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    omoti_022

    ☆quiet follow
    POIPOI 19

    omoti_022

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    七つまでは神のうち。後日談の後日談。会話文のみ。

    どうしても分けたかった。

    チューした後。
    我に返った暁人がKKに詰め寄る。

    「よ、嫁って何!!???」
    「そのまんま。お前は俺の嫁」
    「い、いや、だから!!!嫁って!?僕、男だけど!!!??」
    「それがどうした。俺が決めたからそうなったんだよ」
    「KKが決めたって!?まず、僕達友達じゃ…」
    「元から娶るつもりだった」
    「………僕、7歳ぐらいだったよね」
    「おう」
    「…………ショタコン?」
    「俺からすれば今も昔も変わんねぇよ。俺、神だし」
    「……………かみ」
    「そう。雨を司る龍神。龍神ぐれぇなら聞いた事あんだろ?」
    「……」
    「ほれ。ウロコ」
    KKが腕を捲ると、手首までウロコが表れる。暁人はそれをジッ…と見詰めたあと、頭を抱えた。
    「…………ごめん、キャパオーバー。ちょっと待って」
    「時間はたっぷりあるしな。落ち着いて考えろ」
    「うん…」
    KKは注いだビールを飲みながら笑う。
    暁人は分からない事ばかりで混乱しかない。あーでもないこーでもない。と考え、KKを見やる。
    あの時と変わらぬ風貌に、確かに人間ではないと言わざるおえない。歳を取らなさすぎる。
    それはいいとして。いや、全く良くないのだが。それよりも『嫁』と言われたことが、暁人の頭の中を占めていた。
    だって、そもそも自分は男だし。誰かに嫁ぐことなど考えたことも無かった。まだ結婚なんて思ってもみなかった。
    「…KK」
    「ん?」
    この、柔らかい表情を向けてくる男に嫁ぐかもしれない事実が、ちょっといいかな…なんて思うのは、きっと、ずっと会いたいと思っていたから。その気持ちが、混乱して少しだけ違う気持ちに転換しただけ。そうだ、きっとそうなのだ。

    そう暁人は結論付けるが、そんな訳あるか。と彼の友人なら言ってくれるだろう。今は居ないが。

    「僕、KKの事、なんにも知らないよ」
    「……今から知ってけばいいだろ」
    「う〜ん…それから決めてもいいの?」
    「……決めてくれんのか?」
    「え?」
    「え?」

    それぞれの驚きに顔を見合わせる二人。

    「良かったら、俺の嫁に来てくれんのか」
    「…………」
    「おい、暁人」
    「………別に、いいよ」

    少し恥ずかしそうに、そっぽを向きながら暁人は呟いた。それに、KKは思わず彼を抱きしめた。

    「わ!??」
    「絶対惚れさすからな!!」
    「うぇ!?え、ちょっと降ろしてよ!」
    「少しくらい良いだろ。前もやってやったろ?」
    「それ、いつの話だと思ってんの!?」

    既に恋人のようにはしゃぐふたり。神の御前で愛を誓い合う日は遠くない。





















    というか、暁人は気付いているのだろうか。
    今、二人がいる場所が居酒屋では無いことに。

    ぽっかりと夜空に浮かぶまん丸の月。舞い散る荘厳な枝垂れ桜。見渡す限りの湖面。そこにポツンと佇む木造の日本家屋。遠くには、真っ赤な鳥居がひとつ。

    俗世と切り離されたそこは何処までも神秘的で。
    人はそこを神域と呼び、そして、神域に連れ去れることを、神隠しと呼ぶのだが。

    「……暁人が良い子で良かった」

    神は笑う。

    「ん?KK、何か言った?」
    「何も?それより、まだ飲むだろ?」
    「うん!KKの奢りね!」
    「は!?」

    約束された悲願が叶う時を思って。



















    暁人くんが選択肢を間違えると、BADEND一直線。
    居酒屋で飲んでたら神隠しにあって、一生外に出れないってことが起こっていた未来。






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    りんご

    DONEK暁デー、初デート。K←暁のようでK→〈超えられない壁〉←暁です。
    理想のデート像を黙って実行するおじと、訳も分からず振り回されるあっきーの話。
    過去それなりに色んな話を書いてきましたが、ぶっちぎりで砂糖吐きそうな話になったと思います。けけは所々横暴だしあっきーはちょっと暴走気味です。そんな二人の初めてなんて、絶対事件になるに決まってるじゃないですか(笑)
    閻魔帳のきれはしには(1)


    待ち合わせは、やっぱり駅前かなあ
    ベタなのは分かってるよ! でも後に来る僕が気になって、その後ろ姿がどこかそわそわしてるの、きっとかわいいなって思うんだろうな


    ◆◆◆◆◆


    『KK

    今日午前11時。渋谷駅北側に集合。』


    凝り固まった肩を回しながら、ネオンが薄まりゆく都会の路地を暁人はゆったりと歩いていた。長期の仕事が終わって漸くまともな寝食にありつけると思えば、心も穏やかになる。
    こんな職業なので、どうしても一日の行動が普通のそれとは大きくずれ込む時がある。今日はそういった日で、数日掛かりの依頼を何とか終わらせたときには、すっかり空が白み始めていたのだ。

    自分の名前をした空を背にしながら、暁人は連絡のためにスリープモードにしていたスマホを起動させた。そこに表示される、送り主と簡素な一文。暁人が首をひねるのも無理はない。めったに文字でのやり取りを行わない人物から突然こんなものが来たら、誰だって困惑するだろう。自分がいない間に向こうで何かあったのかもしれない。それにしても……メッセージ? 凪いでいた心情の波が僅かに揺れて―――まあいいか、と持ち直した。暁人が暁人たるゆえんは、この微妙な状況に対しての構えがやたら大きいことである。波乱万丈な生い立ちのせいで大概のことは受け流せるようになった結果だった。
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