていない、髭のおじさんとお話をしている。彼の周りはいつもお香の臭いが強すぎて、リサは鼻がツンとして気分が悪くなるし、頭がぼうっとしてしまう。
    「おじさんは、リサのことを治せないでしょう」
    強すぎるお香の臭いで頭がぼうっとしているから、こんなことを言ったら失礼だってお父さんに怒られるのをわかっていても、リサはついそんなことを言ってしまう。
    幸いなことに、お祈りを始めたお父さんには、ベッドに座ったままタイクツをしているリサの失礼な言葉は聞こえなかったみたいだけれど、お父さんが小さく丸まって、まるでのみみたいに背中を丸めてお祈りしているのを退屈そうに眺めていた黒服のおじさんには聞こえたみたい。いつもただでさえ口をひん曲げて、なんだか怖い顔をしているおじさんは、眉を片方だけ引き上げてリサを見下ろしてくる。
    「そ、それで、おっ、おま、お前は、せ、せい、精神病院、に、は、入りたいってか?」
    お父さんは“羊飼い”と呼んでいるそのおじさんは、リサに向かってそう言うと、大人がするにしてはあまりにあけすけに、子供っぽくリサを馬鹿にして、それでも、お父さんがすぐそこでお祈りをしていることを忘れてはいないみたいで、押し殺した声でクツクツ嗤う。それで、「あ、あんな、とっ、ところに、は、入ったら、お、お前の人生なんか、お、おしまいだぜ」とか、「くく、くす、薬漬けにされて、今に、じっ、自分のこともわかんなくなって、クソも何も、垂れ流しになるに決まっている」と、やたらにリサを怖がらせるようなことをつっかえながらぼそぼそ続けた後に、「む、無駄にしてやるなよ」と、そこばかりは、妙に落ち着いた大人らしい態度で続けた。
    「み、見ろよ、ハハッ……あ、あんたの、お、親父さん、親父さんはさ、お前のために、っこ、こんな、は、這いつくばってさ、祈ってるんだから……」
    呆れているのか馬鹿にしているのかの笑い混じりながらにそう言われると、大きな体を小さくして床の上で祈っているお父さんがなんだか可哀想になるけれど、リサは自分の“病気”の治し方を本当は知っている。

    「リサのことをお祈りしたって、仕方がないの」
    リサが思わずそう言うと、“羊飼い”のおじさんは、リサが言ったことを咎める具合に、リサの肩を掴んで軽く揺さぶった。でも、本当のことだもの。それに、馬鹿にするみたいにお父さんのお尻を見下ろすこの人だって、自分のしていることが真実だとは思っていないんだわ。
    「お父さんは、リサが元気になるようにお祈りをする代わりに、お母さんと喧嘩をしないようにお祈りした方がいいの。二人が喧嘩してるのが、私、本当に嫌だわ! 頭が痛くなってきちゃう……」
    「……そっ、そそ、それは、」
    思わず思うままのことを口にしてしまったリサに、“羊飼い”のおじさんは怒ったりはしなかったけど、あろうことか「気の持ちようじゃないか」と、まるで知ったことのように言い始めるので、リサは目を尖らせて無礼なおじさんを睨んだ。
    けれど、それまでリサを足蹴にでもしてやろうか、という具合に上から見下ろしていた大人が、その時に急に屈んで、硬い診療台みたいなベッドに座っているリサと目線の高さを合わせてきたので、リサは、それまでお父さんがお祈りしているお尻を並んで眺めていた距離は変わらないのに、急に不躾に近づかれた気分になって、びっくりして口を閉じてしまった。
    「そ、そこにいるのが、自分じゃないと思えばいい、っか、簡単だろう? “フリをする”んだ」
    「そんなの、いつもやってるの……二人が喧嘩してるときは、リサはリサじゃないの。エマが喧嘩を聞いてるの」
    それでもリサは天井に浮いているだけで、二人が喧嘩してるってことには何も変わりがないから、頭が痛くなるの。とリサが説明してあげると、“羊飼い”のおじさんは疑り深い顔つきで「わけのわからんことをいうガキだな……」とぼやくと、よいしょ、と掛け声をかけて立ち上がる。
    それで彼は、お父さんがまだお祈りをしているのも尻目に部屋の奥に引っ込んでいった。けれど、お祈りの時間の区切りを知らせる鐘も鳴らない内からお父さんに帰ろうとも言えないリサが立ち竦んでいると、奥の部屋に引っ込んでいた“羊飼い”のおじさんはまた戻ってきて、「さっきのさ、も、もっと上手く気を紛らわせるんだな」と言いながら、リサの手のひらに収まるぐらい小さくて、紫色の安っぽい布巾着を渡してきた。中身を見ようとすると、毛の絡んだおじさんの手に遮られる。何でも、それはいけないことらしい。


    その場では気付かなかったけれど、お家に帰ってから、リビングでの言い争いを聞きながら、ごわごわした布の手触りの内側に、乾かした植物のような何かが入っている、みたいな、パサパサした音のするその巾着を仕方なく握っていると、内側から甘ったるいお香のーー礼拝所の臭いがしてきた。あそこでお祈りのときに焚いているお香の欠片が入ってるみたい。この臭いを嗅いでいると鼻がツンとして、気分が悪くなって、頭が痺れてきて、段々眠たくなってくる。「上手く気を紛らわせる」って、こういうことなのかしら。
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    Replies from the creator

    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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