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    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    リパヘレ ヘレナアダムスが「良い子」の顔に触る ※日記未発表キャラの言動を背景推理等から捏造 ※捏造荘園(実装されたハンター・サバイバーが荘園で生活をしており、試合外でハンターとサバイバーの交流もある程度ある荘園設定) ※不躾な物言い

    顔のない男(「良い子」と心眼) 「顔を触らせていただけますか」という要望を受けたリッパーは、その場で僅かに、しかし、その不躾な要望によって気分を害したと主張するには十分な程度に〝眉を顰めた〟。そんな今の彼――荘園主から贈られたものである、「良い子」の衣装を携帯している――は、年若き紳士といった面立ちをしていた。身に着けているものは、紳士に望ましい思慮と礼節を思わせる深い緑色のジャケットに、洒落た雰囲気を演出する柄物のベスト、清潔な白シャツの首元を彩るのは、黒光りする程上等な絹のアスコットタイと、ピンというにはあまりに豪奢な大粒のサファイア(さらに、それは銀細工の蛇に縁どられている。)だ。すらっとした脚を覆うホワイトのスラックス。それらの、いかにもきちんとした、紳士らしいまっとうな格好に反して、「紳士らしく」整えられていないぐちゃぐちゃの髪は彼の目元を胡乱に翳らせていたが、それは鼻筋の通った白皙の顔と相まって、かえって彼に「神秘的な芸術家」という雰囲気を纏わせている。しかし、そのどれもが、彼に「顔を触らせてほしい」と申し入れた彼女には、関わりのないことでもあった。彼にその要望を申し入れた少女ことヘレナ・アダムスは全盲である。
     とはいえ、それはそれとして、「おやまあ、随分と不躾なお願いをされるものですね?」とリッパーが鼻白むように返すと、ヘレナは心外だと言うように「あなたが聞いて来たんじゃないですか。」と、試合の最中に気まぐれを起こしたリッパーの腕の中にあって、大して怯えた様子もなく返してくる。

     この会話が、薔薇の杖をリッパーが使い始めた最初の内の数回であれば、彼女の声もきっと、追い詰められた獲物らしく、哀れに震え通していたものだろうが、そこには慣れがあるのだろう。何せこの荘園では、「最後の試合」が終わる時まで、誰一人、ここから去ることを許されていない――死を以てしてもここから退場ができないことを悟ると、招待客(サバイバー)の多くは、試合を「ハンターへの恐怖心と生存欲求に駆られて死に物狂いで挑むもの」としてではなく、より単純な日々のタスク、或いは、何らかのささやかな報酬を得る為の手段として捉えるようになっていった。それは、慈悲なく気まぐれに楽しんで獲物を狩る「狩人」たることに誇りを持っているリッパーにとって、少々嘆かわしい傾向ではあった。
     一方、今はその彼自身が、先刻までこそこそと物陰に隠れていたヘレナの足跡を追って、ついに今は姫抱きにして吊れ歩いているものを、中庭に設置された噴水の回りでぶらぶら歩くばかりでチェアに座らせないのは、今回の試合におけるやる気が最早、彼に残っていないということの現れでもあった。荘園主の計らいによるものかそれ以外の機構が存在するのか、仕組みは何であれ、毎試合ごとにランダムに選出されるマップの中で、「ホワイトサンド精神病院」というそれは、あまり彼好みのセレクトではない。その上、彼女を捕まえた今、残る一人は冒険家――どういう理屈か、身体が縮む男――であって、壁や物陰が何かと多いこの場所で、しかも小人のようになっている男を、リッパーはそれ以上探す気にもなれなかった(これが彼好みの女相手であればかくれんぼに興じる気にもなるが、髭面の男とかくれんぼというのは実にいただけない。)。

     かくして、リッパーの暇つぶしに付き合わされている格好のヘレナは、諸々諦めたようにリッパーの腕の中に納まり、いたって大人しくしながら「あなたが聞いて来たんじゃないですか。」と言い返していた。彼はそれに、はてどうだったかなと(半ば本気でわかっていないにしても、紳士としての嗜みとして)大袈裟に首を捻って見せたところで、そういえば、「あなたにはどう映ります? この顔は」という質問を直前に差し向けていたことを思い出す。
    「……ああ、そういえばそうでしたね。」
     「急に結構なことを申しつけられましたもので、ついうっかり抜けてしまいましたよ。」と悪びれず続けながら、リッパーはヘレナからの要望を受けることにし、気が変わらない内にと急かすように彼女に顔を近づける。
     すると、片手では杖を握り締めたまま、ヘレナの柔らかな――家事労働に従事したことがないのだろう。本とタイプライターしか相手にしていないような、程よい湿度と温度を持って、傷らしいものの見当たらない――手が、「良い子」を纏うリッパーの白皙の頬に恐る恐る触り、鼻の形や細面の顎のラインをなぞり、それが、彼の無造作に跳ねる前髪に触れてから、しっかりと形態を確かめようとするような、存外に不躾なその手付きで、さらにその奥――双眸があるべき場所――に触れてこようとしたところで、気が変わったリッパーは唐突に姿勢を正し、手指で宙を掻いたヘレナに向かって「さあ、どうです? ご感想は」と促した。
     
    「肌に触れたような感触がありました……驚いたわ。本当に、人の顔みたいに作られているんですね。」

     急に顔を離されたことに気付かず――そもそも彼女には見えていないし、彼女の視覚の代わりである杖も、抱き上げられた今は、ほとんど取り上げられたようなものだ――数秒の間、そこを探るように宙を掻いていた片手を自分の腹の上に戻しながら、ヘレナは何気なくそう言ったのだが、それは彼にとって、予想外の回答だった。
     というのも、「良い子」を携帯したリッパーを目の当たりにした招待客は皆、リッパーが「元々そのような顔」をしており、普段は「その顔」の上から、例の白い仮面を被っているものだと理解したからだ。彼の美的感覚からすると、いかにも頭の軽そうで、絵具のちょっとしたシミにしかなり得ないどころか、却って制作の邪魔にすらなり得る――芸術は「純粋」であるべきだ。故に、それを構成する要素が猥雑であっていい筈がない――踊り子などは、「リッパーさんは普段からその顔で居て下さった方が、わたしたちは楽しめるわ」と、しなをつくりながら彼に向かって言い寄越して来たものだ。
     忙しいオルゴールの安っぽいリズムで、せわしなくキッチュに踊る彼女をロケットチェアにエスコートしながら、リッパーも別段、彼女の感想に、わずらわしさを覚えたわけではなかった。仮に、今起きているのが「良い子」(彼本人)であれば、他者からの評価や眼差しに不愉快の類を感じたのかもしれないが、悪い子は、そういった表皮、否、表層的な部分には、大したこだわりはない。純粋な芸術は、衆愚からどう見られるかを超越して、そこに存在するものである。故に、私の仮面がどういう作りをしていたところで、大した問題ではない。どの顔が〝本物〟らしく見えると言われたところ、霧の都に住まう怪人には顔がないのだから。それがどのような顔をしているのかは、誰にもわからないものだ。
     とはいえ、多くの連中からこの顔が本物だと思われているように、この衣装(「良い子」)は、なかなか上手に出来た代物なのだろう。それを、『人の顔みたいに』『作られている』とは。なかなかどうして、的を射ている。この娘、心眼、そうだ、「心眼」だ。目に見えないものを視ることは、成程お得意のようで……。

     ヘレナの感想を聞かされたリッパーは、彼の方から質問をしておきながら、その答えがまるきり予想外であったというようにたっぷり数秒黙り込んだ後、今彼が携帯している衣装である「良い子」に誂えられた白皙の頬、抑制的でありながら、甘やかに微笑む具合の口元をいっそう極端に引き上げると、歯を見せて笑う。それは身なりのきちんとした若き紳士がするにしてはあまりにも不釣り合いな、狂的なそれであるが、触れでもしていなければどんな顔をしているのか分かったものではないヘレナには、怯える必要もないことだった。
     変える必要もないから表情を変えない彼女は、急に黙り込んだハンターに(気分を害したのかしら)と、悪いことをしたと思う調子でもなく(何せ感想を求められたから、それを口にしただけだ。彼女からすれば、反省を求められる謂れ等どこにもなかった。)思いながら、取り敢えず、「リッパーさん?」と黙りこくるハンター相手に声を掛けた。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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