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    kg4awt108

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    kg4awt108

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    マシュマロのリクで、不老不死の暁くんが痩男と出会い、その後妖狐を育てる話。
    ちょっと痩暁風味。

    事務作業を終えて1つため息を着く。
    あの渋谷の事件からどれくらいたっだろうか。長く生きてると、時間の流れが曖昧になっていく。

    暁人の身体は22歳で止まっている。

    般若の男を倒すためと、あちこち渋谷を駆け回っていた時に、何度か黄泉の国に行った事が原因だろうとエドは言っていた。
    変に干渉しすぎてしまい、不老不死になったのだろうと。
    身体の変化に勿論、暁人は戸惑った。周りが老いていく中、自分だけの時が止まったままの恐怖を誰が分かろうか。

    自殺を図ろうとしてみたものの、入水や首吊りはただ苦しかっただけだし、包丁で心臓を刺してみたが、形容し難い痛みが襲って来るだけで、心臓は止まりはしなかった。
    半分ノイローゼ気味になり、戦闘時はやけくそに敵陣に突っ込んで行っても、決して死ぬことはなかった。

    パーカーのフードを深く被り、フラフラと宛もなく歩いていた時に、暁人の運命は変わる。

    ネオンも眠る深夜3時、人通りも少ない路地裏に入った時だった。犬が威嚇している声が聞こえる。なんだろうと、その場を覗いてみると、暁人は目を見開いた。

    「どうして…あの時倒したはずじゃ…」

    犬に威嚇されていた、人物と言えばいいのか、ソレは声に反応するようにこちらを振り向いた。あの時倒したはずの痩男が。

    エーテルを指に纏わせ、攻撃する体制を取る。しかし、痩男はこちらを攻撃する所か、ジリジリと遠ざかろうとしてるように見える。なんでだと首を傾げると、あっと暁人は思い出した。

    「ほら、おいで。その人は何もしないよ」

    近くにいた犬に怯えていたらしい。
    そういえば、KKは犬が苦手だったと話していた。きっと彼もそうなのだろう。
    ふふっと笑いが零れる。なんだ。可愛いところもあるじゃないか。
    犬を遠ざけてやり、痩男に近づく。

    「帰れなくなったの?なら、僕とくる?
    不老不死になったから、ひとりじゃ寂しいんだ。」

    そう言って手を差し伸べると、痩男は暫し暁人の手を見た後に、自分の手を重ねた。
    それから2人の生活が始まった。

    暁人が立ち上げた事務所。
    主に怪奇現象や呪いなどを解決するために立ち上げたもので、人間が主にくるが、たまに妖怪なども来て相談に乗ることもあった。
    受付や呪解は暁人が、マレビトが出た際の戦闘面は痩男と役割も分担している。

    ちなみに家事は全く出来ないらしく、それも暁人の担当だった。彼はご飯を食べることはないから1人分の料理しかしないのは楽だが、
    なんだかなと思う時がある。
    しかし、彼は暁人が寂しいという気持ちを持っているのを知ってるからか、暁人が食事する時は、目の前に座って話し相手になってくれている。

    2人の生活がまた一転したのは、2人で生活し始めてから50年たった時だった。依頼先での出来事で、鳥居の浄化をしていた。
    痩男がマレビトを蹴散らし、その隙に探索と浄化を終え、帰ろうとしていたその時、

    「キューン…キューン…」

    動物の鳴き声が聞こえた。もしかして巻き込まれて怪我でもしてるのではないか。
    声のする方に行くと1匹の小狐が茂みに蹲って鳴いていた。

    「大丈夫?怪我はない?」

    声をかけながら話を聞くためにポチャンと霊視をする。
    痩男も隣で様子を伺っている。あの人と一緒で、優しいところもあるらしい。

    『ママ死んじゃった…ママぁ…怖いよぉ…』

    どうやらこの子は妖狐らしく、先程のマレビトの出現で母親は命を落としたのだという。
    しくしくと幼い妖狐は泣く。
    暁人が手を差し伸べようとすると、先に痩男が動いた。
    お面を外して妖狐を抱き上げ優しく頭を撫でる。

    『寂しいなら、一緒に来るといい』

    表情は動かないのに、その顔は慈愛に満ちているように感じた。
    暁人はそんな彼に心が暖かくなる。
    一緒に過ごした、優しくした時間が無駄じゃなかった事が嬉しい。

    「君が嫌じゃなかったら、おいで?1人にはさせないよ。絶対に。」
    『ほんと?』
    「うん、本当。約束の指切りでもする?」
    『する!』

    ゆーびきーりげーんまーん
    暁人の大きな小指と、妖狐の小さな小指を絡ませて歌う。

    「『ゆーびきった!』」
    「これで大丈夫だね。さぁ、僕達の家に帰ろう」
    『うん!』

    痩男がそのまま妖狐を抱っこして、帰路に着く。その日からまた事務所が賑やかになった。

    そして、そこからまた50年の月日がたち、現在に至る。
    100年前と比べるとだいぶ変わったな、と窓の外を見ていると、ドアの外から走ってくる音が聞こえる。
    椅子から立ち上がり少し身構えて待つと、
    ドアが開いた瞬間に暁人の体に何かが突進してくる。それを難なく受け止める。

    「あきとただいま!」
    「おかえりなさい、痩男とのお散歩楽しかった?」
    「楽しかったよ!あきとおみあげ!」

    彼女は成長し、今では小学2、3年生と変わらない大きさになって、話せるようになり、変幻も覚えた。

    そして今頭に被せられたのは、多分花冠だ。痩男と作ったのよ!と得意げに話してくれた。ありがとうとお礼を言う。
    ところで、

    「痩男はどこ行ったの?」
    「もうくるよ!」

    その言葉と同時に扉が開いて、彼も帰ってきた。手にはコンビニの袋がぶら下がっている。

    「おかえりなさい、何買ってきたの?」
    『ただいま…アイスだ…』

    中身を取り出して見せるとそこには高級アイスが手のひらに収まっていた。
    きっと、この子が強請っただろうことが目に見える。そして、すぐに頷いたのだろう。
    痩男はこの子に甘いところがあるから。

    「じゃあ、手を洗っておいで。みんなでアイス食べよう。」
    「はーい!」

    元気に返事をして、洗面台に走っていく。
    痩男も続いて行くかと思ったが、こちらをじっと見ている。

    「どうしたの?」
    『綺麗だな…暁人』

    それだけ言うと、部屋を出ていった。
    かぁっと顔が熱くなるのが分かる。顔を手で覆った。最初の言葉だけなら、花冠のことだと思うが、名前まで呼ばれてしまえば話は変わる。

    「タラシめ…」

    2人が戻ってくる前に赤みを引かせなくては。
    まだ、幼い彼女に心配されてしまう。
    暁人はデスクに向かうと、そこそこ難関の書類を読む。何とか気を紛らわせるために。

    でも、こんな楽しい日々が続くなら、不老不死も悪くないな。
    暁人は飾られている写真立てを見つめて、柔らかい笑みを浮かべた。

    その写真立てには暁人と痩男と妖狐の3人が楽しそうに笑いあっていたという。
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