「私のお兄ちゃんだもん!」
「1日だけ貸して!」
「ヤダ!!」
さっきまで仲良くしていたはずだった、麻里と絵梨佳ちゃんは気づけば、何故か僕を挟み、両腕を掴みながら喧嘩していた。
「暁人さん自慢して歩きたい!」
「それは私の特権なの!」
「KKさん貸すから!」
「KKさんはお父さんになっちゃう!」
KKだとお父さんになるのかと笑うと、何笑ってるんだと睨まれ、すみませんと謝る。いや、なんで僕が謝るんだ。
また、喧嘩が白熱する中、とりあえず腕が痛いから離して欲しいなと思っていると、玄関が開く音がした。
「ただいま。絵梨佳も麻里も何喧嘩してるんだ?」
廊下まで響くぞ、そう言って入ってきたのはKK。絵梨佳ちゃんと麻里は僕の腕を離し、
事の経緯を説明する。すると、
「まぁ、兄の取り合いは頑張ってするんだな。その間に、俺が暁人を掻っ攫ってくから」
なぁ、相棒?ニヤリと笑って、僕は腰を掴まれKKの方に引き寄せられる。
その行動に、麻里と絵梨佳ちゃんはぎゃー!と悲鳴を上げ、僕の腕を引っ張り、KKに対抗しようとする。その結果、あちこち引っ張られて痛い。痛いと抗議するが、聞く耳は持って貰えず。
「お兄ちゃんは私のだからっ!」
「暁人さん!私と出かけてくれますよね!?」
「相棒置いて出かけるとかねえよな?」
3人のギラギラと光る双眸が僕を見据える。
それにひっと悲鳴が出た。普通に怖い。
とりあえず1人ずつお願いかなえるから離して!と叫ぶが、願いは叶わず。
結局この三つ巴は、凛子さんが帰ってくるまで繰り広げられた。