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    Ugaki_shuuu

    @Ugaki_kakkokari

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    コバ/カブとジロ/クガとアサ/キド/アサです。
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    Ugaki_shuuu

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    Twitterに上げてたものを推敲したりいじったりしたもの。①と対になっています。後朝です。

    #こばかぶ
    kouba

    猫のような男たち②カブトが俺に背を向けて眠っている。
    すぅ、すぅ、というゆっくりとした呼吸音とともに、はだかの背中が膨らんだり、萎んだりしている。背中に彫られた登り鯉が、ゆっくりと動いて、まるで生きているかのようだ。実際何度も膾になりかけながらも、この鯉は決して、死ぬことはなかった。傷つけられ、痛めつけられ、ひどい荒波に揉まれながらも、鯉はやがて滝を遡り、そして龍となるのだろう。
    カブトの背中の傷に手を這わす。そこだけ触感の異なる、ボコボコとした皮膚。少し熱を帯び、しっとりと湿っているのは、昨夜の名残りか。シーツの波間に溺れさせられて、淡水魚の鯉は、さぞかし苦しい思いをしたことだろう。

    背中を何度も撫ぜられても、鯉の飼い主は全く起きる気配がない。そうなると、なんだか無性にこちらを振り向かせてやりたくなる。背中の傷痕にかるく爪を立てて、猫の爪とぎのように引っ掻いてやる。と、擽ったかったのか、相手はすこし身動いだ。が、それでもやっぱり、起きることはない。
    昨日さんざっぱら相手を責め抜いてイカせて疲れさせたのはこちらだとわかっているが、こうも起きないと、ちょっと虐めてやりたくなる。俺はカブトの肩の後ろを、ペロリと舐める。急所に程近い所を触られ、ここで相手も流石に目を覚ましたようだった。が、気にせず唇だけで軽く皮膚を食んだ。2度、3度と唇でやわやわと噛み付いてから、ちゅ、と音を立てて吸い付く。小さなキスマークがいくつか出来上がったのを確認して、今度は軽く歯を立てて甘噛する。こちらの牙に、相手の質のいい筋肉が程よい弾力を返してくるのが心地良かった。

    上半身ではそんなふうにカブトの肩を甘やかしながら、下の方では、腹の傷に指先を滑らせている。割かれた傷に、撃たれた傷。他にも細かいのがいろいろとある。肉のところが盛り上がり、いびつな形をしている。醜い傷痕。俺にもある。この傷の先に、俺たちは生きている。醜いからこそ、生きている。
    そう思うとなおさら愛おしくて、まるで母猫の乳を探す子猫のように、カブトの肌を弄ぶ。やさしく、執拗に、おびえさせないように、その感触を楽しむ。この行為には一生、飽きが来ないだろうと思う。

    さて、猫が背中を向けて寝るのは、相手に対し安心感を覚えているからだという。人間にも、背中を預ける、という言葉がある。カブトは相変わらず、俺にされるがままになっている。これも一種の、背中を預ける、という状態なのだろうか。
    とはいえ人と猫とが違うのは、人はやはり貪欲で、好いた相手にはどうしてもこちらを振り向いてもらいたいと思う点だろう。カタギだろうがヤクザだろうが、それは変わらないはずだ。よって俺は相手を振り向かせるために、安心しきっている相手の肩をカリカリと噛むことにした。すっかり油断しきっているのだろう。その首筋に鼻先をグリグリと押し付け、いきなりがぶりと噛み付いてやった。
    相手は「痛ッ…!と小さく悲鳴を上げ、慌ててこちらを振り向いた。

    「ゆきさださん、いたいです……」

    抗議の声を上げるのに、クスクスと笑いながら、

    「だってカブトが、そっぽ向いてばっかで、ちっとも構ってくんねーから」

    と、言い返す。言いながら、相手の体を己の腕のなかに閉じ込めて、首だけでこちらを振り向こうとする相手の後頭部の部分に鼻先をつっこむ。すぅ、と大きく息を吸いこんだ。

    「……汗の匂いがすんなぁ」

    お前の匂いだ。耳のそばでそう囁くと、相手の耳がほんのりと色づくのが見て取れた。
    カブトの、いつもはしっかり通っている芯のようなものが、今ばかりはゆらいで、グズグズになっているのが分かる。が、何せこいつは、俺が構いたがっているのに気づかず、ぐーすか寝ていた。体の中に灯った火を、今すぐ煽り立ててやるなんてことはしない。俺が悲しんだ分、お前ももう少し、苦しむがいい。
    嗜虐的な気持ちで、俺は二度寝を決め込むことにする。腕の中の相手は、腿の所をもじもじと擦り合わせ、少し苦し気にしていた。それを感じて、俺は心の中でほくそ笑む。
    次起きたときにはきっともっとトロトロになったカブトが、俺に食べられたがって思う存分、熟れたその身を差し出してくれるだろう。
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    Ugaki_shuuu

    TRAINING【なんとなく下げてたものを再掲】キド+アサ。特に何を書こうと思ったわけでもなく、ただ情景描写がしたかった。
    なにげに自分の中では一番気に入ってる小説だったりします
    ただキドアサがタバコを吸っている情景描写がしたかっただけある日のことだった。
    その日はなんの変哲もないただの水曜日だった。朝起きて、飯を食い、テレビのニュースのヘッドラインだけ確認して、10時ごろフロント企業の事務所が入っているビルへと足を向けた。
    そこで城戸の兄貴に会い、諸々のことを確認し、一緒に昼飯を食い、午後は兄貴について人に会いに行った。そんなことをしていたら、時刻はすでに夕方の7時だった。切った張ったのドタバタ劇も何もない、本当に平凡で平坦な、あくびのでそうな1日だった。
    この後もせいぜい2、3軒のキャバクラへ守り代を回収に行くくらいしかやることがなかったので、事務所にいた他の連中と一緒に、出前で寿司でも取ろうということになった。寿司桶いっぱいに入った寿司を、その場にいた4、5人の組員たちとともに、わいわい言いながらつつく。そうして腹もくちくなって、食休みに一服しようということで、城戸とともに、ビルの裏手の非常階段のところへとやってきた。重たい鉄の防火扉を開けると、そこには事務所の連中が、空き缶で作った灰皿を針金で窓の鉄格子にくくりつけた、簡易的な喫煙所があった。城戸がスーツの裏ポケットから白地に赤い丸印のタバコの紙箱を取り出す間に、浅倉もまた、ポケットからタバコの紙箱を取り出した。紙箱の中にタバコと一緒に入れておいた100円ライターを引き抜き、火を灯して、タバコを咥える城戸の前に差し出す。城戸はニッコリ笑って「ありがとぉ」と言ってから、浅倉の手の中に灯されたライターの紅に、スイと額を寄せた。ライターの灯りに照らされて、城戸の顔が薄暗闇の中に数瞬、ぼんやりと浮かび上がる。やがてそれが薄闇の中に沈んでいき、それと引き換えにフーー、と息を吐く音がした。男の吐き出す煙の、甘みの混じった香ばしい匂いが、浅倉の鼻腔をくすぐった。
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