夏真っ盛りだから夜も暑い。
特に、調査であちこち走り回った後だから、余計に熱が篭り汗でびっしょりだ。
持ってきたスポーツドリンクもとっくのとうに飲み尽くしてしまった。
喉が乾いたと暁人が言うから、アジトに戻る前に、近くのコンビニに立ち寄った。
自動ドアを抜けると、冷房が汗を冷やして涼しい。そのまま奥に進み、ドリンクの冷ケースに行く。そしてさっきと同じスポーツドリンクを2本手にし、会計に行こうとすると、暁人の姿がない。
「どこに行ったんだ?」
狭い店内だし、棚が低めなので、背の高い暁人を探すのは簡単だ。
ゆっくり辺りを見回すと、冷凍食品のある所にいる。何か食べたいものを見つけたらしい。まぁ、あそこにいる時点で何が食べたいのかは察しが付くが。
「あーきと、アイス食いてえのか?」
「KK、暑かったからね。食べたくなっちゃった。」
いいでしょ?と昔からある、キャンディアイスの中にかき氷の入ったそれを指さす。強請るけど値段は気にすんだな。と思いながら暁人に、2本持ってこい。と言うと、ぱぁっと暁人の目が輝いた。
冷凍ケースの蓋をガラリと開け、2本取り出すと、KKの後を付いてレジまで着いてくる。
その姿はさながら、小さい子供のようで笑ってしまう。
レジを済ませ、近くの公園で早速買ったアイスの袋を開けてシャクリとかぶりつく。
久しぶりに食べるが、70円なのにこの美味しさは凄いと思う。自分が子供の頃はもう少し安がった気がするが、それでも同じ美味しさで100円以内で食べれるから凄いと思う。
暁人の方をチラリと見ると、相変わらず美味しそうに食べている。しかし、外気温の暑さで溶けてしまうのか、さっきから溶けたアイスが垂れている。つうっと腕にアイスが垂れると、それをペロリと舐めとる。
ちょっとだけエロいと思ってしまった。
暑さで火照り赤くなった頬に、下がった眉に垂れた目、そして手を舐める為に出した舌。
さっきまで、アイスにはしゃぐ子供のように見えていたのに、急に色気を出すから、いつもそのギャップにやられている。
「すぐ溶けちゃうね。KK?」
そちらを凝視してるのに気づいた暁人は、
どうしたの?と純粋な瞳で覗いてくる。
自分のやましい気持ちは気づかれていないらしい。一安心。
「アイス溶けてるよ?食べないの?」
「…食うよ。手ベットベトになっちまったな。」
ほとんど溶けかけてるアイスを食べてから、
手に付いたアイスの汁を舐めとる。後で、そこの水道で手を流がそう。舐めとっても、唾液でベタベタする。
ふと、視線を感じて隣を見ると、暁人が顔を真っ赤にして、こちらを見ている。
あぁ、なるほどね。
「なんだ、暁人くん。欲情したか?」
そうからかうと、真っ赤な顔をさらに赤くして、言い訳を必死に並べてるが、どうみたってバレバレだった。
汚れてない手で暁人を引き寄せ、耳元で囁く。
「後で、これみたいに溶けあおうぜ?」
最後に耳にキスを1つ落とすと、暁人は顔を両手で覆いながら頷いた。
2人とも食べ終わってるから、暁人から袋とアイスの棒を回収して、ダストボックスに放り込み、水道で手を洗う。その間は2人とも無言だったが、嫌な雰囲気では無い。むしろ黙っとかないと、お互いに興奮がバレそうだから。エドへの報告は明日にする。
今は少しでも早く、暁人を抱きたい。
今度からアイスを買う時は手が汚れないものにしよう。あの仕草だけで欲情するなんて思いもしなかった。
でも、たまに買ってもいいかもしれない。暁人のあの表情は堪らなかった。そして、自分が舐めてる所が暁人に刺さったから、また食べよう。
そんな邪心を胸に抱きながら、2人の住む家に向かう道のりを早足で歩くのだった。